RINGO RAMA

Ringo Starr / Drums, Percussions,keyboards, Bass,Guitars & Vocals
Steve Dudos / Guitars & Bass
Mark Hudson / Guitars, Bass, Keybords,Percussions & Vocals
Gary Burr / Bass ,Guitars & Vocals
Jim Cox / Guitars & Keyboards
Dan Higgins / Sax & Clarinet
Trumpet / Gary S Grant
Paul Santo / Guitars
Cliff Downs / Guitars
Mickey Raphael / Harmonica
Jey Dee Maness / Pedak Steel
Grant Geissman / Dobro

Herb Pederson / Banjo
Charlie Haden / Upright Bass
David Gilmour / Guitars
Eric Clapton / Guitars
Van Dyke Parks / Accordion
Timothy B. Schmit / Vocals
Willie Nelson / Vocals
Shaun Colvin / Vocals
Barbara Starkey / Vocals

Eye To Eye
Missouri Loves Company
Instant Amnesia
Memphis In Your Mind
Never Without You
Imagine Me There
I Think, Therefore I Rock 'n' Roll

Trippin' On My Own Tears
Write One For Me
What Love Wants To Be
Love First, Ask Questions Later
Elizabeth Reigns
English Garden
(I Really Love Her)

 ロックなリンゴ、今更?って気もするかもしれないが、実はこの人、過去ここまでロックなアルバムを作ってないんじゃないだろうか。なんだかやたらにビートが利いているし、バンドのサウンドもじつにタイト。前作も良かったが、この老人60過ぎて成長しちゃってるらしいんである。これはモノ凄いことだ。

 とにかくドラムがバシバシ来る。オープニングの"Eye To Eye"からしてそれは顕著で、パワフルなドラムとハードなギターリフが絡むリンゴ史上トップクラスの「かっこいい曲」である。ここにはすっとぼけたポップスターのリンゴはいない。ロックドラマー、ロックシンガーのリンゴが今頃デビューしてしまったことに誰もが驚くんじゃないだろうか。中盤では短いドラムソロまで披露。しかしいちいち「ハードロック」なフィルがイカス。序盤の歌詞に「It don't come easy」と言うフレーズが出てくるところにはちょっとニヤリ。

 一転してウォームなサウンドの"Missouri Loves Company"はジョージ的な雰囲気を持った曲で、ハーモニーやアレンジも80年代のジョージを彷彿とさせるところがある。カントリー風のバンジョーがかくし味。タイトル通りのアメリカ南部風サウンドを演出。でもリンゴが歌うと微妙にアメリカンにならないんだよね。

 "Instant Amnesia"はもう1曲の「ハードロッカー・リンゴ」な曲だ。ヘヴィーなブルーズ調のナンバーで、オルガンと歪みまくったギターがうねりまくる。勿論リンゴのドラミングもハードそのもの。ギリギリまで後ノリにして最高にヘヴィーなドラムを叩き狂っている。こんなに手数の多いリンゴもあんまり聴けないんじゃないかな。中間部で突然ジャズ風にチェンジするのもなかなかのアクセント。ここでのベースが最高にかっこいいのだ。個人的には相当に好きな曲の一つ。

 再び南部テーマの"Memphis In Your Mind"はポップなR&R。ロックンロールの名曲が並ぶ歌詞も楽しいが、その歌詞に合わせた様な細かいアレンジがキモ。イントロ等にはロイ・オービソン的な音も聞こえたり、ブギのリフが断片的に出たり、絶妙である。このアルバムの裏テーマ(?)「勝手にトリビュート」R&R編である。

 "Never Without You"は散々宣伝されたようにジョージに捧げられた曲。これがまた絶妙にジョージがリンゴにプレゼントしたっぽい感じに出来ていて、ちょっと泣ける。これをまた絶妙にウィルベリーズ風のアレンジで聴かせるのが気が利いてるよな。馬鹿馬鹿しいぐらい「そのまんま」な歌詞も逆に沁みたりして。
 いつになく出しゃばらないギターソロを弾くエリック・クラプトンも流石、ジョージをわかってる人のプレイだ。中間部にタブラが出てくるやり過ぎっぽさも、この際アリでしょ。(クレジットからすると、リンゴが叩いてるのかなあ)

