Small Faces

Shake
Come on children
You'd better believe it
It's too late
One night stand
What'cha gonna do about it?
Sorry she's mine
Own up time
You need loving
Don't stop what you're doing
E to D
Sha la la la lee

Shake (French EP version)
Come on children (French EP version)
What'cha gonna do about it? (French EP version)
Own up time (French EP version)
E to D (French EP version)

 ジャケのイメージそのままの若さあふれる快活なアルバム、しかしジャケの笑顔に騙されてると限りなく黒いヴォーカルと強烈なパンキッシュR&Bグルーヴに吹き飛ばされる。

 「森企画」に最初に参加するとき、60年代ブリティッシュロックをやったのだが、実はこの時始めて聴いて、同時にぶっ飛んだのが彼らの"Shake"だった。その後数日で5枚の主要アルバムを揃えて以来、彼らにはぶっ飛ばされっぱなしだ。そんな中でもインパクト面で一番凄かったのがやはり、("Shake"のせいもあり)このアルバムだった、と言うのが個人的背景。

 その"Shake"はサム・クックのカヴァーだが、彼らが手本にしたのはオーティス・レディングのヴァージョンという説もある。が、どっちにしてもクックの深みも、オーティスの黒さも再現できなかった彼らのテイクはおもいっきりパンクノリである。しかしアルバムのド頭ででっかい声で「SHAKE!!」ってやられた日にゃあぶっ飛びもするというものだ。
 サウンド面では、言ってしまえば勢いだけでねじ伏せた演奏で、まだいぶし銀キャラが確立しないロニー・レインの若いヴォーカルが凄くいいのだ。ラストにマリオットが登場するといきなり食われるのも逆に、いい。
 現行CDのボーナスにもなっているフランスのEPヴァージョンはヴォーカル等が大きく違う全くの別テイク。正規テイクの方がいいが、こっちも捨てがたい魅力がある。マリオットの声はこっちの方が大きめに聞こえる。

 "Come On Children"もマリオットがおもいっきり黒っぽく歌ってもドタバタしたケニー・ジョーンズのドラムがR&B臭さを帳消しにしてるのだが、これが初期スモール・フェイシズの魅力だろう。後にフーでおもいっきりスタジオミュージシャンノリの演奏をする人と同一人物と思えないほど乱暴なジョーンズのドラムがカッコよい。
 これもCDにフレンチEPヴァージョンが入っているが、これも全くの別テイクである。若干迫力不足か。ヴォーカルはアドリブに近く歌われていることが良く解る。正規テイクではあまり聞こえないオルガンが大きくミックスされている。

 メンバーが気に入ってなかろうと、"You Better Believe It"のようなポップナンバーにも凄く魅力がある。可愛らしいメロディでも全開でシャウトするマリオットの歌はいつでも最高だ。

 フーの"The Good's Gone"をもうちょっと軽くしたような"It's Too Late"だが、それでも初期の曲では重い部類だろう。そう言えばギターの音もフーみたいだ。作曲にはジミー・ウィンストンが関わっており、ピアノも彼だと思われる。

 "One Night Stand"はアルバム初登場の「マリオット/レイン」ナンバーだ。初期のヒット曲の路線に近いポップナンバーで、まだ曲としてはこなれていない感じが初々しい。まあ、そのせいでアルバム中でも弱い部類になってしまうんだが。

 オリジナルではないが、彼らの魅力を伝える意味では最高のナンバーが"What'cha Gonna Do About It"だ。コンパクトにまとまった中に小気味よいグルーヴとマリオットの黒いヴォーカルの取りあわせという、彼らのエッセンスが充分につまったナンバーだ。オルガンはウィンストンだが、ツボを押えたいいプレイをしている。
 この曲のフレンチEPヴァージョンはイントロなど、アレンジが大きく違う。全体にちょっともっさりした印象で、シャープなシングルテイクには及ばないだろう。

 "Sorry She's Mine"も外部ライターによるポップソングで、初期のマンフレッド・マンにも似た雰囲気の曲だが、"You Better Believe It"同様の心地よさがある。こういう要素を切り捨て切り捨て...で突き詰めるとハンブル・パイになってしまうわけで、そこにスモール・フェイシズの良さがあると同時に、マリオット的に見た場合の限界もあったのだろう。

 "Own Up Time"は当時の「モッズバンド」には欠かせないインストナンバー。マックを含む4人の共作、というより、セッションで出来た曲だろう。ジャズに傾倒していた先輩モッズのようなテクの無い彼らのインストはフー同様に乱暴でグルーヴ勝負だ。勿論、そこが良い。
 フレンチEPヴァージョンはマックのオルガンソロのフレーズが違うが、全体に大きな差はない。ただし、こちらの方が長い演奏なのでグルーヴを楽しめるのがグッド。

 "Come On Children"をテンポダウンしたようなソウルフルな曲"You Need Loving"もアルバムのハイライトだ。バンドのノリがとにかく素晴らしく、緩急の付け方やその崩れ方も全てが気持ち良いほうに行っている。勿論マリオットのヴォーカルが最高なのは言うまでもない。このての曲では常に完璧。
 良く彼らのライナーには「ZEPの"Whole Lotta Love"はこの曲を元ネタにした」と書かれるが、ZEPのはウィリー・ディクスン作の同名曲"You Need Lovin"のパクり説もある。個人的にはディクスン作品を下敷きにスモール・フェイシズ版が書かれ、その両方を参考に"Whole Lotta Love"が構成されたと思うがどうだろう。結果としては3曲とも全く違うオリジナルナンバーとして自立しているとも思う。

 "Don't Stop What You're Doing"はメンバー4人(ウィンストン含む)の共作ながら、マリオット/レインのクセみたいなものが見える曲調だ。スモール・フェイシズ流のR&Bと言う感じの曲。小粒だが、迫力満点だ。

 "E To D"はマリオット/レイン作品だがセッションから出来たような雰囲気の曲でもある。このアルバムでは再三登場するバンドの団子状グルーヴとスティーヴの黒い咽で出来ている曲だ。パーカッションがちょっと面白い。何故かシングルになって、あまり売れなかったがまあ、シングル向けではないだろう。
 この曲にも例によってフレンチヴァージョンがある。"Come On Children"同様アドリブっぽいが、別テイクにもタンバリンが入っているところから、これはマックあたりがベーシックトラックで叩いていると考えられる。

 ラストはヒットソング"Sha-La-La-La Lee"で、バンドがやりたい路線ではない曲なのは既に述べたが、こんな楽しいポップソングをこんなに黒っぽく、カッコよくやるバンドがいるだろうか。それに終盤のオルガンリフが凄く良いのだ。全英3位も当然スーパーポップ。

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