George Harrison

George Harrison / Guitars , Bass & Vocals
Willie Weeks / Bass
Andy Newmark / Drums
Neil Larsen / Keybords
Gary Wright / Keybords
Steve Winwood / Keybords & Backing Vocal
Ray Cooper / percussions
Emil Richards / Marimba
Eric Clapton / Guitar
Gayle Levant / Harp
Del Newman / String & Horn Arrangement

SIDE 1

Love Comes To Everyone
Not Guilty
Here Comes The Moon
Soft-Hearted Hana
Blow Away

SIDE 2

Faster
Dark Sweet Lady
Your Love Is Forever
Soft Touch
If You Believe

 79年のアルバムでダークホース2作目でジョージの3大重要作の一つで...とかデータ面はまあ色々あるけど個人的な話から。まあ、ようするに俺がこれを入手した最初の理由は「ビートルズの未発表曲"Not Guilty"が入ってる」「"Here Comes The Moon"のタイトルが気になる」の2点で、まあ並のビートルズファンには順当だろうけど、よくよくかんがえるとたいして積極的じゃない理由で買ってるあたりが、まあそんなもんだろう的でもあるんだけどちょっと気まずい。じゃあその内容が当時的にどうだったかっていうと、これまた覚えてない。A面は気に入ってよく聴いてたんだけどね。「とにかく地味」それが感想だった。
 いうまでもなくこのアルバムは"All Things Must Pass","Cloud 9"と並ぶジョージ最高傑作の一つである。いや、後者が10年以上たって特にジェフ・リンの音作りに微妙な古さを感じさせるようになっているところを考え合わせると2位確定でさえある。とにかくいい曲が、しかもナチュラルな形でつまっているというのが大きな理由だろう。これは今挙げた2作品にもない大きなポイントだ。ここでのジョージはひたすら自然体、リラックスしている。

 アルバムはエリック・クラプトンの奏でる秀逸なイントロとともに"Love Comes To Everyone"で始まる。この曲が嫌いな人はいない、と言う調査結果が出ているので言うが、はっきり言ってこの良さがわからない人間は脳の回線に問題があるだろう。病院に行くことをお勧めする。いや、そんな暴言がすらっと出るほどにいい曲なのだ。説明は虚しいだけなんだけど、メロディーもさる亊ながら、ジョージのギター(イントロ以外のリードはジョージ。エリックは今回このイントロのみ参加)もよく歌っているし、間奏などで聴かれるムーグ(スティーヴ・ウィンウッド!)も素晴らしい。

 "Not Guilty"は前述した通りビートルズの未発表曲で、ホワイト・アルバムのセッションで100テイク以上録音されながらボツになった曲だ。今ではアンソロジー3で聴けるが、そのヴァージョンに比べ、かなりジャジーなアレンジになっていて、出来は言うまでもなく圧倒的にこちらがよい。ウィリー・ウィークスのベースとニール・ラーセンのエレピがムードを作っていて、ジョージの歌もビートルズヴァージョンより起伏があって素晴らしいものになっている。ビートルズマジックが働かなかったものがこうやってビートルズ以上として再生することだってあるのだ。

 もう1曲の「俺的注目曲」が"Here Comes The Moon"だった。勿論あの"Here Comes The Sun"のセルフアンサーソングまたは続編で、サウンドの作り方にも微妙な共通点がある。シンセの音はかなり現代的だが。ブレイクを繋ぐジョージのアコースティックギターのフレーズがいい。ここでもウィークスのよく歌うベースが効いている。また、シェイカー(レイ・クーパー!)がドラム以上の存在感でビートを刻んでいるのも重要なポイント。

 "Soft-Hearted Hana"はオリエンタルな香りもあるブルースナンバーで、次作"Somewhere In England"収録の"Hong Kong Blues"(ホーギー・カーマイケルのカヴァー)に通じる雰囲気がある。ジョージのドブロによるスライドがいつもの「ジョージスライド」とはまた違った感じで新鮮。こんな風にブルージーにも弾けるのだ。それでもどこかへろへろ感があるのがジョージらしいのだが。

 "Blow Away"はお間抜けなビデオクリップも楽しいが、曲もポップで最高。ダークホース時代のシングル曲に共通する雰囲気があるんだけど言葉では説明不可能。何がどう、っていうんじゃなく「いい曲」。勿論スライドを始めとするほかの部分もいいんだけどメロディーが良すぎてそう言うこと語る意味がないんだよね...(1曲目みたいな参加メンバー的トピックも無いしね)

 "Faster"はF1ファンジョージ・ハリスンが前面に出た曲。ニキ・ラウダとジャッキー・スチュワートにインスパイアされて作ったと言う。レースマシンの爆音に導かれて始まるが曲は「金曜日のフリー走行を芝生に寝転がってみてる感じ」(友人T談)。優しいメロディーがテーマにそぐわないのはまあ、ジョージだからしょうがないだろう。この曲なら捧げられた亡くなったレーサーのロニー・ピータースンの魂も安らぐだろうな。
 余談だが、ジャッキー・スチュワートが自身のチームを作ったとき「ダークホースがスポンサーになればいいのに」と思ったのは俺だけだろうか...(勝てなさそうだが)

 オリビアに捧げられた"Dark Sweet Lady"はその直球なタイトルも微笑ましい美しい小曲。ハープ(ブルースハープじゃなくて)がフィーチャーされている。

 "Your Love Is Forever"も独特のオリエンタルな(?)メロディーラインのポップバラード。他の曲でもそうだがファンク畑のアンディ・ニューマークが抑えた(ツボも押さえた)ドラミングを聞かせている。実際、ほとんど弾き語りでも違和感が無いような曲で、他の楽器はあくまでサポートに徹してジョージのギターと歌を聴かせている。

 "Soft Touch"はレイ・クーパーのパーカッションをフィーチャーした南国風味の曲。オルガン(ハーモニウム)とバックヴォーカルはスティーヴ・ウィンウッド。大物を迎えつつデュエットにしないのはウィンウッド相手だと食われるからか?しかしこういう曲でもジョージのスライドは良くはまる。

 ラストは"If You Believe"。ラストにはあっさりしすぎか?って程の短い(3分弱)曲だが、シングルカットにも耐えそうなポップなメロディーは文句無し。勿論!のスライドもフィーチャーされていて、こういう凝縮の上手さはやはりさすがだ。シンセはゲイリー・ライト。

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