En-Tact

Shamen

Move Any Mountain
Human NRG (Massey)
Possible Worlds (Deep PSI)
Omega Amigo
Evil is Even (Edit)
Hyperreal Orbit
Lightspan
Make It Mine
Oxygen Restriction
Hear Me
666 Edit
Make It Minimal
Hyperreal Selector
Lightspan Soundwave
Progen 91 (IRP in The Land of Oz)

 90年代初め頃の俺は毎週ビートUKを欠かさず見て、新譜をチェックして新宿のヴァージョンで買う、というサイクルで生活していた。その頃の俺の興味はわりかしテクノ/ハウス方面に寄っていて、特に「テクノとロックの融合」みたいなキャッチフレーズはツボだった。例えばプライマル・スクリームの「スクリーマデリカ」、ヒプノトーン「Ai」、KLF、ジーザス・ジョーンズ、EMF...等々。
 そういった中には当然このシェイメンも含まれていた。当時の最新曲、"Move Any Mountain"はビートUKのチャートでも上位(2位くらいまで上がった記憶がある)にランクされていた。その背後にはベーシストのウィル・シン(シノット)の死、という暗い要素もあったが、ヒット性充分のキャッチーな曲はそうでなくても売れていただろう亊は確信できる。実際すぐにピンと来て、俺はこのアルバムを買った。

 俺が買ったのは紫のジャケットの"En-tact US"という奴で、実際には"En-Tact"のリミックス盤という扱いだった。これを買ったのは正解で、後にオリジナル盤(シルバーのジャケ)を買ったが、こちらにはシングルヴァージョンの"Move Any Mountain"は含まれていなかった。この曲は実はオリジナル盤"En-Tact"に入っていた"Progen"のリミックスで、そういう意味では「最新シングル」であっても「新曲」って程ではなかったんだな。

 俺は見事にシェイメンの影響を受けた。バンドのサウンドは既に打ち込みを多用する方向であったが、実は俺が「かぶれた」のはそこではない。このジャケットだ。見てもらえればわかるが、漢字が多用されている。彼らはシングル、アルバムのジャケに漢字を使うのが好きだった。"Make It Mine"は「己」"Move Any Mountain"は「山」他にもこの「巧」「吊」「力」等々...挙げ句には "Progeny"という"Move Any Mountain"のリミックス集には「出」...これ、多分「山を二つ重ねた形」って勘違いしたのね。「山」がいっぱい入ってるアルバムだから「出」
 で、俺は「力」のTシャツも持っていたくらいで、この「英国人による勘違いジャパン」にはまってしまった。その結果、当時の俺のバンド「SIN creation」のロゴマークは「真」の文字を加工して作られた。誰が見てもシェイメンのパクりのロゴが入ったチラシを配る姿は、今思うと悲しい。

 このアルバムはジーザスやEMFに比べるとテクノ/ハウスに寄っているが、ギターは荒っぽく鳴っていたし、音のたたずまいがロックだった。俺は今でも"Make It Mine"や"Human NRG (Massey)"(グレアム・マッセイ/808ステイトのリミックスでオリジナルよりポップ度がアップ!)はエキサイティングに聞こえるし、他の曲も充分色あせずに響く。
 当然こういう傾向はエスカレートするもので、シノットを失ったヴォーカルのコリン・シェイメン(アンガス)は"Move Any Mountain"に参加していた白人ラッパーのMr.Cをパートナーに次回作"Boss Drum"を世界的に大ヒットさせる。このアルバムも悪くはないが、エッジは欠けた感じで、すっかり懐かしのジュリアナ東京でもお馴染の存在になってしまうのであった。