Live At Filmore West

King Curtis

Memphis Soul Stew

Whiter Shade of Pale

Whole Lotta Love

I Stand Accused

Changes

Ode to Billie Joe

Mr. Bojangles

Signed, Sealed, Delivered

Soul Serenade

若いころ、ちょっとポップな感じがするジャケのCDを「ジャケ買い」したことが数回あった。こう言うのは俺の場合えてして外れるもんで、いつしかジャケ買いって奴はやらなくなっていた。
 ある日茅ケ崎の新星堂で俺はこの暑苦しいおっさんのCDを発見した。キング・カーティスはジョンの「イマジン」のアルバムでサックスを吹いている人というイメージしかなかったが、このアルバムのカヴァーの選曲や、参加メンバーに興味を持った。しかし何故か俺はこの「暑苦しい」ジャケに妙に魅かれていたのだ。そう、久々に「ジャケ買い」をやってみよう、と思ったわけだ。

このアルバムはアレサ・フランクリンのフィルモアのライヴの前座を彼がやったときの演奏だ。前座とはいっても、このバンドがそのままアレサのバックについたので、まあ一つのライヴの前半部分と言っていいだろう。参加メンバーはビリー・プレストンやバーナード・パーディー、コーネル・デュプリーといった名手を揃えたもので、これで悪い演奏をしろといっても無理だ、とさえ言いたくなる。実際、オープニングの"Menphis Soul Stew"からグルーヴしまくり。って言うかこいつこそが最高の名演なんだが。俺はパーディーのことは誇大妄想のビッグマウスって言うイメージがあって(ビートルズのドラムは自分が叩いた、とか言っていた)聴かず嫌いだったが、この曲で彼を認める気になった。それにしゃべりとサックスで自在にバンドを導いて行く御大キング・カーティスの存在感!ジョンのアルバムでのプレイもいいが、ここでのプレイはそんなもんじゃない。ソウルインスト最高の1曲、とさえ言いたくなるのは今聴いているからで他にもいいのはいっぱいあるが。

アレサの本編同様、白人の観客向けにロックのカヴァーを多くやっているのも特徴と言えよう。あえて言えばこれが成功してるとは言いにくいものがある。"A Whiter shade Of Pale"は特に新しさを感じないし、"Whole Lotta Love"もファンキーに生まれ変わってはいるが、あっさりしすぎの感もある。まあ、かっこいいッちゃあかっこいいんだけどね。こっちは後にジェイムズ・テイラー・カルテットがカヴァーするときの参考になったのかもしれない。
 何を思ったかバディー・マイルスの"Changes"をやっているが、これはパーディーも自らのリーダー作でやっているところを見るとそっちからの流れだろう。流石にソウル系ミュージシャンの曲だけあって違和感はない。元がファンキーな分バンドもノッているようだ。マイルスのヴォーカルが無い分だけかっこいい(問題あるかな)

それでも"Signed Sealed Delivered I'm Yours"やラストの十八番とも言える"Soul Serenade"はやっぱり素晴らしい演奏だ。特に"Soul Serenade"は「セレネイド(セレナーデ)」と聞いてバラード風を想像するが、抑えてはいるが実にクールでグルーヴィーな曲で、「ソウルでしかもセレナーデ」って言うのはこういう亊だ、とか解ったような口をきいてしまう俺なのだ。

本編のアレサのフィルモアも良かったが、実はコレよりあとに聴いたのでちょっとインパクトが弱かった。やっぱり必殺の"Menphis Soul Stew"の前には女王アレサも分が悪いんじゃないだろうか。