普通の編集盤も可哀想なくらい乱発される「現役バンド」ディープ・パープルだが、ボックスセットも3種類程出ている事はご存知だろうか。
 最初に出たのが93年に結成25周年を記念してリリースされた日本編集の3枚組ボックス、"Purple Cronicle"で、これはデビューから最初の解散(第4期)までの時期を扱っていた。完全未発表は無いが、ウリはディスク3の「重箱の隅コレクション」とも言える部分で、珍しいヴァージョンを集めるのは普通としても、エディット違いなどでディスク1〜3を通して"Black Night"や"Smoke On The Water"が3ヴァージョン(3テイクではない)入っていると言う、ある意味最もマニアックな編集だった。
 続いて99年、今度は30周年を記念、米ライノから"Shades 1968-1998"がリリースされる。今度は4枚組。今度も庶出音源は無し。正し、ライノ独自のリマスター+この時期から出始めていた「アニヴァーサリー・エディション」シリーズや倉出しライヴ盤からの音源を含んでいた。また、タイトル通り再結成後の音源も含んでいる。その分「薄まった」感も強いのだが・・・

 さて、本題である。まとめた事でも解るが、こんなリリース状況につきあってなんかいられないのである。悪いケド再結成パープルには興味ないし、重箱の隅は楽しいかもしれないがすぐに飽きる。決定版は2002年に出た。それがこの6枚組である。実に最初の箱の倍。しかし濃度は倍じゃ効かないだろう。欠点は高額(平気で1万円オーバー!)と、日本盤が出なかった事。しかもごく一部の輸入盤店かネット通販でしか手に入らなかった。今でもamazon以外では入手は困難なんじゃないだろうか。しかし、そういう困難を乗り越えてでも入手したい内容だ。そこで、ざっくりと紹介したいと思う。

 ディスク1はいきなり変な濃さを見せつける。最初に収録されているのはThe Outlaws。りっちー・ブラックモアが参加していたバンドの音源である。そして10曲目までは4期までの歴代メンバーのパープル以前の音源が紹介されるのだ。そう、トラピーズやゼファーまでだ。ここで特にレアなのはデイヴィッド・カヴァーデイルのパープル以前の音源だ。「新人」だった筈の彼にレコーディングが存在したのだ。71年の録音だが、まるでキャバレー歌手である。笑えるぞ。
 一旦71年まで行ってしまうので、ここで一度時代を遡りようやくパープルデビューである。ディスク1では2ndまでの音源が聴けるが、シングルのみの"Emmaretta"やそのB面"The Bird Has Flown"のUSシングルヴァージョンの収録は当然。他には2ndのアウトテイク"The Playground"も収録されているが、これは同アルバムのリマスター盤にも入っている。

 ディスク2はシンパーとエヴァンスをクビにした頃、つまり3rdからの"Why Didn't Rosemary"で始まる。が、次がいきなり"Hallelujah"。え?"April"とかじゃないの?って驚いてるといきなりBBCライヴからのレアな曲が。"Ricochet"は実は歌詞が未完成の"Speed King"なのだ。これは楽しい。続く"The Bird Has Flown"もBBCライヴで、ここではギランが歌っている。次の"Hush"のライヴ共々エヴァンスと聴き比べよう。俺は(これらの曲は)エヴァンスの方が好き。ギランは叫びすぎである。
 ディスク2の残りは第2期初期のライヴ(RAHでのオーケストラとの共演を含む)をはさみ、"In Rock"関連の音源(殆どがライヴ)で占められる。"Bloodsucker"や"Living Wreck"と言った「ちょっと通好み」の曲のBBCライヴが嬉しい。

 ディスク3はいきなり"Mandrake Root"の30分に及ぶライヴから始まってまたしても濃さに負けそうになる。そしてBBCライヴから"Grabsplatter"(未発表曲)に"Child In Time"("Black Night"のシングルテイクをはさみ)"Into The Fire"と続き、「まだ"In Rock"かよ!」と強力に突っ込みを。実際、この時期(1970年)が一番重点的に扱われているようだ。"Fireball"からはあっさり3曲。えっ?

 と、思ってたらディスク4はBeat Clubから"No No No"、そして待ってました"Highway Star"初期ヴァージョンのスタジオライヴである。個人的山場だ。この2ヴァージョンはどちらも大好きなのだ。後者はディスク2での"Ricochet"と同じパターンで、歌詞が全く違う。
 続いては名盤と誉れ高い"Machine Head"から・・・って3曲?あっさり流して"Strange Kind Of Woman"のBBCライヴへ(同曲のスタジオテイクは未収録だ)。そして曲こそ"Machine Head"だが"Made In Japan"からの"Lazy"・・・だけ!?一応未発表アンコール(大阪二日目)の"Black Night"というレア音源で掴むのも忘れないのは流石だが。
 しかしこの辺の「栄光の第2期」の扱いは見事だ。それでもディスク約3枚がこの時期に充てられているのだが、"Machine Head"関連音源(5曲)と"In Rock"関連(11曲)のバランスは日本人には考えつかない編纂なんじゃないだろうか。しかも実は"In Rock"からのスタジオテイクはたったの1曲なのである。新生パープル初期だけに積極的にラジオ出演していた時期なんだろうな、とは思うのだが。
 このディスクは続いて"Who Do We Think We Are"から3曲、"Burn"から2曲を収録。気付いたら第3期になっている。

 凄いのはディスク5。なんと全5曲である。"Burn"からもう1曲と同時期のB面のあとの3曲は全て10分を超える1974年、第3期パープルのライヴヴァージョンだ。カリフォルニア・ジャムからの"You Fool No One"以外の2曲、サンディエゴでの"Mistreated"とキルバーンでの"Space trackin'"はここが初出。

 ディスク6は"Stormbringer"からの4チャンネルミックス3曲で始まる。そして5曲目、ブラックモアのラストライヴからの"The Gypsy"をはさみそれ以降8曲は第4期の音源となる。"Come Taste The Band"の為のリハーサルから2曲集録と言うのも気が利いている。同アルバムからは(例によって)3曲と、同時期、ロングビーチ・アリーナと日本武道館のライヴから3曲が収録。ファンキーな"Gettin' Tighter"の13分に及ぶ演奏("In Concert"と同音源)が聴き所。ボックスのラストはスタジオテイクから"You Keep On Movin'"で締まる。

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