Aftermath

Mother's Little Helper
Stupid Girl
Lady Jane
Under My Thumb
Doncha Bother Me
Going Home
Flight 505
High And Dry
Out Of Time
It's Not Easy
I Am Waiting
Take It Or Leave It
Think
What To Do
 ストーンズ初の全曲オリジナル、って言うのは当時的な表現をすればビートルズの"A Hard Day's Night"と対比させられる存在なのだが、実はコレ、ストーンズの"Revolver"だと思っている。まあ、"Satnic Majesties"をペパーに対比させた場合の表現なのではあるが("Betweens The Buttons"は順序が違う"Magical Mystery Tour"か?)、実際のところ「バンドとしての表現の最初の到達点」と言う意味でも"Revolver"的であるとは思うのだ。そしてサイケ時代突入寸前の微妙な色彩感覚。どうも俺にはそう言うふうな対比が成り立つと思えてならないのだ。

 オープニング曲"Mother's Little Helper"は、歪んだギターがサイケデリックでもあり、なおかつアコースティックな感覚にフォーキーな感じも漂わせる曲だが、俺はこの曲、バーズなんじゃないかと思っている。ストーンズ流のバーズ。実際"5th Demension"より先かどうかは未確認なのだが、少なくとも同時代、同じものを見てこういう音を作ったんじゃないか、って気もしてくるほど気配が近い。ただしストーンズの「フォーク」はアメリカのそれではない、と言うのもポイント。アメリカかぶれだったストーンズの「イギリス人の血」がモロに出た曲にも聞こえる。
 "Stupid Girl"はポップで、しかもオルガンが生きているモッズ好みしそうな曲。ビートも踊れる感じだし。この辺も同時代のイギリスのシーン(スモール・フェイシズやフーが出てきたまさにその頃)を見たサウンドじゃないだろうか。そう言う意味ではビートルズの"Rubber Soul"にも通じる。
 "Lady Jane"は初期ストーンズのバラードでも完成度が高い。"As Tears Go By"は「"yesterday"やってみました」って感じだが、同じくクラシカルなサウンドにしながら、ギターとハープシコードというアタックの強い楽器をメインにしたことでバラードなりのビートが出ているし、サウンドのヨーロピアンな感じもより心地よい形になっている。
 "Under My Thumb"は多分このアルバムのベストトラックじゃないだろうか。ブライアンのマリンバとシャープなギターって何処から出た発送か知らないが、最高な決まり方だ。そしてクラップと一体になったドラムのビート(間奏での落とし方がまた絶妙!)にポップなメロディ。コレをシングルにしないとはストーンズも大胆だが、多くのミュージシャンによるカヴァーがこの曲の存在の大きさを裏付けている。
 "Doncha Bother Me"は従来のストーンズ的なブルーズナンバー。この路線も外せないよな!的な存在だが、さすがに手慣れたグルーヴは絶妙。ハープもスライドも「どーよ!」って感じに堂々としている。
 "Going Home"って曲はよく"Midnight Rumbler"のプロトタイプ的な言われ方をするナンバーで、実際俺も同意するところではあるんだけど、一筋縄で行ってない、って言うか徐々に混沌としてくる感覚がなんだか一歩間違えたらピンク・フロイドになりそうな感じでさえもある。この辺に「サイケ直前」気配を感じ取ってしまうのだ。つまりこの曲から"Satanic Majesties"、そして"Sympathy For The Devil"、"Midnight Rumbler"は全て地続きの存在であって、67年にビートルズの影響で急にサイケになったわけでもないし、"Beggers Banquet"で急に揺り戻したわけでもないのだ。
 それにしてもこの時期に11分の曲をリリースするという凄さも忘れてはいけない。

 B面はちょっと地味な小曲集の趣だ。"Flight 505"はようやく登場の典型的ストーンズって感じのR&Rだ。いつもの、チャック・ベリー・マナーのヤツね。スチュが楽しげなピアノを弾いている。前半が意欲作の山だったので、存在感は勢い地味になるが、ここでホッと一息、って感じでもある。
 "High And Dry"はこの後頻繁に登場するカントリー風の曲の初期のものだ。何となく「イギリス」な感じのこのアルバム中でもアメリカ音楽の雰囲気を最も漂わせる曲。
 明らかにB面のハイライトである"Out Of Time"はクリス・ファーロウのヴァージョンでも有名(同じバッキングのストーンズヴァージョンもあり)だが、コレはもっとビートの強いヴァージョンで、R&B風味とビートポップ的世界が絶妙に溶け合った曲だ。アレンジも凝っていて、再びマリンバが登場するほか、メロディにぶつけたアコースティック・ギターのフレーズが(ちょっとたどたどしいが)絶妙に効いている。
 "It's Not Easy"はダルなR&Rナンバー。このアルバム中では地味な存在になってしまう曲なのもしょうがないが、だらしない感じの掛け合いコーラスは捨てがたい魅力。
 "I Am Waiting"はアコースティック楽器をメインにした曲。パーカッション類が多用されて、独特の効果を出している。初期ハンブル・パイがやっても違和感が無い感じか(フランプトンのヴォーカルで)。グッと激しくなるサビと囁くようなヴァースの対比が心地よい。
 "Take it Or Leave It"は割とストレートにR&Bの影響を出した曲。なんだか"Under The Boadwalk"みたいな感じだ。かなり地味。
 "Think"は、基本的にはストレートなはずなのだが、何故か妙に音像のはっきりしない怪しげなR&Rで、ここにもサイケの足音を感じ取れる。ブラスのように聞こえる音はもしかしてディストーションギター?出たり入ったりするドラムは明らかに従来のブレイクの作り方とは違っており、"Satnic Majesties"でのアレンジセンスを彷彿とさせるものだ。
 ラストは"What To Do"。エンディングには地味すぎないか?って感じの割と普通のR&Bになっている。それとも最後にホッと落ち着いてもらおうというチル・アウト的効果を狙ったか。安心感はあるが、ちょっと忘れてしまう曲だ。

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