When I Was Cluel Elvis Costello

45
Spooky Girlfriend
Tear Off Your Own Head (It's a Doll Revolution)
When I Was Cluel No.2
Soul For Hire
15 Petals
Tart
Dust 2...
Dissolve
Alibi
...Dust
Daddy Can I Turn This?
My Little Blue Window
Oh Well
Episode Of Blonde
Radio Silence
Smile

 2002年の発売時にはMDK'sのサイトでもレビューをやったが、今聴きかえしても凄くいい作品だ。その時も書いたように、近年の作品では凄い「ロックな」コステロが聴けるのだ。しかし、単純にアトラクションズ的パンキッシュな作品が並んでるかというと、むしろそう言う作品は少なく、それ以前からのジャズやクラシック、ポピュラー畑との共演の経験を生かし、その上で新バンド、ジ・インポスターズ(ブルース抜きのアトラクションズに新たなベーシストを加えている)のエレクトリックなサウンド、更にエレクトロニックな打ち込みサウンドを加え、無理の無い、コステロらしい今のロックサウンドが展開されるのがこのアルバムだ。

 打ち込みサウンドはむしろジャジーな雰囲気の曲に多く聴かれる。その中でも白眉と言っていいのが"Spooky Girlfriend"だ。この曲はコステロ自身によるプログラミングと新ベーシストデイヴィー・ファラガーの印象的な太いベースがサウンドの要になっている。そこにアコースティックギターと、コステロの哀愁の漂うヴォーカルが絡み、他にはない独特の世界が繰り広げられるのだ。
 "Episode Of Blonde"の様な奇妙なラテンジャズ風の作品では、バンドのサウンド(すげえ上手い)とコステロのDR-202の打ち込みが溶け合い、不思議なポップ世界を作りだしていく。他にも"Alibi"や"When I Was Cluel No.2"もこの系統の作品で、こういう音がアルバムの中核になっていることが解るだろう。実際、俺も一番好きなのはこの辺の曲なのだ。そう言えばある種、91年のルード5による変態ジャズ風なバンドサウンドにも近いかもしれない。ただし、ここではマーク・リボーではなくギターはほぼコステロ自身の演奏。

 勿論従来のアトラクションズを思い起こさせるポップナンバーも多い。オープニングナンバー"45"は過去の名曲群にも引けを取らない素晴しいメロディと快活なビートが聴ける。"Tear Off Your Own Head"もそう言う曲だ。これらの曲でもファラガーが太くてうねるベースを聴かせてくれる。そうだな、まるで人の曲で張りきってるときのポール・マッカートニーみたい、って言えば解り易いかもしれない。

 そして"Daddy Can I Turn This?"ではこの二つの路線の中間的な音を作りだし、その結果、より攻撃的な一種グランジ的とも言えるサウンドになってしまっている。この曲は結構凄い。久々にコステロの曲で凶暴な気分になれた気がする。

 リリース当時は"Smile"が浮き上がっていると感じたし、確かにアルバムの音には全然そぐわないのだが、勿論この曲は単体で聴けば素晴しいものだ。最近のジャズ風味コステロが好きな俺のような人にはたまらない。本人気持ち良さげに歌いすぎだが。