Gorilla
Bonzo Dog Doo/Dah Band
Cool Britania
The Equestrian Statue
Jollity Farm
I Left My Heart In San Francisco
Look Out, There's A Monster Coming
Jazz, Delicious Hot, Disgusting Coldinstrumental
Death Cab For Cutie
Narcissus
The Intro And The Outro
Mickey's Son And Daughter
Big Shot
Music For The Head Ballet
Piggy Bank Love
I'm Bored
The Sound Of Music
 ビートルズファンで彼らとの出会いが違った人っているんだろうか。わざわざ言うまでもないが、99.999%の人にとっては「マジカル・ミステリー・ツアーに突然出てきて演奏した変なバンド」が彼らの第一印象のはずだ。そして、殆どの人にとってそれは歓迎すべきものではなかったと思う。「俺達はビートルズが見たいんだ。何でこんな変なバンドの曲を丸々1曲聴かされるんだ?」
 そう思ってたのは事実だが、あの変な曲はやはり、あまりにも強烈だった。いつの間にか口ずさんだりもした。でも、不思議と「彼らは何者か?」という疑問には行き当たらなかった。
 じゃあどこで彼らをちゃんと認識し、CDを買ったのか、それが思い出せない。何にしてもその「変な曲」こと"Death Cab For Cutie"が聴きたくて買ったことだけは間違いない。どうやらいつの間にか虜になってしまっていたようだ。

 アルバムを聴いてみると、やはり最初に耳に入ってくるのはその「変」のパート。それに、ディキシーというかトラッド調のジャズだったり、マーチ風だったり、映画音楽(しかも昔の)風だったりするその妙に懐かしいサウンド。俺は日本生まれの日本育ち。このての「イギリス人が懐かしい音」が何故俺が懐かしいのかはわからない。「懐かしい風」なだけかもしれない。でも、とにかくこれが俺のツボだった。"Jollity Farm"や"Micky's Son And Doughter"の童謡風とさえ言える音。これがもう、変にツボにはまる。明らかにコメディの"I Left My Heart In San Frabcisco"や"The Sound Of Music"(超有名曲を完全におちょくっている)やパロディ風である"Death Cab For Cutie"(エルヴィスを意識していることは言うまでもない)も楽しいし、イネスの超名曲"The Equestein Statue"の素晴らしいメロディも最高なのだが、気がつくと俺が好きになっていたのはこのボンゾズ流にねじれまくったポップの方だった。
 勿論そこには「一人Lennnon/McCartney/Harrison/Starkey」こと天才ニール・イネスの最高のセンスと「レノンとキース・ムーンを足して2を掛けたような男」ヴィヴィアン・スタンシャルという二人のメインソングライターの力が強力に作用していたことは間違いない。が、このアルバムは彼らの作品中でも特に「懐かし風」の要素が強く、その理由をどこに求めていいのかが解らない。

 話は飛ぶが、このバンドにはもう一人凄い人がいる。ロジャー・ラスキン・スピアーというのは結構馬鹿にしたような名前だが、彼はバンドのサックスプレイヤーの一人(もう一人はロドニー・スレイター)だが、ステージにおける彼は「ボンゾズの魂」とでも言える存在であった。彼はステージ上に自作のロボット(!?)を持ち込み、この「ワケの解らないもの」は始終蒸気を噴いたり変な動きをしたり、果てには壊れて煙を噴いたりしてメンバーさえ困らせたという。
 この「パート」を「演奏(?)」する彼をロキシー・ミュージックのイーノ(別項参照)とダブらせるのも可能だが、実はこの「懐かし風」の立役者こそ彼だ、と言う説もある。これは「Third Round On Beatle Truck」のうらわさんの説なんだけど、実際彼のソロを聴くと納得させられる。イネスの個性はあの(ある意味世界一)ポップな音だし、ヴィヴはどっちかといえば本作の"Big Shot"みたいな路線がソロでは主流だったようだ(ちょっと違うんだけど)。スピアーは、このソロで「明らかに異常な曲」を演奏しまくっている(時には笑い転げている。一曲丸ごと!)。

 ただ、スピアーのソロは最高の馬鹿ポップとしては大好きだが俺のノスタルジーは刺激しない。この感覚があるのはただ1枚、このアルバムだけなのだ。これを説明できるのはもう、ありきたりだがこの一言しかない。「バンドマジック」って奴だ。イネス、スタンシャル、スピアー、スレイターに加え、レッグス・ラリー・スミス(ジョージの親友、と言うかお抱え道化師!)、サム・スプーンズ、ヴァーノン・ダドリー・ボヘイ・ノウェル(凄い名前!)の7人でのみ産み出せた、この唯一無二のサウンド...