Moseley Shoals

Ocean Colour Scene

The Riverboat Song
The Day We Caught The Train
The Circle
Lining Your Pockets
Fleeting Mind
40 Past Midnight
One For The Road
It's No Shadow
Policemen & Pirates
The Downstream
You've Got It Bad
Get Away

 俺がOCSを知ったのは遅い。いわゆる「マッドチェスター!」の頃には名前くらいは知っていたがちゃんと聴いたことはなかった。で、そのまま噂を聞かなくなってしまった多くのバンドの一つでしかなかった。実際今彼らのデビュー作を聴いても深い印象は残らない。まあ、気にも留めてなかったわけだ。

 92年頃になるとポール・ウェラーのバンドにスティーヴ・クラドックが参加するようになる。「気に留めていなかった」バンドのメンバーの名前まで知ってるわけもなく、普通の若いギタリストをポールが見つけてきたと思っていた。でもよく話を聞くと彼こそがOCSのギタリストだという。それで、彼のバンドがアルバムを出すというんで、良さそうだし、ウェラーも参加してるらしいから聴いてみるか、って亊にしたわけだ。

 そしたら、予想以上に良かったんである。アルバムの前に"You've Got It Bad"のシングルを入手していたんだけど、これにいきなりやられた。もうアルバム待ち遠しい状態になっちまったんである。あんまり気にいったんで、ここでも全曲レビューをやっちまうわけだ。

 オープニングを飾るのは"The Riverboat Song"。独特のビート感を持ちつつも疾走感のあるナンバーで、つかみには最高。オルガンでポール・ウェラーがゲスト参加している。アルバムからのセカンドシングル(といってもアルバムより先に出た)としてリリース、こちらも「つかみ」として新生OCSを印象づけた。とにかくギターリフとオスカー・ハリスンのドラムパターンが全体を支配していて、文句無しにかっこいい。

 2曲目はもう永遠の名曲だろう。"The Day We Caught The Train"、この曲のコーラス部分には誰もが「反則だ」と思ったに違いない。「Oh-oh, La-la」の繰り返しを解りやすくも素晴らしくポップなメロディーに乗せて聴かされるのだ。これで一緒に歌わないやつは音楽を聴く耳が無いと言われても文句は言えまい。彼らのライヴでも当然最も盛り上がる曲の一つだ。当然シングルカットもされた。
 ちなみに歌詞はフーの"Quadrophenia"の主人公、ジミーの亊を歌っている。

 さらに駄目押しとばかりに"the Circle"が登場する。やたらにポップなメロディーの曲で、中期ビートルズ風でもある。ここでもウェラーがギターを弾いている。アルバムから4枚目のシングルとしてもリリースされているが、そのシングルのパート2にはアコースティックヴァージョンも収録。こちらはバラード風にアレンジされ、よりメロディーの素晴らしさが堪能できる。

 続く"Lining Your Pockets"は3拍子系のメロディアスなバラード。後半に向けて徐々にヘヴィーに盛り上がって行く曲だ。ライヴでもよくプレイされていてコンピレーションアルバム"Long Live Tibet"にはポール・ウェラーを迎えたライヴヴァージョンも収録。

 "Fleeting Mind"はアコースティックなナンバー。サイモン・ファウラーは実はこういう曲が本職(?)で、彼らのシングルのB面などによく入ってるタイプの曲。コーラス部分のあとのちょっとエレクトリックなリフがアクセントになっている。ベースラインもメロディアスで印象的。

 "40 Past Midnight"はちょっとストーンズの"Let's Spend The Night Together"風のリフを持った曲。そっちよりだいぶヘヴィー&ファンキーになっているが。ピアノが印象的だがおそらくクラドックがプレイ。

 凄くアーシーな"One For The Road"、個人的にとても気に入っている曲で、彼らはこのてのミドルテンポの曲をやらせたら最高だ。これもウェラーがピアノとバッキング・ヴォーカルで参加している。

 "It's My Shadow"では"The Day We Caught The Train"で歌われた「When you find that things are getting wild」と言う歌詞が再登場する。続編的な位置づけなんだろうか。曲はミドルのバラードで、まあ、得意路線。悪かろう筈が無い。ライヴではエンディングがレゲエ風のリズムに変わり(ここではオスカーのヴォーカルも聴ける!)更に最後の部分にはマンフレッド・マンの"Pretty Flamingo"の一節が歌われるアレンジ。楽しいので是非リリースして欲しい。

 "Policemen & Pirates"はアルバム中でも特に荒々しい音で、一瞬デモテープか?ってくらいの乱雑な印象も受ける。このアルバムの中では弱いほうに入る曲かもしれないが、名盤の中のワーストは並のアルバムに入ればトップクラスだ。油断は出来ない。

 "the Downstream"も緩急の激しいバラードナンバーだ。これもサイモンが中心になって作った曲だろう。地味だがアップテンポの曲に挟まれて心地よい耳休めになる。

  先行シングルとしても出ていた"You've Got It Bad"はストレート且つアッパーなR&Rナンバー。ライヴではしばしばオープニングにも使われていた。このアルバムヴァージョンはシングルにはないオープニングのサウンドエフェクトとちょっとダビーなエンディングが追加されていて、よりエキサイティングになっている。

 ラストの"Get Away"は、アコースティックギターとハーモニカをフィーチャーしたダークな演奏から始まり、3コーラス目からバンドが入ってくると一転ヘヴィー且つラウドな演奏に変わる。まさに最終曲に相応しいドラマティックさ。エンディングはブレンダン・リンチ得意のダブ風なミキシングも聴かれ、エキサイトは頂点に達する。当然ライヴでもエンディングに使われることの多かった曲だ。

 日本盤CDにはボーナストラックが3曲入っているが、どれも当時のライヴでもよく歌われたシングルB面曲だ。特に"I Wanna Stay Alive With You"のメロディーのよさは特筆に値する。残る"Robin Hood","Hackleberry Grove"もアコースティックなバラード。前者はよくライヴのアンコールでサイモンがソロで歌っていた。後者にはジャマイカのトロンボーン奏者、リコ・ロドリゲスが参加している。

 意識的に繰り返しライヴに触れてきたんだけど、彼らは本当にライヴがいい。特に凄い演奏をするわけでもないんだけど、とにかく誠実なのだ。代表曲は惜しみなく本編で演奏する。アンコールはあくまでファンサービスだ。ここではカヴァーやサイモンのアコースティック曲、B面曲が中心の演奏になる。殆どのバンドの様な「名曲はアンコールにとっておく」スタイルはとらない。ルーティーンワークのアンコールでは無いのだ。コレって、本当に偉いことだと思う。
 俺がみたOCSは。本来恵比寿ガーデンホール3日の予定が延期後に赤坂ブリッツ2日に変更。しかも客は7割程度の入り、と言う厳しい状況で行なわれた。アーティストが期限を悪くしたらいやだなあ、と言うこっちの心配をよそに彼らは最高の演奏をしてくれた。俺達もそれに応えられたと思っている。あんなに後味のいいコンサートは、他に無かった。また見たいな。