Electric Banana Blows Your Mind


Phil May (Vo)
Dick Taylor (G)
Wally Allen (B/Vo)
John Povey (Key/Dr/Vo)

Twink (Dr on *)

Alexander*
It'll Never Be Me*
I Love You
Grey Skies
What's Good For The Goose*
If I Needed Somebody
Street Girl
Blow Your Mind*
Eagle's Son*
I See You
Love, Dance And Sing
Danger Signs
Walking Down The Street
A Thousand Ages From The Sun
Rave Up*

 このCDはプリティーズが変名"Electric Banana"名義でリリースした3枚のアルバムからヴォーカル曲をセレクトしたものだ。「ヴォーカル曲」というのはどういうことかというと、これらのLPはA面にヴォーカル入りの曲、B面にはその曲のインストヴァージョンを収録していたのだ。
  エレクトリック・バナナというのはプリティーズが資金稼ぎのため、映画音楽を制作するために使った変名であり、インストヴァージョンはサントラに使いやすいように、またアルバムの埋め草(!)として作ったものであり、こういうコンピレーションで収録しないのは正解。間延びもしないし。
  しかし、これがやっつけ仕事かというと全くそんなことは無く、レコーディング次期の関係もあり、"Emotions"から"S.F. Sorrow"への成長の過程が聞き取れる作品になっているのだ。特に"S.F. Sorrow"が間近に迫った時期の"More"及び"Even More"は超強力。プリティーズ名義でシングルにでもしておけば・・・とさえ思える曲がゴロゴロしているのだ。

 "Alexander"がとにかく格好良いのだ。思いっきり"Defecting Gray"の原曲(順序は逆っぽいが)って感じ、っつーかあの曲のロックなパートを抜き出して1曲にした感じですか。この曲は"S.F. Sorrow"の紙ジャケ盤にもライヴヴァージョン(プリティーズ名義によるもの)が入っていて、これも素晴らしい。
 この曲を含む"Even More Electric Banana"にはトゥインクが参加していて、"S.F. Sorrow"の続編的な感じで全部かっこいい。このCDでは次に入っている"I'll Never Be Me"もサイケでポップ、しかもグルーヴィーで実にたまらんものがある。キンクスがやりそうな感じの"What's Good For The Goose"も楽しい。このCDのタイトル曲になっている"Blow Your Mind"は"Defecting Gray"ほど凝ってはいないもののかなりサイケで、組曲的に展開するハードなサイケロック。"Eagle's Son"も"S.F.Sorrow"に入っていても全く違和感の無いサウンドだ。

"I Love You","Grey Skies"等はその前の2nd"More Electric Banana"からのものだが、結局"Emotions"以降の音源であって、サウンドは既にサイケ時代である。で、実はバンド的には最高に充実していた第2期プリティーズの演奏(ただしスキッパーは不参加、ドラムはポーヴィによる)で、トゥインク参加の音源も含め、そりゃあ格好いいに決まっているのだ。この2曲にしても確実に"Emotions"の数曲より充実している。"Street Girl"が特に好きだ。凄いヘヴィーで良い。"Alexander"と並ぶ個人的なお気に入りだ。ヴォーカルはウォーラーか?そして興味深いのが初期ヴァージョンの"I See You"。ここではポーヴィがかなり手数の多いドラム(そしてリードヴォーカルも)を聴かせている。

 面白いのは1st"Electric Banana"では"Emotions"に勝手にストリングスやホーンをかぶせた(かぶせたのはプロデューサーだが)レグ・ティルセイ楽団と共演していること。今回はバンド側の意志もしっかりした状態で共演しているのでだいぶかみ合っている。曲そのものは2nd以降の方が充実しているが。やはり(かみ合ってるとは言っても)「薄められてる」感は拭えないのだ。

 このCDの残念な点は、曲順がバラバラでとっ散らかって聞こえること。3枚から順番に収録して欲しかった。また、70年代以降にも"Hot Licks"や"Return Of"をリリースしているのだが、それらの音源は未収録。以前はほぼコンプリートのCD(2枚)もあったのだが、今では見かけない。やっぱりスナッパーミュージックにしっかりリマスターしてリイシューして欲しいものだ。当然、コンプリート盤で・・・