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Paul McCartney Paul McCartney / Vocals , All
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SIDE 1 Coming Up |
SIDE 2 Front Parlour |
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ポールが(よりによって)テクノポップに挑戦(してしまった)アルバム。これが一般的なこの作品の評価だ。ポールっていう人は常に「最先端コンプレックス」を持ってるので、ここで「それじゃあいっちょ俺も」と思ったのは間違いないだろう。では、このアルバムはテクノポップか?それに関しては「違う」と断言したい。テクノポップの手法を取り入れた曲もある、という程度だ。シンセ使ったらテクノポップだと思われちゃあたまんねえのだ。 アルバムが出るころにはウイングスのライヴでもお馴染だった"Coming Up"はアルバムのリードシングルでもあり、更に曲順的にもトップという、重要な曲だ。とにかくメロディはポップ極まりないが、シンプルに徹したドラムとベース、シンセブラス、エフェクティブなヴォーカル、と、よく聴いてしまえば「異質」と思われてもしょうがないだろう。だが、大事なポイントは「そんなコトはどうでもよかった」ということで、実際この曲は大ヒットしている。買った人達は「ポールの声が違う」とか「リズムが無機質」とかそんなところは聴いていないのだ。ポップな曲にシンプルな歌詞、楽しいビデオクリップと、それで充分。 "Temporary Secretary"はこのアルバムをテクノ扱いさせる曲の一つだ。シーケンサーによるリフが全編を支配し、ポールのヴォーカルも無機質に響く。"Temporary Secretary"と言う言葉自体、どこかメカニカルに響くが「臨時秘書」だそうだ。歌詞は例によってあまり深い意味はなく、サウンドを重視。何たって「美人臨時秘書が欲しいんですよマークスさん!」だ。しかし、馬鹿でスケベでメカニカルだが、非常にいい曲だ。シングルカットもされたが売れなかった。 "On The Way"は曲だけ聴けば普通のブルーズナンバー。ブリティッシュブルーズのワリと典型っぽい曲だが、"Let Me Roll It"程ヘヴィーではない。サウンドはスカスカで、そこをディレイで埋めているのでこれまたエレクトリックに響いてくるのだ。従ってアルバムにカラーにマッチしている(意図的なのは間違いないが)。エンディングのコードが全然ブルージーじゃなくて、ポップ寄りなのがポールらしいが、これが次の曲とのつなぎとして素晴らしい効果になっている。 エレピの弾き語りによる"Waterfalls"は本来ウイングス用の曲だったという。確かに後期ウイングスにマッチしそうな曲だ。アルバム中最高のメロディーのバラードだと思うが、残念ながらシングルはヒットしなかった。ビデオクリップではイントロと「オチ」がついている。何ががらがらがっしゃんですか。 スカスカ&エフェクティブブルーズ第2弾は"Nobody Knows"。こちらは8ビート主体のリズムになっている。"On The Way"同様、ポールがブルーズギターを弾きまくっているが、これがやはり湧き出るポップさを隠しきれないフレージングになっており、この人は根っからのポップなんだな、と思わせる。 YMOに影響を受けたといわれるインストナンバーが"Front Parlour"。ぎこちないリズムに乗せてシンセでメロディーが奏でられる。機材のチェックをかねて演奏されたようなラフな作りで、いわゆる「テクノポップ」の異常な作り込みには到底及ばない。多分あまり打ち込みパートは多くなく、人力テクノの部分が強いんだろう(YMOも実はそうだが)。勿論ポールはそんなコト気にしちゃいないだろうが。 "Summer's Day Song"は「悪夢」を歌ったナンバーで、内容の通りちょっと不気味だがドリーミーな世界が展開される。あっという間に終わってしまうが、美しい曲だ。 "Frozen Jap"もテクノポップ狙いの曲で、YMOと冬の富士山からのイメージこのタイトルがついたとポールは弁解している。まあ俺は信じるけど。何にしても逮捕以前に出来ていた曲なのは間違いないようだ。"Front Parlour"同様のインストで、サウンドも似通っているが、こっちはより人力部分が多いと思われる。 "Bogey Music" は"On The Way"や"Nobody Knows"の路線に近いブギーナンバー。ヴォーカルは更に派手にディレイがかかっているうえ、2通り(以上)の歌い方で重ねられていて訳が解らない。基本的にはエルヴィススタイル(と言うより、物まね)で歌われている。ドタバタしたドラミングはこの曲には大正解で、いい感じに荒っぽくなっている。楽しい曲だ。 "Darkroom"はかなり異様な印象の曲。「Come a come a...」を繰り返すファルセットが不気味だ。バッキングのシンセも雰囲気をもり立てる。しかし、妙に印象に残る曲で、気づくと好きになってしまっている。 ラストは最もシンプルな"One Of These Days"。アルバム中唯一のアコギ弾き語り曲で、また唯一リンダがバッキングヴォーカルを担当する("Darkroom"にもリンダの声が聞こえる気がするが)。この曲でやっとほっとするというポールファンも多いだろう。 |
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