Sun City

Artists United Against Apartheid

Sun City (Little Steven & the Disciples of Soul)
No More Apartheid
Revolutionary Situation
Sun City [Version II]
Let Me See Your I.D.
The Struggle Continues
Silver & Gold
Sun City

 いわゆる「エイドブーム」の頃に出た数多いレコードの中でも、圧倒的にファンキーで、圧倒的に暴力的で、圧倒的にロックな曲がこの"Sun City"だ。他の曲が「アフリカを救いましょう」って雰囲気だったのに対して(テーマの違いのせいは勿論あるが)この曲は「アパルトヘイトなんてヌカしてやがるとブン殴るぞゴラァ!」って感じだ。

 そもそもこの手のレコードは「豪華メンバー」を売りにしたものが多いが、その点では"Sun City"こそ頂点ではないだろうか。RUN DMCやアフリカ・バンバータ、ジョージ・クリントン、エディ・ケンドリックス&デヴィッド・ラフィン(元テンプテーションズ)、ギル・スコット・ヘロンといった「南アフリカの宿敵」達に始まり、ジョーイ・ラモーン、スティーヴ・ベイター&マイケル・モンロー、勿論ボブ・ゲルドフ、ご存知ボノ等パンク勢、ジャクソン・ブラウン、ルー・リード、ホール&オーツにボニー・レイット、そしてディランといった大物アメリカンロッカー、もっと凄いのがクラレンス・クレモンスやハービー・ハンコック、そして驚きのマイルス・デイヴィス!と言ったジャズ勢。
 しかし忘れてはいけないのが「60年代英国3大バンド揃い踏み」だ。"Sun City"にはピート・タウンゼンドとリンゴ・スター(と、ザック)が参加。それだけでなく、アルバムに収録のボノ作"Silver & Gold"のバックはキース・リチャーズ&ロン・ウッドなのだ。実は他のエイド物でこの3バンド(今更だが、フー、ビートルズ、ストーンズである)のメンバーが全て関わったものは存在しない。どーだ凄いだろう。

 とりあえず豪華なエサを撒いてはみたが、こいつの魅力は最初に書いた通り兎に角凶暴であるということである。出ばなからマイルスが怒り狂ってトランペットを吹き、アフリカ・バンバータやRUN・DMCが怒り狂ってラップをわめき散らかし、続いて他の連中が怒り狂って歌い、演奏し、踊るのだ。それをアーサー・ベイカーが怒り狂ったミックスをして12インチの盤面にドシャッ!とぶちまけたレコードが、コレである。それだけでは飽き足らず、ジャズの連中、ヒップホップの連中、ピーター・ゲイブリエル、そしてボノはそれぞれの怒りを別にぶちまけて見せるのだ。

 俺はこのレコードの主役はアーサー・ベイカーだと思っている。わざわざリンゴ呼んどいてその音かよ!的なドラムを含む完全ベイカー色のバックトラック無くしてはこのどうしようもない凶暴性は獲得できなかっただろう。その暴力性はストーンズの"Too Much Blood"(勿論12インチはベイカーがリミックス)と共通しており、俺は一気に(少なくともこの2枚での)ベイカーの大ファンになってしまったのだった。いや、わざわざ他の参加作品買ったりしてないけどさ。