Stop And Smell The Roses

Ringo Starr / Drums, Percussions & Vocals
Harry Nilson / Backing Vocals
Paul McCartney / Bass, Piano, Percussions & vocals
Lawrence Jubber / Guitars
George Harrison / Guitars, Vocals
Ron Wood / Guitars, Wood Bass, Sax & Vocals
Stephen Stills / Guitars & Vocals
Ritchie Zito / Guitars
Fred Tacket / Guitars
Mike Stergis / Guitars & Vocals
Dennis Budimir / Guitars
Lloyd Green / Pedal Steel & Vocals
Herbie Flowers / Bass, Tuba
Dennis Belfield / Bass
Wilton Felder / Bass
Harley Thompson / Bass
Al Cooper / Piano & Guitars
Jane Getz / Piano
Joe Sample / Piano
Mike Finnigan / Piano, Organ & Vocals
Greg Mathieson / Piano & Vocals
Ray Cooper / Percussions, Keiboards, Guitars & Vocals
Joe Lala / Percussions
Jim Keltner / Drums
Linda McCartney / Vocals
Sheila Casey / Vocals
Lezlee Livrano Pariser / Vocals

Howie Casey / Sax
Jerry Jummonville / Tenor Sax
Bruce Paulson / Trombone
Jim Gordon / Britone Sax
Rick Riccio / Flute
Lee thornburg / Trumpet

Private Property
Wrack My Brain
Drumming Is My Madness
Attention
Stop And Take The Time To Smell The Roses

Dead Giveaway
You Belong To Me
Sure To Fall (In Love With You)
You've Got A Nice Way
Back Off Boogaloo

 個人的な意見では、アップルを離れて以降、オールスターバンド以前ではもっとも好きな作品。「傑作」とまでは言わないとしても「力作」くらいは言ってもいいと思う。"Ringo's Rotogravure"はまだ良かったが、それ以降の2枚は何となく「何がやりたいのか解らない」感じがしてしまうのだ。それはリンゴが「他の3ビートルの力を借りなくたって!」くらい思ってしまい、無駄な力が入ってしまっていたせいではないだろうか。
 その力が抜ける切っ掛けになったのがレノンの死、というのはあまりにも悲しいが、ここでは久々にポールやジョージ、それにニルソン、ロン・ウッド、スティーヴン・スティルスなど豪華なメンバーが参加し、それぞれ実に「らしい」世界を作っている。リンゴも
彼らの手のひらの上でゆったりと力を抜いて、楽しくポップな音楽を作り出している。心地よいのはリンゴが気楽に、ポップすることに専念出来ているからではないだろうか。

 オープニング曲"Private Property"はポールの曲(プロデュースも)だが、ビートルズ時代のように「リンゴ用の曲」を見事に作り上げている。さすがにメロディが凄く良い。軽快で楽しい曲だ。
 演奏にはポール、リンダの他にローレンス・ジュバー(アルバムでは「Tuber」と誤記されている)、ハウイー・ケイシー(と、奥さん)などウイングス関係者が参加している(ポール関係の曲全てに参加)。

 続く"Wrack My Brain"ではジョージが作曲とプロデュースを担当。これはこれでやはり当時のジョージのアルバムと共通するサウンドを持っていて、特に、ソロギターを含め間奏のあたりの雰囲気(コードチェンジが凄くジョージ!)は明らかに"Somewhere In England"と連続性を持っているのが解る。ちなみにレイ・クーパーがパーカッション以外にもキーボード類やコーラスで大活躍している。

 "Drumming Is My Madness"では「俺はドラムが大好きだぜ!」と歌うが、そのワリにはドラムは実にシンプル、曲もまったりした感じである。「そう言うならもっとバカスカ叩かんかい!」と思うのは素人の浅はかさ。リンゴが「My Madness」なドラミングは、こういうシンプルなモノなのだ。プロデュースはニルソン。今回、リンゴの味を一番引き出しているのは彼だと思う。まあ、ニルソンだから(?)どうしてもノベルティっぽい方向に行っちゃうんだけど。

 "Attention"では再びポールが登場。こっちはちょっとウイングス用のボツ曲と言う雰囲気の曲。それでも"Cold Cuts"に収まって違和感の無いレベルの佳曲だ。ポールはこういう跳ね方をした、ちょっとオールドファッションなポップソングが得意だが、リンゴのドラムがそれにバッチリ合うのは、当然ビートルズでおなじみなんだけどこの時期で久々に聴くと凄く新鮮だし、嬉しい。

 "Stop And Take The Time To Smell The Roses"は事実上のタイトル曲であり、個人的には結構好きな曲。ストレンジな感じがたまらない。これもニルソンがプロデュースと作曲を担当しており、リンゴのラップとも言えない語り調のヴォーカル(笑いながら喧嘩を売っているような雰囲気がある不思議な口調。)と共にノベルティっぽい雰囲気を醸し出している。

 B面は"Dead Giveaway"で始まる。「ストーンズのリンゴ」ことロン・ウッドがリンゴと共同プロデュース(作曲も)を鼻でした曲。優しげで、アーシーで、しかもちょっとファンキーと言う、いかにもロニーっぽい世界が案の定リンゴにも適度にマッチしている。ロニー自身が吹く(!)サックスが意外にリンゴのアルバムで良く聴くタイプの音なのが面白いところだ。ロニーのいつもの荒っぽいコーラスも聴けるのでフェイシズ方面のファンも必聴。

 "You Belong To Me"ではジョージが再登場(裏ジャケではニルソンと誤記されている)。50年代のスタンダードのカヴァーと言う点でもSomewhere in England的な選曲だが、このとぼけた感じは当然リンゴ向きの選曲。ジョージのスライドが聴けるのも嬉しい。

 カヴァーが並ぶ。"Sure To Fall"はビートルズ時代にもやっていた曲で、当時はヴァースをジョン&ジョージ、サビをポールと言う構成だったが、今回リンゴが一人で唄うことで「メンバー全員ヴォーカル」が実現した。カール・パーキンスの曲をカントリー色を強めたアレンジで演奏するのはリンゴ&ウイングスにロイド・グリーンのペダル・スティールを加えた面々だ。C&Wからカントリーロックへ、ポールによる再アレンジでリンゴ好み度は向上している。

 "You've Got A Nice Way"はスティーヴン・スティルスが作曲&プロデュース。バックにはジョー・ララ(元マナサス)が参加している。音もスティルスらしいファンキーなアメリカンロックで、結果、前の曲との繋がりが妙に良くなっているわけだ。ただ、ジョージ、ポールやニルソンに比べ「リンゴ理解度」が若干低い感もあり、アルバムの雰囲気からは浮いているようにも聞こえるのは残念だ。曲自体は結構いいんだが、いい曲が全てリンゴに合っているわけではないと言うコト。

 ラストはニルソンによる再アレンジが施された"Back Off Boogaloo"のリメイクだ。いきなり"It Don't Come Easy"のイントロで始まり、大量のリンゴやビートルズの曲を混ぜ込んだ、要するにニルソン版の"You Can't Do That"をここでもやってしまっているワケだ。ちょっとやり過ぎな部分もあるが、まあ、たのしいからアリかな、と思わせてしまうのがこの時期のリンゴのいいところで。前作の頃なら多分「こんなのやろうよ」って提案に同意したとは思えないからね。
 実はオリジナルヴァージョンよりファンキーになった演奏部分も聴き応えがある。そりゃあ勿論、単なるノベルティソングに終わるんじゃあリメイクした意味もないからね。

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