 "Imagine Me There"ってタイトルがここで出てくるとジョンを思い出すのも仕方がない気もするが、妙に"Starwberry Fields"なキーボードや、"Julia"っぽいフレーズをベースで弾いてたりとか、ストリングスがビートリーだったり、あながち嘘ではないのかも。
 そんなコトとは無関係にやたらに出来のいいバラードだ。所々で「リンゴってこんなに歌上手かったっけ?」と思ってしまうが。

 "I Think, Therefore I Rock 'n' Roll"はキャッチーなロックナンバー。サビのノリノリな感じとちょっと抑えたヴァースのコントラストで聴かせる。ブラスのリフがトニー・ヴィスコンティ風で凄いかっこいい。中間部で大勢で「イェー!!」って叫んでるのも楽しい。オールスターバンドでやる気だろ。

 "Trippin' On My Own Tears"はイントロのブルーズハープがビートルズっぽい気配だ。これまたパワフルなロックナンバーだが例によってメロディはあくまでポップ。リンゴの作曲がどこまでの物かは解らないが(ほとんどの曲が共作名義)、やっぱりセンスの面ではポール達の影響は大きいはずだ。

 "Wright One For Me"は作曲家としてのリンゴの心情を綴ったっぽいポップソング。ウィリー・ネルソンがリンゴとデュエットしている。歌詞に"Yesterday"のことが出てくるが、別にポールのことを歌ったわけではないようだ。個人的にはもうちょっとテンポを抑えていたら、または後ノリのドラムを叩いたらもっと良かったと思うのだが。

 "What Love Wants To Be"はシンプルなアコースティックサウンドのバラード。後半突然ビッグサウンドになるが、ちょっとやりすぎ感もある。何となくポールが作りそうなメロディ/サウンドだ。

 "Love First, Ask Questions Later"もどこかジョージ風のナンバー。間奏部分のギターとドラムによるリフのアレンジが印象的。この辺のアジアっぽいサウンド作りのせいでジョージ風に聞こえるんだろうか。後半に3拍子のパートが出てくるのが良いアクセント。

 "Elizabeth Reigns"はリンゴ版"When We Was Fab"とでも言える様な67年ビートルズなサウンドの曲。ストリングスがもう完全に「例のアレ」だし、リンゴのドラミングが「さすが本物」である。ワンノートでメロディが進行したり、逆回転のギターソロだったり、もうやりたい放題。無茶苦茶楽しい。
 後半に「威風堂々」のフレーズが出てくるが、こういうアレンジ法も得意分野だったはずだ。勿論「勝手にトリビュート」ビートルズ編である。

 ピアノとアコースティックギターに乗せて歌われるシンプルな曲、"English Garden"は犬の鳴き声が聞こえたり、歌詞に「バーバラと僕」って出たりでじつにプライベートな印象の微笑ましい曲だ。しかし、このアレンジ、そしてラスト部分に登場する"Let'em In"の歌詞。どう考えてもポールをイメージして作っている。そう考えると犬の声まで「マーサ?」とか思っちゃうから不思議。そう言えばクラリネットの感じも・・・

 日本盤にはここに"Brink (Movie Mix)"という曲が入っている。アップテンポのポップな曲で、なかなかいい曲ではあるがちょっと蛇足。せめて次の曲の後にいれて欲しかった気がする。やっぱり"English Garden"から"I Realy Love Her"に続くべきだと思うのだ。

 そしてシークレットトラック、"I Realy Love Her"だが、これが問題作だ。凄くシンプルな曲だが、何とギターベースなど全ての楽器をリンゴが自分でプレイしているのだ。「一度やってみたかった」らしいが、まあ、演奏のレベルは置いといて、実にいい感じに仕上がってるんじゃないだろうか。「ご愛嬌」ではあるんだろうが、それが許される人間がやって、しかも成功しちゃったときはなかなか良いものになってしまうのだ。

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