Spooky Two

Spooky Tooth

Waitin' For The Wind
Feelin' Bad
I've Got Enough Heartaches
Evil Woman
Lost In My Dream
That Was Only Yesterday
Better Than You, Better Than Me
Hangman Hang My Shell On A Tree

 スプーキー・トゥースとは出会うべくして出会ったと言う気がする。ベストアルバムを買ったのは多分「有名なバンドな気がする」「知ってる曲("Tobacco Road","I Am The Walrus","The Wait")が入ってる」「中古で安かった」程度のもので、とりあえず持っている程度で、あまり印象が強くは無かった。それをしっかり聴き返す気になったのは、「ソロになった時のポール・ウェラーが彼らを参考にした」という話を何かで読んだのが切っ掛けだったと思う。そうして聴いてみると、ウェラーとの関連性は正直あんまりピンと来なかったが、格好良いハードロックだと言う事は感じた。同時に、最初にピンと来なかったのは多分ゲイリー・ライトのヴォーカルのせいだな、とも感じる。
 そのゲイリー・ライトはジョージ・ハリスン人脈で良く見かける名前で、「へぇ、こういう過去が」とか思いつつ初期のラインナップにもっと魅力的な名前を見つける。勿論ベースのグレッグ・リドレーである。なるほど、こういう連中、俺が聴かないのは嘘だな、と思ってとりあえず手に入りやすい、しかも評価の高いオリジナルアルバムを買ってみた。これだ。

 これを買ったのは正解だった。他のアルバムも聴いた感じからすると、1stも大好きだが、まだサイケの残り香がある部分とハードロックへ進む部分が融合し切っていない感じもあるし、3rd(リドレーは脱退)では演奏は悪くないがピエール・アンリ(前衛音楽家)とのコラボレーションで、両者の音が(これまた)全然融合していない。アンリの作るノイズに演奏が邪魔されてしまっているのだな。
 つまり、初期のスプーキー・トゥースでしっかりとした方向性にのっとって作られているのは圧倒的にこのアルバム、と言う事なのだ。そりゃあ名盤扱いされるわけである。
 勿論比較レベルの名盤ではない。"Evil Woman"と"Better Than You, Better Than Me"収録、と言うだけでも既に必殺なのは火を見るより明らかであって、いちいち俺の文章読む暇があったら買ってしまえ、と言うレベルのアルバムであるのは例の如く。そこで、俺的にはもうちょっと別の見方をさせてもらう。

 代表的な曲は前述の2曲や"Waitin' For The Wind"、"Lost In My Dream"といったヘヴィーな曲。これらは個人的にもベストトラックだと思うが、ここで注目したいのはハンブル・パイに通じるアーシーでソウルフルな"Feelin' Bad"や"I've Got Enough Headaches","That Was Only Yesterday"等だ。
 こういう曲の存在はリドレーの趣味からも、また逆に彼自身にも強い影響を与えているだろうし(作曲はライト/ケリー)、なによりハリスンの野太く低音を生かしたヴォーカルは後の、パイ時代以降のリドレーのヴォーカルスタイルに酷似している。グレッグ・リドレーがスプーキー・トゥースと言うバンドからなにを吸収していったのか、と言う事が垣間見れる部分だ。

 リドレーが好き、とは言ってもここでは彼はあくまでベーシスト。主役はマイク・ハリスンとライトのツインキーボード&ツインヴォーカルである。この二人の別々にクセの強いヴォーカルが絡み合うスタイル、と言うのが明らかに彼らのウリであろう。それからライトのピアノやオルガン(ハリスンはプレイヤーとしては彼には及ばないと思われる)とルーサー・グロスヴナーのギター。その土台を固めるリドレーとマイク・ケリーのリズム隊、と言う構成が絶妙のサウンドを作っている。
 個人的にはゲイリー・ライトのファルセットは好きではないのだが、彼にしたってそればっかりではないし、ハリスンのヴォーカルは(それこそリドレーみたいで・逆だが)大好きだ。また、ライトがファルセットに行ってもやっぱりハリスンと絶妙に絡む部分("That Was Only Yesterday"のハモりとか)はたまらないものがあるし、慣れたせいもあるが地声で歌われる"Evil Woman"なんかもつまんないだろうなあ、とも思う。