The Mgnificent Moodies

The Moody Blues

I'll Go Crazy
Something You Got
Go Now
Can't Nobody Love You
I Don't Mind
I've Got A Dream
Let Me Go
Stop
Thank You Baby
It's Ain't Necessarilly So
True Story
Bye Bye Bird

 ムーディ・ブルース唯一のアルバム、と呼んだら怒られてしまうがビートポップファンには(わざと)そういう認識をしている人は多いだろうし、実際問題としてビートグループとしてのムーディーズにとっては、またはデニー・レインをヴォーカルに据えるムーディーズとしては唯一のアルバムであり、また、2枚目以降のムーディーズは事実上別のバンドなので「このムーディーズ」唯一のアルバムであることは間違いあるまい。そうだな、「ザ」ピンク・フロイドの"Piper At The Gates Of Dawn"って言えば解りやすいかな。

 オープニングは"I'll Go Crazy"で、ジェイムズ・ブラウンの曲。パワフルでブルージーなナンバーで、デニーの声が若干負けているあたりがまたアレだが、この辺が実はムーディーズのミソだと思う。シャウトの質がベック(勿論ジェフではない)に近いものがあると思うんだけど。ちなみに出だしは"Shout & Shimmy"そっくりだ。JBナンバーはもう一曲、フーもやっていた"I Don't Mind"がある。コレははっきり言って迫力もないし、失敗。でもこういうセンスを持ったバンドだったことを示す例であることは間違いない。
 勿論"Go Now"が最大のヒットで、最高の名曲であることは疑う余地もない。だいたいウイングスのライヴでこの曲はちょっとしたハイライトだったのだから。デニーの頼りない声が良くはまったワルツで、実に女々しい雰囲気になっているのが逆に最高なのだ。間奏のピアノがまた素晴らしいのだな。ただ2匹目の泥鰌狙いかは知らないが(CDのボーナス含めて)こういう系統のバラードが他に数曲あって、それらはいまいち成功していると思えない。この辺が初期ムーディーズの限界だったのか?
 レイ・トーマスのフルートをフィーチャーした"I've Got A Dream"がモッドでポップで最高によい。可愛らしいメロディと控えめなアレンジがマッチ。
 "Let Me Go"はちょっと前時代気味な雰囲気なのだが、アレンジの一端にデニー脱退後のムーディーズに通じる物が見え隠れする興味深い曲。考え過ぎだったりして。でも"Nights In White Satain"をデニーが歌っていたら・・・とか想像すると面白いかもしれない。"Stop"もメロディのポップさに対してアレンジメントはかなり複雑(特にリズム)で、後の路線を彷彿とさせるかもしれない。どちらもマイク・ピーンダーとデニーの共作。ピーンダー主導か?
 "It Ain't Necessarily So"はカヴァーながら特にそういう気配の強く出た曲で、明らかに次回作の予感を感じさせる作りになっている。コレでもうちょっとサウンドにパワーがあれば最高の名曲だったのだけど。コレに関してはCDの音質の悪さもネックなんだけどね。
 しかしコレだけ多彩な世界を聴かせながらも、最後の"Bye Bye Bird"が全てを力技でブッ飛ばすのが最高のカタルシスなのだ。デニーが「無理やりシャウト」&「たいして上手くないブルーズハープ」(注)で大暴れ、大活躍する最高に格好良い曲だ。こういう馬鹿パワー炸裂の曲をこの世界では「ロック」と呼ぶ。実は"Go Now"なんか入ってなくてもコレ1曲のために買う価値のあるアルバムなのだ、コレは。

 とにかく音質をどうにかして再発希望だ。2nd以降だけがムーディーズじゃねえぞ!

(注)このバンドは基本的にレイ・トーマスがハープを吹くのだが、この曲ではデニーがハープを吹いていると思われる。ライヴ演奏を収めたフィルムではデニーがギターを持たず、ハープとヴォーカルだけを担当していた。この時はギターがトーマスか?