Town And Country

Take Me Back
The Sad Bag Of Shaky Jake
The Light Of Love
Cold Lady
Down Home Again
Ollie Ollie
Every Mothers Son
Heartbeat
Only You Can See
Silver Tongue
Home And Away

 パイのスタジオ作のレビューは初である。名作デビュー盤の陰に隠れがちなアルバムだが、いろんな意味で負けていないと思う。確かに前作からの大きな発展はないが、次以降違うほうに発展しちゃうことを考えるとこの路線を継承/熟成させた意味はあったと思う。その結果、曲のクォリティでは前作に負けない、いや、より強化された曲だってあるのだから。特にアタマ2曲は忘れ去るには惜しい、最高の曲だと思っている。同意以外は不許可である。

 初期のパイにしかなかった味、それを強く伝えるのがフランプトン作の"Take Me Back"だ。アコースティック・ギターとベース、そしてパーカッションと言う編成で演奏されるシンプルな曲。スティーヴ、ジェリーによる大量のパーカッション(タンバリンはグレッグ)が独特の雰囲気を醸し出す。まさにこのアルバムの裏ジャケのような風景をイメージするサウンドだ。
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The Sad Bag Of Shaky Jake"は個人的にパイの曲ベスト10に常に入るくらい好きな曲で、コッチはエレクトリックなサウンドだが、同じ風景の中にある曲だと思う。こっちはルーズで泥臭い、スティーヴの世界だ。ここでもパイ得意の複数メンバーによるリードヴォーカルが聴ける。
 いきなりシタールで始まる"The Light Of Love"だが、サイケには走らずまたしても森林の風景に溶け込んでいく。タブラも入っているがあまりインド風にはならないのが面白い。ジェリーはドラムとタブラを行ったり来たりしてその度に景色も変わる。作者はグレッグで、リードヴォーカルも彼。
 "Cold Lady"はジェリーが作曲したバラード風の曲で、自分では歌わずスティーヴに任せている。コレでアタマ4曲、メンバー全員の曲が出揃ったワケだ。面白いのは作者のジェリーがウーリッツァーを弾き、ドラムはピーターがやってるところ。多才なところまで見せつけてくれちゃってるのだ。
 "Down Home Again"は軽快なテンポ(だがパイ流に重い)のロックナンバーで、前半では一番盛り上がるタイプの曲だ。間奏やイントロになっているリフがカッコ良い。ギターはピーターが一人で弾いていて、スティーヴはヴォーカルのみ。エンディングのコーラスパートが楽しい(ちょっとダラッとした感じもまた...)。
 "Ollie Ollie"は何をやってるんだか解らないセミインスト。パーカッションを中心にワケの解らない歌?ラップ?が乗る変な曲。何だか解らずにいるとあっと言う間に終わってしまう。

 "Every Mothers Son"は"Take Me Back"と対をなすような曲で、こっちはマリオットが作った曲だ。ピーターと二人だけで録音されていて、おそらくほぼライヴ録音だろう。2本のアコギと歌だけ、生々しいサウンドが凄く心地よい。
 バディ・ホリーの"Heartbeat"をいかにもパイ流にヘヴィーにカヴァーしている。どっちかって言うと荒っぽいハモりが多いパイだが、こういう奇麗なのも出来るのだ。ポップなメロディと重いサウンドのミスマッチが楽しい。グレッグのベースのフレーズがやたらかっこいいのが耳に付く。
 "Only You Can See"はジョン・レノン風(?・"Dear Prudence"とか、ああいうの)のギターから始まるアコースティックでヘヴィーで、そんなとこまで「ホワイトアルバム」な感じの曲。作者ピーターはギターだけでなくウーリッツァーも弾く活躍だが、ジェリー不参加、ドラムがスティーヴってのも珍しい。
 "Silver Tongue"はスティーヴ作のヘヴィーロックだ。次のアルバムの"Live With Me"に似た曲だが長さは半分強。しかし密度では負けていない。ここではもうひたすらにスティーヴ的サウンド世界が展開される。4人だけのヘヴィーなリズム、おそらくヴォーカル以外のオーヴァーダブはないと思われるが、ライヴサウンドならではの緊張感のある音に圧倒される。これでこそハンブル・パイ。
 ラストの"Home And Away"はフロント3人の共作で、初期パイの集大成とも言える音になっている。フランプトンのアコースティック風な世界とマリオットのハードロックの自然な融合、それが実現できている曲だ。この後、A&M移籍後は徐々にサウンドがスティーヴ寄りになるので、ここでの彼らは最もバランスがとれていると思える。

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