Drumming of RINGO STARR

 「ドラマーの道はリンゴに始まりリンゴに終わる。」

 初期のリンゴのスタイルでまず目に付くのがあの独特のハイハットワークだ。まるで扇子で扇ぐかのように上下というよりはシンバル上をかすめるようにして前後にスティックを動かす。これ、なんの意味があるかははっきり言ってよく解らないんだけど、真似してみるとてきめんに「リンゴの音」が出る。あと、変則的な動きのせいかシャッフルが叩きやすいんだけど、これがあの独特の微妙に跳ねてる様な跳ねて無い様な感じのリズムの元かもしれない。

  さて、初期リンゴといえばまず引き合いに出されるのが"Ticket To Ride"だが、ポールの指示によって叩いたといわれるあのリズム、確かにパターンはポールによるものだろうが、あの独特極まりないノリはリンゴ自身の天性のものとしか言い様がない。「どんたどとぅたっ(つ)たっ」とでも表現したらいいかな。基本的にはギターリフに合わせるフレーズなんだけど、後半の8分ウラとも頭抜き2拍3連とも言い難い微妙なリズム。よれてるだけと言ったらそれまでだが、これがあのグルーヴの元であるのは言うまでもない。

 もう一つ、"Long Tall Sarry"等で聴ける8ビート、これらのR&Rナンバーでは、ドラムでは極く微妙にはねた8ビートを叩き、ベースの4ビートフレーズと絶妙に絡むのだが、ボンゴでシャッフル(と言うか3連)のフレーズを叩くことによってあの時代のR&R的グルーヴ感を強化。更にこの曲の場合はピアノがスクエアな8ビートを弾いているからコトは複雑だ。この手の感覚は他にも"I'm Down"や"Roll Over Beethoven"等でも聴ける。この手の曲や"Help"、あとカントリー系のナンバーなどでの早いシャッフル(微妙な跳ね方なのは前述の通り)を叩き出す柔軟な手首も彼の重要ポイントの一つ。

 リンゴ自身がビートルズでのベストプレイに挙げているのが"Rain"だが、この時期を境にリンゴの(即ちビートルズの)グルーヴは目に見えてヘヴィーになっていく。アルバム"Revolver"以降のリンゴはハネ気味16ビート気味のフレーズが特徴になっていく。また、フィルインでは("Rain"でも聴かれるように)ハイハットのオープンからスタートすることが多くなっている(ちーだかだかだだだ、みたいな)。
 このノリは全てのロックドラマーに影響を与えた。影響を受けた自覚のない人間も、ほとんどの人は直接間接の差こそあれリンゴのスタイルを基礎にしたと言って過言ではないほど、この時期のリンゴサウンドは「ロック」全ての基本になっている。
 このビート感覚はサイケ期を経て"White Album"で完成をみる。サイケ期のドラミングに関しては下記を参照。68年頃にはジョンのブルーズ感覚やジョージのファンキーなノリに絶妙に対応するドラミングを見せる。特に"Happiness Is A Warm Gun"でのリズム感には感動さえ覚える。また、"Come Together"や"Polythene Pam"等での独創的なプレイは健在だし、"Dig A Pony"での大きな間を作りながらも乱れることの無いタイム感もさすが。こういう大きなノリは後の"John Lennon Plastic Ono Band"でも聴かれる。
 話を戻して、この時期、68〜69年頃の代表的なプレイは"While My Guitar Gentry Weeps","Sexy Sadie","I've Got A Feeling"等だろうか。どれも重たい16ビート気味の8ビートを聴かせる。
 余談だが、"Dear Pludence"でのドラムはポール。このスタイルをほぼ完全にコピーしているのには驚かされる。

 解散後には自らのソロ、そしてジョン、ジョージやポールの諸作品でいわゆるリンゴらしいプレイを聴かせ続けてきたが、"John Lennon Plastic Ono Band"でのプレイが最高峰だと思う(下記参照)。それ以後には正直「凄い」プレイはあまり無い。それでも「あの音」を求められ、完ぺきに再現するのはさすがではあるが。
 しかし、2003年のソロ最新作、"Ringo Rama"では久々の会心のプレイを聴かせている。ここまで重く、ラウドなリンゴは過去に無かった。ドラマーリンゴを堪能できる久々の名作だと思う。

 色々書いたが、結局ドラマーにとって一番大事なのは「歌を聴かせる」コトであり、リンゴは様々なスタイルでプレイしてきたが、常に一貫して歌を生かすためのドラミングをしてきた。これが出来ないやつはどんなにテクがあっても駄目なドラマーであり、その点、リンゴは常に超一流であり続けてきたのだ。

コレを聴け!

The Beatles / Magical Mystery Tour
 
やはり注目したいのは後期リンゴのグルーヴ。これ以降のロックビートの礎を作ったドラミングは"Strawberry Fields Forver"や"I Am The Walrus"に顕著。また、ポップ極まりない曲のバックでほとんどドラムソロ的プレイを聴かせる"Hello Goodbye"のセンスも凄い。
John Lennon / Plastic Ono Band
 解散後にはメンバーのソロに多く参加するが、その中でもこれは全編リンゴのドラムが聴ける。シンプル極まりないが曲のムードを決定づける"Mother"や、"Well Well Well"や"I Found Out"でのラフでワイルドなドラミングなど、全般にヘヴィーなビートを叩いているが、それはアルバムのテーマそのものだった。
Ringo Rama /Ringo Starr
 リンゴのアルバムで最もドラマーとしてのリンゴを堪能できるのがこれ。しかも新境地である。"Eye To Eye"や"Instant Amnesia"でのヘヴィーなプレイは過去のスタイルとは明らかに違う。手数も多い。が、そのビートの持つ、歌心溢れるグルーヴ感は明らかにリンゴそのもの。

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