Humble Pie

Live With Me
Only A Roach
One-Eyed Trouser-Snake Rumba
Earth And Water Song
I'm Ready
Theme From Skint
Red Light Mamma, Red Hot!
Sucking On The Sweet Vine

 移籍、ってコトは否応なしにバンドにとっての転機である。このアルバムはイミディエイトからA&Mに移っての最初の作品になるわけだが、メンバーチェンジがある訳でもないのにサウンドの感触は明らかに前作までとは変わっている。いや、変わり始めている、だろうか。つまりこれ以降のスティーヴの色が濃く出た作品群と、イミディエイト時代のフランプトンとの双頭バンド時代の中間点のような作風なのがこのアルバムだ。4人のバランスがいい最後のアルバムと言えるだろう。過渡期、ってヤツだな。

 オープニングの"Live With Me"(ストーンズとは同名異曲)からいきなりクソ重たい、しかも8分弱という長い曲を聴かせてくれる。気合い入りまくりである。イミディエイト時代にライヴでやっていたヤードバーズの"For Your Love"をエレクトリックに発展させた感じのサウンドで、静と動の対比が凄くダイナミックだ。この時点ではまだこういう曲もマリオット色というよりバンド全体で寄ってたかってこう言うふうにしている感が強い。グレッグやピーターも歌っている。
 "Only A Roach"はドラマーのジェリー・シャーリーが作曲したワリとストレートにカントリータッチな曲。この声、あまり聞き覚えが無いけどもしかしてシャーリーが自分で歌ってるのだろうか。上手くはないが、ってーか下手だが、枯れていて悪くない感じだ。メンバーのコーラスも粗野な感じでいい。イーグルス聴いた後だと特に酷いヴォーカル群に聞こえる。
 もう全て手クセでGo!って感じなブギーナンバー"One-Eyed Trouser-Snake Rumba"ってどこがルンバだよ!って世界だが、このルーズなリズムが最高だ。ヴォーカルは例によって持ち回りだが、各人俺が俺が的にわめき散らしていて楽しい楽しい。
 フランプトンの"Earth And Water Song"は日本盤アルバムの邦題(大地と海の歌)にもなった曲で、彼の得意なタイプのアコースティックナンバー。"Take Me Back"にも似た曲調で、ゆったりとして、アコースティックサウンドでいながらもパワフルな、そう、アーシーな、と言うか、まさに「大地と海」な感じの曲だ。

 "I'm Ready"はフィルモアのライヴテイクでもお馴染のウィリー・ディクソンのブルーズナンバー。件のライヴより若干テンポが速く、その分いくらか軽いのでどちらかというとR&R的な感覚も強く感じさせる。それにしても("I Don't Need No Doctor"や"Come On Everybody"もそうだが)パイはこういうカヴァー曲をアレンジするセンスが凄くいい。スタンダードを完全に自分達のものにする力はビートルズにも近いものを感じる。
 "Theme From Skint"もカントリー風の曲だが、こちらはマリオットの単独作。彼の歌の個性が強すぎるせいか、"Only A Roach"に比べてもより「ハンブル・パイ」な感じが強い。ペダルスティールはピーターだろうか。なかなかいい感じを出している。雰囲気物。
 "Red Light Mamma, Red Hot!"は重たいリズムのロックナンバー。重いとはいえ、"Live With Me"の様にテンポが遅いわけではないのだが、こういうアップテンポのR&Rでもやっぱり重いのが70年代のロックの醍醐味である。そういう意味で常に俺を満足させてくれるバンドの一つがパイであり、勿論この曲はそういう意味で最高のナンバーだ。中間部などでドラムがフィルインで明らかに遅くなるのだが、コレ込みで「そういうノリなんだ!」と言い切ってしまう説得力がある。力技だが。
 ラストはグレッグ作のアコースティックナンバー"Sucking On The Sweet Vine"。これでメンバー全員のアコースティック曲が出揃ったことになる。野太い印象のあるグレッグの歌だが、ここではかなりソフトに、クールに聴かせている。自作だけあってベースラインも地味ながら冴え渡っている。

 それにしてもパイのアルバムってこういうアンチクライマックス的に終わるの多いなあ。それもまた、良いのだけれど。

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