Some Of My Life Are True (Sooner Or Later)
Don't Make Me Do It
Stop Trying
Now Here's You
I Want You
Don't Ever Tell Me That You Love Me
Hearts
Trouble In Paradice
Who Cares?
If You Really Love Me You'll Let Me
前身バンド、クローヴァーがエルヴィス・コステロのデビューアルバムでバックを勤めたのは有名な話だが、クローヴァーは当時イギリスで武者修行時代にあった。メンバーはこの(再)デビュー盤に至る間に変わったが、その時代に受けた音楽的な影響はここでのサウンドに色濃く出ている。
そう、このアルバムはほとんどパブロックの様な音なのだ。
違うのはパブロック勢の持っていた「パンク色」の様なものがほとんど無いというところで、それ以外の、サウンドからビジュアルイメージまで、イギリスのパブロックや、同時代のニュー・ウェーブ等からの影響が随所に見えているのだ。
例えばこのジャケット、まるでブームタウン・ラッツの"Tonic For The Troops"の裏ジャケの様だし、ショーン・ホッパーのオルガンはヴォックス製(まるで彼の「後任」スティーヴ・ナイーヴの様に!)、そしてマリオ・チポリナのツイン・ネックのベース(バリトン・ギター?)も、(何故か)英国をイメージさせるダンエレクトロの物だ。
そして、裏ジャケはビーチ・ボーイズのパロディだが、書き割りにしか見えない海をバックにした人をナメた様な佇まい(不敵さとユーモアの同居!)も、コステロ&アトラクションズやプリテンダーズ、ラッツ等を彷彿とさせる。
サウンドもそうだ。ホッパーのチープなヴォックス・オルガンを中心にしたシンプルなR&Rと言うスタイルはやっぱりアトラクションズ的でもあるし、6人編成と言う大所帯ながらシャープさを失わないアンサンブルはブームタウン・ラッツとの共通点を感じる。
ただ、ソレだけでは「米国人によるパブロックのコピー」にしかならなかっただろう。彼らの大きな個性として、やはりヒューイ・ルイスの暖かみがあって、人懐っこいヴォーカルスタイル(と、顔)と言うものがあったことは間違いない。
メロディのセンスが米国的と言うべきかは解らないが、でもこの声の湿度の低さはやはりアメリカ的だし、例えばコステロやゲルドフの様なメソメソした部分はほとんど見当たらない。
多分"Some Of My Life Are True"にしろ、"Who Cares?"にしろ、イギリス人が歌ったらもっとパンキッシュになったんじゃないだろうか。ヒューイのスタイルはパンクのヴォーカルと違って決してヒステリックな音は出さない。その分、直線的だが丸みの有る音になるのだ。
結果、「ポップなR&R」に、気持ち良く収まっていく、っていうセンスは生まれついての米国的要素なのかな、とは思う。
この後、彼らは英国色を徐々に薄め...いや、むしろきっちり消化して、と言うべきかもしれないな。シャープなサウンドとポップなメロディ、いい声を活かしながら、ヒットを量産する「米国の代表」的なバンドになって行く。それはそれで俺の原点の一つでもあるし、大好きだけど、その初期にはこういう「派手じゃないけど小気味よい」バンドだったんだよ、っていうのは重要なコトだと思う。特に個人的には「英国かぶれ」の俺が何故「アメリカの顔」みたいなバンドにそこまで魅かれたか、のヒントにはなった、そんなアルバムだ。