Volume One
Travelling Wilburys

Otis Wilbury / Keyboards,Guitars & Vocals
Nelson Wilbury / Guitars & Vocals
Charlie T. Jnr / Accoustic Guitar & Vocals
Lefty Wilbury / Accoustic Guitar & Vocals
Lucky Wilbury / Accoustic Guitar & Vocals

Jim Keltner / Drums
Jim Horn / Sax
Ray Cooper / Percussions
Ian Wallace / Tom Toms

Handle With Care
Dirty World
Rattled
Last Night
Not Alone Anymore

Congratulations
Heading For The Light
Margarita
Tweeter And The Monkey Man
End Of The Line

 謎のウィルベリー一族によるバンドがデビューしたのは1988年のことだった。俺は当時テレビで既に彼らのビデオクリップを見ており、どこか懐かしい、まるでジョージ・ハリスンそっくりな歌とギターを聴いて一辺で気に入ってしまった。どこの馬の骨とも知れない新人(とは言ってもかなり年は行っているようだった)のデビュー作だったが、俺は迷わず買うことにした。当時既にCDプレイヤーは持っていたが、彼らの音はアナログで聴くべきだろうと思ってあえてLPを買ったのも懐かしい思い出である。
 そのジャケットに写る5人は、荒い写真の上、全員がサングラス姿で風貌は解りにくかったが、かなりの貫録を見せていて、その実力を伺わせた。メンバーは5人とも知らない名前ばかりだったが、サポートするのはジム・ケルトナーやレイ・クーパー、ジム・ホーンなど、有名どころばかり。こういった人達が新人の作品に参加するのも凄い。これはかなり期待できるアルバムと確信した。

 オープニングはそのビデオでも見た"Handle With Care"だ。ヴォーカルはネルソンを中心にメンバー全員が持ち回りする。特にレフティの美声とラッキーのダミ声がハーモニーをなす瞬間は圧巻だ。カントリータッチのポップナンバーで、ネルソン得意のスライドギターも実に気持ち良く歌っていて最高。ハーモニカは勿論ラッキーが担当。

 "Dirty World"では一聴してラッキーとわかる独特のヴォーカルが聴ける。アルバム全曲にも言えるが、アコースティックな響きを丁寧に生かしたサウンドが印象的。後半に出てくるホーンセクションはジム・ホーンが担当。

 "Rattled"はオーティスがメインで歌うロカビリー風の曲。作曲はチャーリーTらしいが、こういうサウンドを作るのはさすがに得意なのがオーティスである。レフティの「Grrrrr」が聴けるのもオールディーズ好きには嬉しいポイント。ネルソンのこういうギターも流石にはまっている。

 ちょっとレゲエ風のサウンドになるのが"Last Night"で、チャーリー・Tがヴァースを歌い、レフティがオールディーズ風のミドル部分を歌う。この部分では曲調が変わるが自然な流れで繋いでいる。レイ・クーパーによるパーカッション類が効果的に使われている。

 "Not Alone Anymore"は60年代ポップを思い起こさせる曲で、レフティがその美声(ホントに美声!)を生かして歌い上げる。「あの曲」を思い出す様な仕掛けも随所にあり、ケルトナーがフロアタムでティンパニー風のフレーズを叩くのも「なるほど」である。曲はオーティスがメインで作ったと思われる。イントロなどのギターリフのタイミングはネルソンならでは。

 "Congratulations"は夕暮れをイメージさせるサウンドの寂しげな曲で、こういう曲には作者のラッキーがよく似合う。ヴォーカルも彼の独壇場だが、エンディングの情感たっぷりのスライドは勿論ネルソンだ。

 "Heading For The Light"はアルバム中でも特に明るいサウンドのポップソングで、ネルソンがほぼ一人で歌う。作風にはオーティスの影響も感じられる。ジム・ホーンがおもいっきりブロウするサックスソロも良い。

 "Margarita"はアコースティックサウンドがメインのアルバム中では異色の曲で、シンセが派手に配置された曲だ。それでもアコギのカッティングはどこか"Love The One You With"風。ヴォーカルはラッキー、オーティス、チャーリーTで、作曲はチャーリーT。だがこのサウンドプロダクションはオーティスの大得意路線だろう。

 "Tweeter And The Monkey Man"はいかにもラッキーらしいバラッドだ。彼の得意なフォーク風の音作りがされている。サビの部分をコーラスで処理するのはバンドならではで、サウンドそのものも実は大分ポップに振られていて、この辺はオーティスのバランス感覚が物を言っているようだ。

 ラストの"End Of The Line"はまさに大団円にふさわしい。オープニング曲以上に徹底的にヴォーカル回しがなされている。サビを頭に配したスタイルは「ビートルズ風」でもある。そのサビもヴァースも両方をメンバーが交代で歌うのがウィルベリーズらしい楽しげな雰囲気を演出している。珍しくネルソンがペダルスティール風のスライドを弾いている。

→サングラスを取ってみる?

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