So Far Away
Money For Nothing
Walk Of Life
Your Latest Trick
Why Worry
Ride Across The River
The Man's Too Strong
One World
Brothers In Arms
Live Aldで見たダイア・ストレイツは格好良かった。スピーディーでメリハリの効いたロックを、やたらクールに決めていく、しかも上手い。そんな印象のバンドで、かなり早い時期に俺や従弟の心を捉えたバンドの一つだった。そして、俺は"Money For Nothing"のシングルと"Walk Of Life"の12インチ("Saltans Of Swing"のライヴが入っていた)を買い、従弟はこのLPを買った。当然の様にお互いにレコード聴かせ合ったのだが、まだガキだった俺の耳にはこのアルバムはあまりにも地味だった。既にTVKの「ビルボードトップ40」でも聴いていた"Walk Of Life"屋"So Far Away"は良かったが、前出の"Money For Nothing"を含む3曲以外は内省的な曲が多く、正直「どうしてこれがあんなに売れまくってるの?」と、俺の頭上には巨大な「?」が浮かびまくるのであった。
それ以来、俺はヒット曲以外のダイア・ストレイツは何となく敬遠気味になり、ほとんど"Money For Nothing"だけを聴くという道を辿る。困った事にこの男はこの曲だけは極端に気に入り、ライヴヴァージョン等をあさりまくるんだからタチが悪い。そして逆にコレがツボだったらしい従弟はアルバムを全て揃えるだけでなくノップラーのソロにも手を出すようになり、現在に至るわけだが、最近になってそんな従弟と話してるうちに俺の中で「こいつに再挑戦してやろう」という気持ちが強力に出てきたのだ。
結論から言うと、俺は20年間大きな誤解をしていた。「最初の3曲以外が地味」と言うのもコレが結構間違いで、むしろ"So Far Away"の方が地味、みたいな部分もある。そして何よりも、これは俺が成長して(=年をとって・・・?)感じるのだとは思うのだが、やっぱり「地味だがいい曲」が揃っている、というのが強く感じた部分だ。
勿論前出の3曲は強力である。しかしその中でも最近は"So Far Away"の優しげなサウンドが一番来る。昔は「これがシングル?」とまで思ったが、これも年をとった効果だろうか。
それから"Walk Of Life"は当時は普通にポップソングとして聴いたのだが、例のシンセ(このアホっぽいフレーズを格好良く聴かせるのも実は凄い事なのだが)を取り去ると実は普通にロカビリーだと言う事が解る。この辺はノップラーのルーツを巧妙にヒット性のあるサウンドに練り込んだプロデュース力の勝利とも言えるかもしれない。
俺が地味だと感じたのは例えば深夜のFM(当時の!)にぴったりな感じの"Your Latest Trick"や"Why Worry"の様なタイプの曲で、あまりにも良く出来たポップミュージックぶりに「ロック」を感じられなかったんだろうと思う。特にLive Aidでのロックンローラーぶりをイメージしてしまっていた俺にとっては。しかし、むしろこれこそが彼らの本領に近いのではないかと思う。「実はルーツ」な"Walk Of Life"タイプの曲はともかく、"Money For Nothing"の方が彼ら的には異端なのだ。そして、年をとった俺にはこういう「地味」な曲も凄く気持ち良い物に響く。"Why Worry"の美しいギターのメロディなど、「地味」で片づけるのは中学生のガキのやる事である。俺は大人になったらしいのだ。
ニュー・ウェーヴ的レゲエ解釈とAOR的な感覚が合体した"Ride Across The River"はどう考えてもダイア・ストレイツ以外に作れないサウンド。また、アメリカ的なフォークをノップラー流に料理した"The Man's Too Strong"もどうしても滲み出てしまう英国人ぶりが独特の世界を作り上げている。ノップラーのヴォーカルはディランの影響が強いのだが、こういう風にやっても似ない、というのが面白い。そしてファンキーなチョッパーベースが聴ける"One World"、この辺の流れまで「地味」と思ってしまったのは当時の俺の大きな不覚だった。トップ3曲に負けないくらいバラエティに富んで、エキサイティングな展開じゃあないか・・・いくらガキとは言え、コレを理解出来なかったのか、こいつは。
そしてラストを飾る"Brothers In Arms"。あくまで抑えたトーンを貫き通すこの曲の良さを理解出来なかったガキ、これは仕方がなかったのだろうか。