All Things Must Pass

George Harrison / Guitars & Vocals
Eric Clapton / Guitars
Dave Mason / Guitars
Klaus Voorman / Bass
Carl Radle / Bass
Billy Preston / Keybords
Gary Brooker / Keybords
Gary Wright / Keybords
Bobby Whitlock / Keybords
Ringo Starr / Drums & Percussions
Jim Gordon / Drums & Percussions
Alan white / Drums & Percussions
Bobby Keys / Saxophone
Jim Price / Trumpet
Badfinger / Rhithm Guitars & Percussions
Mal Evans / Sympathy & Tambourne
Pete Drake / Pedal Steel Guitar

SIDE 1

I'd Have You Anytime
My Sweet Load
Wah-Wah
Isn't It A Pitty

SIDE2

What Is Life
If Not For You
Behind That Locked Door
Let It Down
Run Of The Mill

SIDE 3

Beware Of darkness
Apple Scruffs
Balard Of Sir Frankie Crisp (Let It Roll)
Awaiting On You All
All Things Must Pass

SIDE 4

I Dig Love
Art Of Dying
Isn't It A Pitty (version 2)
Hear Me Load

SIDE 5
Out Of The Blue
It's Johnny's Birthday
Plug Me In

SIDE 6
I Remember Jeep
Thanks For the Pepparoni

 よく言われるのはビートルズ時代に自分の曲があまり採り上げられなくて、フラストレーションからこんな大作になった、って言う話なんだけど、個人的にはそんなもんだろうか、って気もする。更に、ジョージはここに大量の名曲を入れ過ぎた、って話も納得しかねる。後のもっと弱いアルバムのためにとっておくべきだった、と言う考えだけど、誰が自分の才能の枯渇を予想して仕事をするだろう。それに、曲は生ものだ。新曲は寝かせておくと腐るのである。調子が良くて名曲が多量にできたときにレコーディングしないでどうする?その方がよっぽど勿体ない。そう言う意見を言う人は、所詮ミュージシャンじゃないんだからそんな気持ち、わからないのかもしれないけど。ただ、ジョージは結構曲を「寝かせる」人でもあるのは、また事実なんだけど...

 "I'd Have You Anytime"を頭に持ってきたのはジョージの自信の現れだろう。アルバムトップにこういうシンプルなバラードを持ってくるのはなかなか出来無い。インパクトが勝負だからだ。でもジョージはあえてこれで勝負をかけた。ディランとの共作というトピックはあるとしても、曲は地味だ。でも、"Something"等の流れを汲むこの曲はアルバム全体をも包み込む雰囲気のある曲に仕上がっている。

 パクリ話には触れない。"My Sweet Load"は"He's So Fine"よりいい曲だからだ。アレンジが絶妙で、特にドラムが入ってくるタイミングは完璧。最後の神の名を連呼するコーラスも、あくまでポップ。これはフィル・スペクターのセンス爆発か。そしてイントロのスライド。これ以降ジョージの代名詞になった「黒くないスライドギター」はこのイントロで知れ渡った(実際には"I'd Have You Anytime"にも入っている)。例えパクりであろうとも、これがジョージの出世作であることは永遠に変わらないんである。

 "Wah-Wah"こそ70年代ウォール・オブ・サウンドの見本のような曲だろう。まさしく音の洪水、全ての音が大迫力で雪崩れ込んでくる。歌詞では「Wah-Wahなんていらない=わめき散らさないでくれ」と言ってるのに、バッキングはこれでもかとばかりの「Wah Wah」だ。勿論意図的で、ヴォーカルが歌詞の主人公、バックが「きみ」ということか。

 アルバム中2回登場する"Isn't It A Pitty"の最初のヴァージョンは、7分を超える壮大なバラードに仕上がっている。これもウォール・オブ・サウンドの効果が強力に現れているナンバーと言えるだろう。ストリングスはさることながら、他のバッキングも、ビリー・プレストンに「何度も同じことを引かされて退屈だった」といわせただけの効果は出ている。とにかく重ねに重ねたり、良くトラック数が足りたもんだというサウンドはまさしくアルバム最大のハイライトに相応しい。
 ところでエンディングのコーラスが"Hey Jude"に酷似しているのは気のせいか?歌詞まで同じように歌ってる気がするんだけど。な〜な〜な〜なななんな〜

 ジョージのポップセンス大炸裂の"What Is Life"は、全米10位(低すぎる?)まで上がったヒット曲。いや、これが売れないようならもうヒットチャートなんて信用しないだろう。ブラスが鳴り響く重厚かつ軽快(矛盾?)なバッキングとジョージの頼りないヴォーカルが何でマッチするのかは俺にはわからないが、スペクターとジョージの頭の中にはがっちり計算された青写真があったんじゃないだろうか。いや、それぐらい良く出来てるんだ、これが。
 リマスター盤で明らかになった完成前のバッキングトラック、あれを聴くと余分がそぎ落とされた完成形がいかに完璧かが良くわかる。

 "if Not For You"はボブ・ディランのカヴァーだ。わざわざカヴァーを入れるということは3枚組にしたのが単なるフラストレーションが理由じゃなかった証拠なワケで、そういう意味で、まず重要。ただ、カヴァーと言ってもジョージはこの曲のディランのオリジナルヴァージョンに参加していた(当時未発表)わけで、準オリジナル的に捉えていたとも考えられる。
 ジョージのヴァージョンはオリジナルのフォークロック色から、何故かトロピカル方面に振られていて、これが妙に和んでいい感じだ。ぬるいことこの上ない。

 "Behind That Locked Door"はディラン復活を題材にした曲だという。この曲がディランのカヴァーの次に入っているのは偶然ではないだろう。そして何故かどちらもトロピカルなアレンジがされている。しかし濃いめのスペクターサウンドが続いたあとのこの流れは落ち着いてとても良い。

 "Let It Down"には巨大なウォール・オブ・サウンドとジョージらしい落ち着いたサウンドが同居している。ここでのスライド(勿論ジョージ)は名演に数えられるべきだ。ジョージの「音色」ってクラプトンにも負けていないと思うんだけど。
 それにしてもここでの「ビッグバンド」(と言わずに何と呼ぶ)は物凄い。アルバム中でも隋一か。

 B面を締めるのは"Run Of The Mill"。ヴォーカルに絡んでくるドラミング(おそらくリンゴ)が印象的だ。短い曲だがこのサイドを総括するに相応しい雰囲気がある。よりラストむけっぽい"Let It Down"で締めると、この面には重くなりすぎるというわけだ。

 長くなりすぎるので続く!