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実はフロイドには長い曲が(あまり)入っていないアルバムがいくつかあって、その多くは名盤扱いされている。デビュー作がまさにソレだし、Dark Side Of The Moonだってそれほど長い曲は(単体では)入っていない。そしてThe Wallもそうだ。まあ、Final Cutみたいな例もあるけど。 そういう作品があと2枚あって、それらは映画のサウンドトラックとして製作された。予算も、製作期間も限られた中でフロイドがあまり凝らずに、自分たちの素を出した作品である。純粋なオリジナル作扱いされない場合も多いが、決して無視出来ない、というよりも、前述の通り、結構入り口としても解りやすいと思う。 特にこのアルバムの場合は、シド・バレット時代から抜け出し、次のステップに進む時期の過渡期的な性格があるため、両方の要素が混在していてマニアックにも楽しめるし、どちらのファンにもアピールすると思う(どっちにも中途半端に聞こえる、という説もなきにしもあらずだが)。 アンビエントサウンドを生かした"Cirrus Minor"、逆に初期のハードロックをイメージさせる"The Nile Song"と、いきなり対極にあるような2曲から始まるが、このバラエティこそ本質だ。映画のシーンをイメージしていろんなタイプの曲を書いたんだろうが、その「いろんなタイプ」はそもそも彼らが持っていたもので、ソレを片っ端から出して来ている感じが凄く面白い。引き出しの多さも流石だ。モロにブルーズの"More Blues"なんて曲もあったりして、ギルモアの本性が丸見えだったりする。 勿論フロイドであるからして、前衛的な印象のインスト曲("Up The Khyber"、"Party Sequence"等)もあるが、ほとんどせいぜい2分台までで、プログレ慣れしてない人にも許容範囲なんじゃないだろうか。特に、"Up The Khyber"あたりからは上手くすればフリージャズへの興味も引き出せるかも知れないのでお得だ(何が?)。 アルバムのハイライトは間違いなく"Cynbaline"で、後の"Echoes"や"Shine On You Crazy Diamond"の素朴な習作とも言える、抑えた中にドラマティックさを感じる名曲だ。ベスト盤Echoesに入らなかったのは異常とさえ思える。多分、選曲したメンバー達は忘れてたんだろう。 |