Denny Laine

Wings At The Sound Of Denny Laine

Mull Of Kintyre
Time To Hide
Children Children
Go Now
Silly Love Songs
The Note You Never Wrote
Listen To What The Man Said
Deliver Your Children
Can't Nobody Love You
Say You Don't Mind
Again And Again And Again
Picasso's Last Wards
Blackbird
Band On The Run

 リリースの話を聞いた瞬間に「よくもまあ恥も外聞もなく・・・」と悲しい気分に陥れられた作品だが、同時発売(日本盤ね)で結構評判も良い"Reborn"を買わずにこれを買っている俺にもどうかと思う。どうにもこういうカヴァー/リメイク物が好きなもんで・・・

 つまり曲目を見れば解る通りのデニーによるウイングス(及びソロ・他)のセルフ(とは言えない物も多数)カヴァー集である。サウンドは非常に安っぽく、低予算ぶりに再び悲しい気分になるし、更にポールの曲をカヴァーした曲は声域(と、スター性)の違いに更に悲しく・・・ちょっと"Band On The Run"や"Silly Love Songs"は辛くて聴けない。自作(俺的デニーの最高傑作)の"Time To Hide"でさえ圧倒的にしょぼくなっている(声も出ていないし)。この曲の場合は逆説的にポールのベースのグルーヴの凄さを感じられるのは面白いが。

 しかし、このアルバムを捨ててしまうには惜しいものにしているのは、ウイングスの"London Town"を彩ったデニーの純英国産トラッド/フォーク趣味みたいな部分が出たトラックである。オープニングの"Mull Of kintyre"は勿論オリジナルはポールが歌っているがデニーとの共作、しかもこのヴァージョンを聴くと「実はデニーの担った部分は大きかったのでは・・・」とも思わせる。彼の声質にも合っているし、オリジナルのバグパイプをフィドルに置き換えたアレンジもフォーク色の強化につながって決まっている。ただし同じくアコースティックアレンジになった"Listen To What the Man Said"は今一。やっぱりポールの曲はデニーの音域では歌いこなせないようだ。
 "Children Children"や"Deliver Your Children"、ポール作だがデニーによく合っていた"The Note You Never Wrote"、自作で元々はポップなアレンジだった"Again And Again And Again"等もアコギの弾き語りまたはそれに準ずるアレンジとなっていて、結構オリジナルを超えてるんじゃないかとさえ思えたりもする。特に"London Town"期の2曲は(元々好きなのだが)実に素晴しい。バンドアレンジのお馴染"Say You Don't Mind"も以前のリメイクよりシンプルになって心地よい演奏だ。

 他にはリメイクやり過ぎの"Go Now"も相変わらず入っているがやっぱりもう一つ。それよりポールの"Picasso's Last Wards"(オリジナルでも出だしのヴァースはデニーだったので違和感がない)や"Blackbird"、そしてムーディーズのレパートリーだった"Can't Nobody Love You"が良い。勿論これら3曲もアコースティックな演奏。結局はこう言うのばっかりで1枚作って欲しかったな、と思わせる1枚なのだった。