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Paul McCartney Paul McCartney / Vocals &
all instruments Chris Davis / Sax |
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SIDE 1 My Brave Face |
SIDE 2 This One Ou Est Le Soleil (CD Bonus Track) |
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特に大きなブランクがあったでもないのだが、このアルバムには「ポール復活」の気配が強く漂う。それは85年〜86年のアルバムの弱さや、翌87年のジョージの大ヒットがあったが故の印象だろう。勿論、ウイングス解散以来久々のツアーが付随したこともその大きな理由である。 "My Brave Face"はクリップに日本人が堂々と登場することも話題になった。この阿呆のようなPVは置くとしても、ポール復活を感じさせるに充分な素晴しいポップチューンである。 打ち込みファンクの"Rough Ride"は、スティーヴ・リプソンとトレヴァー・ホーンが全面参加、フュージョン的でダークなバッキングが非常に印象的。ただ、やはり打ち込みがまとまりすぎていて面白みが無い印象もあるので、これはもう圧倒的にバンドによるツアーリハーサル(ビデオやシングルのカップリングに収録)ヴァージョンや、ライヴが圧倒的に良い。難しい曲を緊張感溢れる演奏でしっかりキメると、ポールのヴォーカルも冴え渡る。この曲等ではポールの新兵器、ウォルの5弦ベースが活躍している。 "You Want Her Too"はコステロとのデュエットだが、過去のアルバムのようなこれ見よがしに大物共演ではないところが好印象。曲そのものはコステロ色が強いワルツで、あの独特の声でシャウトされるとファンとしてはたまらない。ポールとのコンビネーションもばっちりで、時にぶつかり合い、時にハーモニーを作りあげる、バラード調でありながらカッコ良いデュエット曲になっている。 "Distructions"は普段のポールバラードより更にクール。優しく、しかしあくまで淡々と歌われる。ウォルで弾くベースラインもまた、実に魅力的だ。ポールが自分で弾く低音を生かしたギターソロも良い。 "We Got Married"はフラメンコ風(?)のギターで始まる曲で、マイナー調のサウンドと相まって「結婚」を扱ってるのにサウンドはハッピーではない感じだ。ただ、フラメンコな感じのせいでバラが似合ったりして、この辺の微妙な感じが面白い。ギターソロは泣きのフレーズ世界一のデイヴ・ギルモア。更に印象的なトランペットは名手ガイ・バーカーのプレイだ。 "Put It There"はポールお得意のアコースティックなポップナンバー。ホワイトアルバムSide2路線、と言えば分かり易いだろう。やはり得意の膝パーカッションも使われていて、楽しげにプレイする姿(withすね毛)はツアーのリハーサル風景を収めたビデオでも見られる。アイルランド系独特の言い回しを使った歌詞も面白く、ポールも気に入っていたようでアルバムからの4枚目のシングルにもなった。ライヴでは"Hello Goodbye"のコーダが使われたのも印象深い。 ツアーのオープニングでも使われた"Figure Of Eight"はアルバム中髄一のロックナンバー。ポールのシャウトするヴォーカルも気合い入っている、が、リプソン/ホーンのコンピューターをバックにしたアルバムヴァージョンでは気合いのシャウトも空回り気味。ここはやはりシングルヴァージョンで聴きたい。こちらはバンドによる演奏で、もうグルーヴが全然違う。ロビー・マッキントッシュのスライドギターソロも冴え渡る7インチヴァージョンを圧倒的にお勧めする。手に入らなければライヴヴァージョンでもいいや。 アルバムからのセカンドシングルであり、ファーストシングルに匹敵するポップさを誇るのが"This One"である。こちらもハーモニーから始まるが、パワフルな"My Brave Face"に対し、あくまで幻想的に始まる。そしてベースとヴォーカルのみの演奏から徐々にバッキングが増え、グイグイ盛り上げつつどんどんポップになっていくのだ。ほとんど後のツアーに参加するメンバーのみでプレイされたシンプルな演奏も効果的。後半からエンディングにかけては「2代目デニー・レイン」ことヘイミッシュ・スチュアート(元アヴェレイジ・ホワイト・バンド)がカウンターメロディを歌い、そのソウルフルな咽を披露。ポールに負けない存在感を発揮していて、更にバンドっぽいのが嬉しい。 "Don't Be Careless Love"もコステロとの共作だが、ここまで出てきた曲に比べると若干弱い。コステロ独特の重苦しい作風がポールに会ってるとは言い難い部分があるのだ。もうちょっと得意のゴスペル路線に持ち込んだアレンジをしたら成功したかもしれない。 もう1曲、"That Day Is Done"も明らかにコステロ向けの曲で、実際彼のヴァージョンも存在(コステロの現行盤CD"All This Useless Beauty"のボーナスディスクに収録)し、そっちの方が明らかに良い出来である。アコースティックなアレンジ、しかもコーラス隊を導入し、ゴスペル風に処理しているのだ。 "How Many People"はポール流のレゲエで、実際にジャマイカで作曲された。「あそこに行ったらレゲエをやるしかない」等と能天気かつ安易な発言をしていたが、残念ながら過去にウイングスでやったレゲエよりクォリティ的に劣る。リプソン/ホーン組の打ち込みリズムが弱いのかもしれない。しかしポールならではの陽気でポップなメロディは捨てがたいものがある。弱いながらどこか気になる曲なのだ。ヘイミッシュがセカンド・ヴォーカルとクレジットされている。 "Motor Of Love"は得意路線の壮大なバラードで、3拍子の曲になっている。ヘイミッシュがギターとコーラスで参加しているが、それ以外のメンバーがアルバムのほかの曲とは大分異り、おそらく違う時期の録音にオーヴァーダブして仕上げたものと思われる。仕上がりには特に違和感はない。 ラスト、とは言ってもCDのみ収録の"Ou Est Le Soleil"は、単純な歌詞を繰り返す打ち込み主体の曲。この時期のシングルB面によく見られた曲調で、実際シングルのカップリングとして別ミックスが幾つかリリースされている(単独シングルも存在)。古いポールファンには評判の悪いタイプの曲だが、個人的には嫌いじゃない。この時期はハウスミュージックが出はじめた頃で、また「新し物好き」の血が騒いだというところか。しかしハウスではなく単なるディスコになってるのはご愛嬌。 |
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