Parachute


Phil May (Vo)
Victor Unitt (G)
Wally Allen (B/Vo)
John Povey (Key/Vo)
Skip Alan (D)

Scene One
The Good Mr.Square
She Was Tall, She Was High
In The Square
The Letter
Rain
Miss Fay Regrets
Cries From The Midnight Circus
Grass
Sickle Clowns
She's A Lover
What's The Use
Parachute

Blue Serge Blues
October 26
Cold Stone
Stone-Hearted Mama
Summer Time
Circus Mind

"S.F. Sorrow"という偉業を成し遂げてしまったバンドは行き場を失ってしまったのだろうか?そう考えたメンバーとそうではないと思ったメンバーがいたようで、気まぐれなトゥインクだけでなく、遂に結成メンバーのディック・テイラーも去ってしまった。しかし、正解は「そうではない」だった。このアルバムではメイ、ポーヴィ、ウォーラーを中心に前作以上に美しく、力強いサウンドを作り出している。ちなみにドラマーにはスキップ・アランが呼び戻され、ギタリストにはヴィクター・ユニットが就任(一時期だけテイラーとユニットが共存した時代もあった様だ)。
 今回もトータルアルバム的な形式はとったが、テーマを定めただけでストーリーは無い。サウンド面では繊細なコーラスワークと牧歌的なアコースティックサウンド、サイケデリックの残り香、そして(これ以降のアルバムで顕著になる)ハードロック色が同居しながら、見事に調和している。世間で言われる通りの一大傑作だ。

 序盤は完全に組曲的に出来ていて、タムが雷鳴の様な"Scene One"から雲が晴れた様な"The Good Mr.Square"/"She Was Tall, She Was High"の流れが素晴らしい。後者2曲はチャプターが別れているが事実上1曲で、ヴァースが"The Good Mr.Square"、サビが"She Was Tall, She Was High"だと思った方がいい。チャプターも分けてほしくなかったなあ。プレイヤーのディスプレイを見ながらCD聴いてればよくわかる。その後もほとんど曲間無しでアコースティックで、短くて、ポップな「ちょっといい曲」が続いて行く。"The Letter"の後半にエレクトリックでハードになり、オープニングの雰囲気に戻って行く。ここまではほとんど1曲と考えていいと思う。ちなみに"Rain"はこの流れのエピローグで、ほとんど雨音だけの曲だ。
 "Miss Fay Regrets"はロックンロール。ここまでの雰囲気と一変してのハードな世界だ。しかしこういう曲をやるときのノリの良さは相変わらずで、勢いでグイグイ聴かせて行く。
 このアルバムのもう一つの路線としてへヴィなHRサウンドがあるが、その最初のものが"Cries From The Midnight Circus"だ。アランとウォーラーのヘヴィなリズムにユニットがサイケじみたギターをのせる。どこかポール・ウェラーのヴァージョンの"I Walk On Guilded Splinters"の様な雰囲気も。ちょっと(一瞬だけ)ダビーだったりもするし。とりあえず俺は一番好き。次の曲(アナログでは面をまたぐが)、「下手糞なサンタナ」という感じの"Grass"も重たくて格好良い。更に"Sickle Clowns"、"She's A Lover"とハード&ヘヴィ路線は続く。この4曲は全部最高。本当に大好きだ。所詮俺はハードロックファンなのだな。
 ラスト2曲は再びアコースティック&ハーモニー路線の小曲に戻りアルバムを締めるが、こっちの2曲にはサイケの雰囲気が残っているのが面白い。また、アナログB面は全体にパーカッションが印象に残る。

 ボーナストラックではへヴィだがハーモニーが美しいバラード、"October 26"が素晴らしい。アルバムの世界を統括した様な作りではあるが当時のシングル曲。"S.F. Sorrow"に対する"Defecting Grey"という感じかもしれない。ちなみにB面の"Cold Stone"には作曲にピーター・トルスンが関わっているので、このシングルくらいからギタリストが交代していたのかもしれない。つまり、第2次黄金期の始まりである。