ジャケのイメージそのままの若さあふれる快活なアルバム、しかしジャケの笑顔に騙されてると限りなく黒いヴォーカルと強烈なパンキッシュR&Bグルーヴに吹き飛ばされる。 「森企画」に最初に参加するとき、60年代ブリティッシュロックをやったのだが、実はこの時始めて聴いて、同時にぶっ飛んだのが彼らの"Shake"だった。その後数日で5枚の主要アルバムを揃えて以来、彼らにはぶっ飛ばされっぱなしだ。そんな中でもインパクト面で一番凄かったのがやはり、("Shake"のせいもあり)このアルバムだった、と言うのが個人的背景。 その"Shake"はサム・クックのカヴァーだが、彼らが手本にしたのはオーティス・レディングのヴァージョンという説もある。が、どっちにしてもクックの深みも、オーティスの黒さも再現できなかった彼らのテイクはおもいっきりパンクノリである。しかしアルバムのド頭ででっかい声で「SHAKE!!」ってやられた日にゃあぶっ飛びもするというものだ。 "Come On Children"もマリオットがおもいっきり黒っぽく歌ってもドタバタしたケニー・ジョーンズのドラムがR&B臭さを帳消しにしてるのだが、これが初期スモール・フェイシズの魅力だろう。後にフーでおもいっきりスタジオミュージシャンノリの演奏をする人と同一人物と思えないほど乱暴なジョーンズのドラムがカッコよい。 メンバーが気に入ってなかろうと、"You Better Believe It"のようなポップナンバーにも凄く魅力がある。可愛らしいメロディでも全開でシャウトするマリオットの歌はいつでも最高だ。 フーの"The Good's Gone"をもうちょっと軽くしたような"It's Too Late"だが、それでも初期の曲では重い部類だろう。そう言えばギターの音もフーみたいだ。作曲にはジミー・ウィンストンが関わっており、ピアノも彼だと思われる。 "One Night Stand"はアルバム初登場の「マリオット/レイン」ナンバーだ。初期のヒット曲の路線に近いポップナンバーで、まだ曲としてはこなれていない感じが初々しい。まあ、そのせいでアルバム中でも弱い部類になってしまうんだが。 オリジナルではないが、彼らの魅力を伝える意味では最高のナンバーが"What'cha Gonna Do About
It"だ。コンパクトにまとまった中に小気味よいグルーヴとマリオットの黒いヴォーカルの取りあわせという、彼らのエッセンスが充分につまったナンバーだ。オルガンはウィンストンだが、ツボを押えたいいプレイをしている。 "Sorry She's Mine"も外部ライターによるポップソングで、初期のマンフレッド・マンにも似た雰囲気の曲だが、"You Better Believe It"同様の心地よさがある。こういう要素を切り捨て切り捨て...で突き詰めるとハンブル・パイになってしまうわけで、そこにスモール・フェイシズの良さがあると同時に、マリオット的に見た場合の限界もあったのだろう。 "Own Up Time"は当時の「モッズバンド」には欠かせないインストナンバー。マックを含む4人の共作、というより、セッションで出来た曲だろう。ジャズに傾倒していた先輩モッズのようなテクの無い彼らのインストはフー同様に乱暴でグルーヴ勝負だ。勿論、そこが良い。 "Come On Children"をテンポダウンしたようなソウルフルな曲"You
Need Loving"もアルバムのハイライトだ。バンドのノリがとにかく素晴らしく、緩急の付け方やその崩れ方も全てが気持ち良いほうに行っている。勿論マリオットのヴォーカルが最高なのは言うまでもない。このての曲では常に完璧。 "Don't Stop What You're Doing"はメンバー4人(ウィンストン含む)の共作ながら、マリオット/レインのクセみたいなものが見える曲調だ。スモール・フェイシズ流のR&Bと言う感じの曲。小粒だが、迫力満点だ。 "E To D"はマリオット/レイン作品だがセッションから出来たような雰囲気の曲でもある。このアルバムでは再三登場するバンドの団子状グルーヴとスティーヴの黒い咽で出来ている曲だ。パーカッションがちょっと面白い。何故かシングルになって、あまり売れなかったがまあ、シングル向けではないだろう。 ラストはヒットソング"Sha-La-La-La Lee"で、バンドがやりたい路線ではない曲なのは既に述べたが、こんな楽しいポップソングをこんなに黒っぽく、カッコよくやるバンドがいるだろうか。それに終盤のオルガンリフが凄く良いのだ。全英3位も当然スーパーポップ。 |
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