つまり曲目を見れば解る通りのデニーによるウイングス(及びソロ・他)のセルフ(とは言えない物も多数)カヴァー集である。サウンドは非常に安っぽく、低予算ぶりに再び悲しい気分になるし、更にポールの曲をカヴァーした曲は声域(と、スター性)の違いに更に悲しく・・・ちょっと"Band On The Run"や"Silly Love Songs"は辛くて聴けない。自作(俺的デニーの最高傑作)の"Time To Hide"でさえ圧倒的にしょぼくなっている(声も出ていないし)。この曲の場合は逆説的にポールのベースのグルーヴの凄さを感じられるのは面白いが。 しかし、このアルバムを捨ててしまうには惜しいものにしているのは、ウイングスの"London Town"を彩ったデニーの純英国産トラッド/フォーク趣味みたいな部分が出たトラックである。オープニングの"Mull
Of kintyre"は勿論オリジナルはポールが歌っているがデニーとの共作、しかもこのヴァージョンを聴くと「実はデニーの担った部分は大きかったのでは・・・」とも思わせる。彼の声質にも合っているし、オリジナルのバグパイプをフィドルに置き換えたアレンジもフォーク色の強化につながって決まっている。ただし同じくアコースティックアレンジになった"Listen
To What the Man Said"は今一。やっぱりポールの曲はデニーの音域では歌いこなせないようだ。 他にはリメイクやり過ぎの"Go Now"も相変わらず入っているがやっぱりもう一つ。それよりポールの"Picasso's Last Wards"(オリジナルでも出だしのヴァースはデニーだったので違和感がない)や"Blackbird"、そしてムーディーズのレパートリーだった"Can't Nobody Love You"が良い。勿論これら3曲もアコースティックな演奏。結局はこう言うのばっかりで1枚作って欲しかったな、と思わせる1枚なのだった。 |