Lucky Planet
The World

Not The First Time
Sail Away
9-5 Pollution Blues
Lead Us
Things I Could Have Said
Come Into The Open
Godzilla's Return
Angelina

 ニール・イネスがポップの天才であることはもう今更言うまでも無いことである。イネスであれば何をやってもポップである、とまで言い切ってもいいんじゃないか。

 そんなイネスがボンゾズ解散後、デニス・コーワンとイアン・ウォーレス(キング・クリムズン)にロジャー・マッキューなるギタリストと結成したのがこのバンド、ワールドである。
 ウォーレスはプログレ畑だが、ブルーズをやってクリムズンを追い出された人材。まあ確かにこの人、曲と無関係に近いぐらいに叩きまくる瞬間があって、しかもそのセンスがあまりよくないと来ている。こりゃあクリムズンクビにもなるわ...と思ってしまった。
 いや、いくら何でも言い過ぎな気もするのだが、何度聴いてもそう思える瞬間があるのだから困る。勿論、基本的にはいいドラミングしてるのだ。グルーヴだって全然悪くはない。だからもうちょっと我慢しろよプログレ野郎、そんな気分なのだ。

 勿論ウォーレスの悪口が本稿の趣旨ではない。

 結局、バンドが誰であろうともイネスの曲/歌の価値が下がるなんてコトがあろうワケもなく、ウォーレスが少々無駄に叩いても最高のメロディは流れ続ける。オープニングの"Not The First Time"からしてビートルズ的(と言うのも気が引けるが)な美しいメロディをグルーヴィーなバンドが支える名曲だ。ウォーレスは無茶もやるが、ヴァースでリズムが入ってくる部分ではセンスのいいプレイをしている(「どどだだどどだだ」ってトコ)。こういうピアノ主体のバラード的作曲は彼の得意路線なのは言うまでも無く、他にも次の"Sail Away"もこの系統だ。
 "9-5 Pollution Blues"の特殊ブルーズ的な音も独特で良い。サウンドは特殊っぽいが(普通ちゃあ普通だが)ニール・イネスはポップな曲しか書けない病気にかかっているのでメロディの良さには一点の曇りもない。従って、こういう曲では「一人レノン=マッカートニー=ハリスン」の「ハリスン」な部分が強く出てきて俺みたいな人間の心をとらえて放さなくする効果があったりする。"Things I Could Have Said"にも捕まっていたりもする。
 他にもカントリーロック的な"Lead Us"(エンディング附近の仕掛けがかっこいい!)や、プログレ的長尺ナンバー"Godzilla's Return"(なんてタイトルだ!)なんかもあり、アルバム全体なかなかヴァラエティに富んでいる。

 「ヴィニールジャパン」から出ている輸入盤しかないという厄介なディストリビューションがされているアルバムだが、何故か日本語解説もついている。しかしなんで"Not The First Time"と"Angelina"の歌詞だけ載ってるのかなあ。