Dancing Madly Backwards (On A Sea Of Air)
Armworth
Myopic Void
Mesmerization Ecripse
Raging River Of Fear
Thousand Days Of Yesterdays (Intro)
Frozen Over
Thousant Days Of Yesterdays (Time Since Come And Gone)
I Can't Feel Nothin' (Part 1)
As The Moon Speaks (To The Waves Of The Sea)
Astral Lady
As The Moon Speaks (Return)
I Can't Feel Nothin' (Part 2)
第1期ディープ・パープルを愛聴していたので、当然のようにロッド・エヴァンスの歌がもっと聴きたくなった。結局ディープ・パープルの魅力は彼のヴォーカルとジョン・ロードのオルガンなので(暴言)、レインボーなんか興味のない俺でも絶対気に入るはずなのがこのバンド、キャプテン・ビヨンドなのだった。
パープルをクビになったエヴァンスがアメリカで結成したバンドで、ギターとベースは元アイアン・バタフライ、ドラムは元ジョニー・ウィンター・アンドのボビー・コールドウェル(AORの人にあらず。同姓同名)という一種のスーパーバンドで、一応アメリカのバンドながら、作詞作曲をエヴァンス/コールドウェルで担当しているせいかどっちかと言えばブリティッシュロックの香り。しかも「ハードロック路線に向かない」ためにパープルを解雇されたはずのエヴァンスがハードロック(かなり個性的だが)をやる、という結構すごいコンセプト。しかもソレが成功しているのだ。
曲は最長でも4分と、すべてコンパクトだが実際には組曲風につながっており、全体を通して一つの曲と言ってもいい仕上がり。そしてハードなギターサウンドにポップなメロディ、それにハーモニーと、結構プログレ的でもある。そもそもパープルはそういう要素を持っていたバンドで、例えばロードとエヴァンスを中心にパープルがそっち方面に進んでいたらこういう音だったかも・・・とも思わせる。ただしこのバンドにはキーボーディストもいないし、クラシカルな要素もない。その点が大きな違いか。
コンセプトはともかく、1曲目の"Dancing Madly Backwards"がもういきなりイカしている。ストレートなビートのハードロックナンバーを変拍子で挟み込んだ感じ。コールドウェルのテクニカルなプレイが冴える。ギターも唸り、もちろんエヴァンスの歌も、メロディも最高である。
そのまま"Armworth"、"Myopic Void"と切れ目なしに展開していく。しかし、例えば2分弱の間奏曲のような"Armworth"でもポップなメロディがしっかり作られていて、コンセプト作品特有の「全体は凄いけど曲単独で見ると弱い」という弱点を見事に克服している。勿論"Myopic Void"のラストでは1曲目をリプライズするという「お約束」も忘れない。ここまでが第1部(?)。この「リプライズパターン」はアルバムのそこかしこで繰り返される。おおまかに分けて第4部まであるのだ。(ちなみにこの「第何部」ってのは俺が勝手に付けた呼称だ。信じないように)
コールドウェルのドラムはちょっと軽めでスピーディかつ手数が多いと言う、イアン・ペイスに通じる特徴を持っていて、たまにパープルを聞いてるような錯覚に陥る瞬間もある。"Mesmerization Ecripse"と"Raging River Of Fear"の「第2部」なんかがまさにそうだが、こういうのを聴くとエヴァンスの歌が決してハード路線に合致しなかったわけではなかったと思える。そりゃあイアン・ギランは強力だが、エヴァンスを擁した第2期と言うのも聴いてみたかった気もする。でもその場合この素晴らしいアルバムは世に出なかったわけで、それに当然第2期パープルの名盤の数々も存在しないことになり、やっぱり世の中ってよくできてるなあ、とも。
"Tousand Days Of Yesterdays"の二つのヴァージョンで挟まれた「第3部」はアコースティックバラード、得意の変拍子ハードロック、ちょっとラテン風リズムの曲、とバラエティに富んだ編成だ。そのラテン風の"Tousand Days Of Yesterdays"の長い方のヴァージョン(タイトルは同じだが曲は違っている)はちょっとイエス風だ。
最後の流れとなる「第4部」だが、"I Can't Feel Nothin'(part 1)"はヘンドリクスの"Spanish Castle Magic"にそっくり。言っちゃあ何だが、コレばっかりはパクりだろう。でも格好良い。
この曲のパート1&2で"As The Moon Speaks"の二つのヴァージョンを挟み込み、その二つのヴァージョンは更に"Astral Lady"というたった15秒の曲を挟み込むと言う流れだ。
コンセプトアルバムのくせにコンパクトで、しかもポップだからやたらに聴きやすい。しかもサウンドは十分にパワフルで、イエスとパープルのいいとこ取りみたいな感じの、要するに聴いといて損はないぞ、って言う。是非。