| Final Cut | ||
ひとまずピンク・フロイドの「ラストアルバム」。少なくともロジャー・ウォータースはそう思っていた。だが結果としてラストにならなかったのはご存知の通り。勿論俺もこれを「ラスト」と言い張るつもりなどかけらも無い。 本来は"The Wall"に入り切らなかった曲を集め、映画のサントラとしてリリースされるはずだったものだが、最終的には曲を書き足し、新たなコンセプトアルバムとして発売に至った。しかし、"The Wall"があの形で充分な完成度を見せていることから解る通り、「入り切らなかった曲」イコール「アウトテイク」もっと言ってしまえば「ボツ曲」である。 だからと言って、全曲が良くないか、と言ったら全くそんなコトは無い。せっかくだから、いい曲を挙げて行きたい。 「陰鬱系」の曲にも佳曲はある。オープニングの"The Post War Dream"は小曲ながらちょっといいメロディを持っているし、"The Fletcher Memorial Home"の「気持ち悪い心地よさ」はロジャー・ウォータース節炸裂、と言う感じで個人的には好きだ。なお、後半のデイヴの素晴らしいギターソロのバックで聴けるホーン系の音はまるでリック・ライトだが、既にクビにされていた彼は参加していない。生ホーンか、アンディ・ボウンか? このように、良い曲はあるけど、やっぱりコレを「傑作」とはとてもじゃないけど呼べない。ロジャーは彼抜きで再始動したフロイドを「良く出来たまがいもの」と評した。だが、残念ながら彼自身は「良く出来ていない本物」を残してフロイドを終わらせようとしてしまったわけだな。プレイヤー気質のギルモアが「こんなモンで終わりなんてとんでもないぜ」くらい思っても、いや、思う方が普通だと思うね、俺は。 *なお、現行盤(ベストアルバム"Echoes"リリース後のもの)には、4曲目に"When Tigers Broke Free"(これも「陰鬱系」の名曲)が追加収録されている。ボーナストラックとしてラストに付け加えたんじゃなくて、この位置に入れたのにはストーリー的にも意味があるのだろう。また、映画"The Wall"の挿入曲でもあるこの曲をここに入れたのは、やはり"The Wall"と"Final Cut"には密接な関係があることも意味しているのかもしれない。 |