Sunflower

The Beach Boys

Slip on Through
This Whole World
Add Some Music to Your Day
Got to Know the Woman
Deirdre
It's About Time
Tears in the Morning
All I Wanna Do
Forever
Our Sweet Love
At My Window
Cool Cool Water

 前回は未発表アルバムの一種の仮想レビューだったので、ビーチ・ボーイズ仕切り直し、っていうコトで。色々迷ったし、レビューできるほどちゃんと聴いてない気もするんだけど、やっぱり名盤を素直に紹介してみようかと。
 それで、なんで"Pet Sounds"じゃないのか、というのは愚問。

 このアルバムも中古屋で出会ってしまったもの。今ではこの時代のアルバムも手に入りやすくなっているが、ちょうど廃盤時代、一般的には中古価格が高騰していたころに何と1000円で入手したのだ。しかもこの時期の物としては非常に人気、評判ともに高いこのアルバム。嬉しかった。でも、正直言えば最初は聞き流してしまって「気持ちいいなあ、はいおしまい」くらいの気分で聴いていた。回数もさほど聴かなかったはずだ。それがここ最近になって、急に「来た」。

 俺はビーチボーイズのアルバムをそれほど多く持っているわけではないんだけど、そんな「薄い」人的な印象としては「エッジを落としたワイルド・ハニー」っていう感じか。

 このアルバムはデニスの成長が著しいと言われているらしい。本当かどうかはまあ、良く知らないんだけど、ライナーなどを見ながら聴いていくと、どうやら俺が好きだと思った曲は確かにデニス率が高いようだ。っていうか、12曲中4曲に関わってるんだからそりゃあ命中率も高いだろう。その中でもオープニングの"Slip On Through"はマジでかっこいい。アルバム中一番好きな曲。俺はソウルフルなカールが好きなのだが、ここでのデニスは弟に負けないくらいパワフルに歌っている。って言うかカールみたいな声に聞こえるんだけどホントにデニス?
 それはともかく、パワフル&ソウルフルなのはブルージーな"Got To Know The Woman"やハードな"It's About The Time"でも同様。特に後者はアイク&ティナ・ターナーを思わせるアレンジが最高。ぐちゃぐちゃっぽいのがまるでフィル・スペクター。スペクターマニアのブライアンが一枚かんでるのか?それともアニキの影響を受けたか?

 シングル曲の"Add Some Music To Your Day"も言うまでもなくいい曲。イントロがきれいだ。この頃はアルバム共々シングルも売れなかったようだが、勿体ない話だと思う。ココまで頭3曲の流れはホントに大好き。インタールードみたいなんだけどキャラ立ちまくり&カール最高の"This Whole World"も含めて。

 バラード系の曲も充実していて、その中でもブルースの"Tears In The Morning"が白眉。泣きのメロディーが素晴らしい。ただ、ヴォーカルが出過ぎたミックスが若干古くさく感じる(カーペンターズみたいなミックス?リマスター盤は未聴)のだが、それがかえってノスタルジックでいいような気もしたり。
 ちょっとトッド・ラングレンの"I Sow The Light"みたいなメロディの"All I Wanna Do"もいい。美しい曲だがコーラスの波にメロディが飲み込まれていくようなアレンジもまた、来るのだ。

 そしてカールの美声が聴ける"Our Sweet Love"はとどめの一撃。世間には「ブライアンの声しか認めない」という馬鹿もいるようだが、これや"God Only Knows"を本当にブライアンの声で聴きたいのか?俺には信じられない。カールはこの手のポップバラードを歌わせても最高で、作曲はブライアンだが始めからカールが歌う前提で作られたんじゃないだろうか。それくらいはまっている。このアルバムでは「ワイルド・ハニー」に比べ若干カールが後退しているので、彼の歌がやたらにうれしい(ホラ、"This Whole World"はあっという間に終わっちゃうし。)俺はミーハーである。

 勿論アルやマイクも健在でいい歌を聴かせてくれる("Add Some Music To Your Day"はメンバー交代で歌っている)ワケで、このアルバムは6人がしっかり立って作られてる印象がある。だから、「バンド幻想」男の俺にはたまらないわけだ。