Jerusalem
Toccata
Still...You Turn Me On
Benny The Bouncer
Karn Evil 9
俺はクラシックが苦手(と言う事がコンプレックスになってるのだが)なんだけど、クラシックをロック化した物は結構素直に聴けると言う困ったロックファンだ。そんなワケなので、有名な「展覧会の絵」をEL&Pのヴァージョンで聴いたのがこのバンドとの出会いだ。聞き覚えのある"Promnade"のメロディで入りやすいのは勿論、"The Old Castle 〜 Blues Variation"での凶暴なブギーが俺のお気に入りだった。勿論「胡桃割り人形」こと"Nutrocker"もだ。
EL&Pに関する思い出は、高校の頃の部活(ブラスバンド)の顧問がプログレファンだと言うので話を聞いていた時の事だ。彼はフロイドの来日公演なども見たそうなのだが、俺が「最近EL&Pを聴いた」と言ったら「アレはプログレじゃなくてキワモノって言うんだ」と返された事だ。言い得て妙だな、と今に至るまで思い続けている。
さて、本題は「展覧会の絵」ではない。そりゃあ「展覧会」はエキサイティングなライヴだが、アレンジしたとは言え所詮はクラシック。最初からロックとして作られた(クラシック的要素を大量に、引用を含んで取り入れたとしてもだ)音楽にその凶暴性などでかなう筈も無い。それに、クリムズンや他のEL&Pのアルバムを聴いた俺は「展覧会」で不足してる物の存在に気付いてしまったのである。
そう、以前も俺が書いた筈の「プログレの定義」である。つまり「グレッグ・レイクの声」だ。いや、勿論「展覧会」でもレイクは歌っているのだが、なんか元々歌うように作られてないメロディに歌詞を乗せてるせいかしっくり来ていない。あんなモンはレイクの本当の魅力じゃあないと思う。
傑作と誉れ高いこのアルバムは、当然エマーソンの縦横無尽に暴れ回る大量のキーボード類も堪能出来るし、パーマーのドラムソロ("Toccata")まで聴ける。そして、俺の大好きなレイクのヴォーカルも充分に収録されているのである。オープニングの賛美歌"Jerusalem"での朗々とした歌唱は「展覧会」の"Great Gates Of Kiev"のヴァリエーションと言う感じでまだ序の口であって、やっぱり素晴らしいのは大作"Karn Evil 9"の"1st Impression"におけるヴォーカルだ。ってーかね、この曲自体がもう物凄い格好いい曲なのだな。こういう長い曲、特にプログレの場合ってもっさりする(悪い表現)パターンが多いんだけど、 この曲って複雑なリズムを含みながらもあくまでも疾走感を強調するようなアレンジになっていて、聴いていて全然飽きる事が無い。特にこの"1st Impression"はね。で、レイクのヴォーカルはここでは何とショウの呼び込み役なんだけど、早口で饒舌なヴォーカルスタイルが見事にマッチしている。完全にピアノジャズの"2nd Impression"、クラシックかミュージカルのフィナーレみたいな"3rd Impression"と続くんだけど、ロック的ダイナミズムでは圧倒的に"1st Impression"が凄い。この感覚はベストなどに収録されているコンパクトなシングルヴァージョンでも楽しめるから、気楽に聴いてみて欲しいな。
そう、EL&Pの最大の魅力は「気楽に聴けるプログレ」と言う点だ。だって凄いエンターテイナーなんだもん。特にエマーソン。「小難しい芸術家」がオルガンにナイフを刺しますか?リボンコントローラーを股間にこすりつけますか?オルガンの下敷きになりますか?ピアノによじ登りますか?大砲をぶっ放しますか?
成程、やっぱり「キワモノ」かもしれない。