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Cirrus Minor
The Nile Song
Crying Song
Up The Khyber
Green Is The Colour
Cymbaline
Party Sequence
Main Theme
Ibiza Bar
More Blues
Quicksilver
A Spanish Piece
Dramatic Theme

 プログレは難しい、またはピンク・フロイドは難しい、という考えの人は聴いてみて欲しいアルバムの一つ。いや、俺にいわせればフロイドに難解なアルバムなんて無いんだけど、難しくはなくても「曲が長い!だからとっつけない!」って文句いわれると流石に言葉に詰まる。

 実はフロイドには長い曲が(あまり)入っていないアルバムがいくつかあって、その多くは名盤扱いされている。デビュー作がまさにソレだし、Dark Side Of The Moonだってそれほど長い曲は(単体では)入っていない。そしてThe Wallもそうだ。まあ、Final Cutみたいな例もあるけど。  そういう作品があと2枚あって、それらは映画のサウンドトラックとして製作された。予算も、製作期間も限られた中でフロイドがあまり凝らずに、自分たちの素を出した作品である。純粋なオリジナル作扱いされない場合も多いが、決して無視出来ない、というよりも、前述の通り、結構入り口としても解りやすいと思う。

 特にこのアルバムの場合は、シド・バレット時代から抜け出し、次のステップに進む時期の過渡期的な性格があるため、両方の要素が混在していてマニアックにも楽しめるし、どちらのファンにもアピールすると思う(どっちにも中途半端に聞こえる、という説もなきにしもあらずだが)。  アンビエントサウンドを生かした"Cirrus Minor"、逆に初期のハードロックをイメージさせる"The Nile Song"と、いきなり対極にあるような2曲から始まるが、このバラエティこそ本質だ。映画のシーンをイメージしていろんなタイプの曲を書いたんだろうが、その「いろんなタイプ」はそもそも彼らが持っていたもので、ソレを片っ端から出して来ている感じが凄く面白い。引き出しの多さも流石だ。モロにブルーズの"More Blues"なんて曲もあったりして、ギルモアの本性が丸見えだったりする。
 "Cirrus Minor"の様なタイプの小曲は実はフロイドの魅力の一つである。このアルバムにもこういうフォーキーな味わいさえ感じる曲が多く入っていて、特に"Green Is The Colour"は秀逸。不思議な笛の音色も心地よい。

 勿論フロイドであるからして、前衛的な印象のインスト曲("Up The Khyber"、"Party Sequence"等)もあるが、ほとんどせいぜい2分台までで、プログレ慣れしてない人にも許容範囲なんじゃないだろうか。特に、"Up The Khyber"あたりからは上手くすればフリージャズへの興味も引き出せるかも知れないのでお得だ(何が?)。
 そういう中でも"Main Theme"(勿論映画のテーマ曲として作られた)は、"Careful That Axe Eugine"の前半や"Set The Controls For The Heart Of The Sun"を彷彿とさせる初期フロイドの典型的なインストナンバー。多分、監督もこの音をイメージして依頼し、また、フロイドもテーマ曲としてそれに応えたのだろう。これと"Quicksilver"(もうちょっと前衛度の高い曲)は、少し長い。

 アルバムのハイライトは間違いなく"Cynbaline"で、後の"Echoes"や"Shine On You Crazy Diamond"の素朴な習作とも言える、抑えた中にドラマティックさを感じる名曲だ。ベスト盤Echoesに入らなかったのは異常とさえ思える。多分、選曲したメンバー達は忘れてたんだろう。