Deep Purple

Chasing Shadows
Blind
Lalena
Fault Line
The painter
Why Didn't Rosemary
Bird Has Flown
April

 リリース時には既にエヴァンスとシンパーは解雇されており、「存在しないバンドのラストアルバム」という意外にありがちなパターンでリリースされた作品。ただし「ラスト」なのは「このラインナップで」と言う話であり、バンドはこの後続々メンバーを入れ替えながら続いていく。そんな「最初のラストアルバム」はわりと混乱した仕上がりとなった。この後もパープルはこのパターンを繰り返す事になる。

 珍しくイアン・ペイスをフィーチャーした"Chasing Shadows"でアルバムは始まる。タムを連打するパーカッシブなプレイにエヴァンスの伸びのあるヴォーカルが乗ると言う、ミスマッチの妙を堪能出来る作品で悪くない。もしこのメンバーが存続し、ライヴでこれをプレイする事があったらこのままドラムソロに続いたかも・・・とも思える。
 このアルバムは元々主張が弱く見えるシンパーを除く各メンバーの嗜好がストレートに出た楽曲が多く、それが方向性のばらつき=散漫な印象に感じる原因だと思われる。最初の曲がペイスの世界だとしたら、続く2曲、"Blind"と"Lalena"ではブラックモア曰く「上手かったがバラードシンガーだった」エヴァンスの望んだと思われる世界が展開される。うん、確かに上手いバラードシンガーなのだ。もしかして"Child In Time"もこの人が歌った方が良かったんじゃないの?くらい思えたり。

 "the Painter"では今までロードの陰に隠れがちだったブラックモアがかなり大量のギターソロを披露する。この曲を含み"Why Didn't Rosemary"、"The Bird Has Flown"ではかなりこの後の展開を予感させる部分も出てきてはいるが、まだ"Hush"の世界からそう遠くには来ていない感じだ。しかし"Why Didn't Rosemary"でのビート感とソロパートの感触は同じブギー調の"Black Night"や"Starange Kind Of Woman"を彷彿とさせる物になってきている。個人的にもこの3曲の流れが一番好きだ。第1期において、"Wring That Neck"以外で最もハードロックに接近した瞬間である。この時やはり、ブラックモアはエヴァンスのヴォーカルにフラストレーションを感じていたのだろうか・・・
 余談だが、"The Bird Has Flown"にはシングルヴァージョンがある。もっさりした感じのアルバムヴァージョンよりキレもよく、よりロックな感じのヴァージョンになっている。また、BBCライヴではギランが歌ったテイクが聴けるが、HR度は明らかに増しているものの、不思議とエヴァンスの方が良く聞こえる。聴き慣れてるせいかな。

 閑話休題。最後にロードの世界である。言うまでも無く"April"がソレで、念願のオーケストラ(小編成ではあるが)との共演を実現させ、彼を調子づかせ、次回作へ繋げてしまった「問題作」である。実際のところ、俺はこの曲はあまり好きになれない。これなら前作の"River Deep Mountain High"の長いイントロの方がいい。なんか舞い上がりすぎてると言うか、手法に音楽が負けている感じもあるし。この曲の欠点はそのまま次のアルバムに持ち越されてしまう。困ったもんだ。

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