Schubert Dip

EMF

Children

Long Summer Days

When You're Mine

Travelling Not Running

I Believe

Unbelievable

Girl Of An Age

Admit It

Lies

Longtime

90年代のセカンド・サマー・オブ・ラヴの頃のハウス/テクノを取り入れたサウンドには過去多大な影響を受けたことは以前にも触れた。当時ライヴはあまり見に行かなかったが、テレビでライヴを見て行けばよかったと思ったのが彼らだ。
 とにかく、キーボーディストが凄い。他の4人はどうでもいいや、彼だけ注目したいほどだ。何しろ、そもそも彼は楽器を「弾かない」。彼の前にある鍵盤は単なるサンプリングのトリガーであり、鍵盤をブッ叩くと「Oh! What's Fuck!?」「It's Unbelievable」などとサンプリングが飛び出すだけなのだ。そして、この馬鹿はその合間合間に「踊る」「暴れる」「キーボードスタンドに上る」「スタンド上で逆立ち」「スタンドからジャンプ」「キーボードを投げる」「キーボードを落とす」「シンバルをタオル(?)で乱打する」等の行動を延々繰り返す。もちろん馬鹿なので自分が音を出す場所を暴れるのに夢中で忘れるし、投げて落とした鍵盤からは当然不必要な音が出る。人はこれを「パンク」と呼ぶ。

このEMFは「ジーザス・ジョーンズの弟分」扱いでデビューした。多分ジーザスとは関係無かったんだろう。本人達がインタビューなどでその事に触れたところは見たことが無い。しかも、このデビュー作の音は「作られた」ものだった。セカンドアルバムの頃の発言を読むと「ファーストには不満だ」「アレはプロデューサーが勝手にああやった」等と言っている。
 そして、この「作られた」アルバム、そしてシングル"Unbelievable"は馬鹿売れした。「兄貴分」ジーザス・ジョーンズが遂に果たせなかった全米No.1も獲得した(しかもその時の3位はジーザスの"Right Here Right Now"だった)。来日公演も大成功。アイドルのごとく黄色い声援の飛び交う中、前述のような馬鹿パンクハウスロックを聴かせてくれた。
 売れてしまったことで、単なるスケーター小僧のクセに生意気にも「発言権」と「ミュージシャンシップ」が生まれてしまった。そういったうえでの前述の発言、そして、よりハードエッジになり、パンク色の強まったセカンドアルバムのリリース。しかし、このセカンドはさほど売れなかったし、評価も「?」であった。

要するに、ミリ・ヴァニリなワケだ。パターンは逆だが。「いいじゃねえか、それで」ってワケである。もっと最悪だったのはこいつらの場合もともと自分たちでやってて、本性を現した(つもりになった)らコケた、ってコトだが。

ただ俺は、こいつらこの時点では別にこの音に不満だったわけねえと思うのだ。何しろ、斬新だったし、ポップだったし、踊れた。女の子達はルックスもいいと思ったらしい(俺には解らんが)。実際、ステージでの彼らには嬉々としている印象しかない(若干ヤケクソにも見えるが)。

全てが名曲というつもりはない。でも、やっぱり"Unbelievable"は歴史に残るべきポップソングだと思うし、他にもシングルカットされた"Children","I Believe","Lies"は全ていい。特に"I Believe" の疾走感、"Lies"の哀愁気味メロディは素晴らしい。小粒なポップだが"Admit It"も可愛らしいし、ライヴでもラストに来るトリッピーでクールな"Longtime"も好きな曲だ。
 日本盤には更に2曲のライヴ、クリームをパンクノリにした"Starange Brew"と「テーマ曲」"EMF"が入っていて、前者はオリジナルよりずっと好きだし、後者は馬鹿キーボーディストの下手糞なラップが聴けるので楽しい。お勧めである。どうせブックオフに行けば950円で売ってるよ。

ちなみに、EMFとは「Extacy Motherf***er From us to you」(または単にExtacy Mother F***er)の略だという。極めて馬鹿であると言えよう。