Paul Weller |
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デビュー以来EPやシングルばかりリリースしており、また、それをメインの活動にすると宣言していたTSCの「本当の」デビューアルバム。すでにリリース済みの曲も多く含まれているが、すべて新レコーディングのヴァージョンだ。A面とB面でコンセプトを変えて構成されており、CDになった今ではちょっとその辺の焦点がぼけたのは残念。 A面は"Cafe Bleu..."とネーミングされており、ジャズ色の強い曲が多く収録されている。オープニングはミックの軽快なピアノソロであり、「Mick'sシリーズ」第3弾、"Mick's Bressings"だ。タンバリンはおそらくスティーヴ(ポールの可能性も?)で、二人で録音されたと思われる。 続いて、ジャケットには記載されていない曲、"The Whole Point Of No Return"。こちらは、ポールのギター弾き語りのボサノバ風の曲。本来ベン・ワット(エヴリシング・バット・ザ・ガール)が歌うはずだったらしいが、ワットの都合で急遽ポールがスタジオでほとんど即興に近い詞をつけて自分で歌った。後に詞を書き換えたヴァージョンが"Whole Point 2"と名付けられ、"Walls Come Tumbling Down!"のEPに収録される。このようなドタバタでレコーディングしたため、印刷が終わっていたジャケットに間に合わなかったんだそうだ。別にシークレットトラックではないらしい。 2曲目のインストナンバー"Me Ship Came In!"。これまたラテン風のリズムアレンジが印象的。バーバラ・スノウ(トランペット)とビリー・チャップマン(サックス)のソロの応酬がかっこいい。ライヴでも演奏されていて、日本公演のビデオ"Post Modern"ではアンコールでプレイされていた。このとき演奏に参加しないメンバー達がダンスしていたのも楽しかった。ちなみにライヴでもポールはベースを弾いていたが、この曲を含め、このアルバムのレコーディングでも彼は多くの曲でベースも弾いている。 ポールのジャズギターを堪能するなら"Blue Cafe"はなかなかいい。映画のサントラ風でもあるムーディーなジャズナンバーで、弦のアレンジも担当したピーター・ウィルスンがウッドベースも演奏し、本来ジャズドラマーであるスティーヴはブラシで繊細なドラミングを聴かせる。このA面はここからしばらくジャジーな世界へ突入する。 "The Paris Match"のアルバムヴァージョンは、ヴォーカルがトレイシー・ソーン、ギターがベン・ワットで、要するに「ETBGのヴァージョンが、TSCのアルバムに入っている」という状態。ピアノがミック、ドラムがスティーヴ、ポールは恐らくベース。これもまるっきりジャズアレンジ。 ヒットした"My Ever Changing Moods"のシングルヴァージョンはこの流れには不適当。ここには、シングルのポップなイメージとある意味正反対の、ピアノのみをバックにしたシックな演奏を収録している。同じメロディーなのに、どちらでもぴったりくるのが凄い。かなりゆったり歌っているようだが、実はテンポもそれほど落としていないのだ。アレンジ力の確かさを物語る。 ジャズはジャズでもハードバップ的な演奏を聴かせるのが、物騒なタイトルで有名な"Dropping Bombs On The White House"。チャップマンとスノウのホーンも、ミックのピアノもいいが、俺にとって何とも言えないのがスティーヴのドラムソロ。彼のジャズへの憧れが後に自身のグループ「Jazz Renegades」を結成させる。そして俺にとってもこの曲とレネゲイズがジャズとの出会いとなった、思い出深い曲だ。 ジャジーなA面とは打って変わって、B面はいきなりシモンズ(エレクトリック・ドラム)の連打から始まるラップナンバー"A Gospel"で幕を開ける。ポールに代わってラップをするのはディジー・ハイツ。後に"Soul Deep"にも参加する人物だ。彼ら自身によるカヴァーも存在するらしい。 "Strength of Your Nature"も同系統のエレクトリックファンク。歌詞はワンフレーズのみで、延々同じ歌詞を繰り返す。また、D.C.リーの参加もトピックの一つ。中間部ではソロヴォーカルもとる。サウンドは誰かが「Pファンク風」と書いていたがなるほどそんな感じ。"Money-go-Round"の様にジャムセッションがそのまま曲になったんだろう。ライヴではメドレーに組み込まれていたが、テレビ出演時にフルで演奏したこともある。 "You're The Best Thing"は「ギターヴァージョン」。アルバムと同じレコーディングがシングルになったのは、この曲だけ。しかしミックスは違う。ストリングスがカットされ、かなりストレートなサウンドになった。こういう「シングルとアルバムは別」という姿勢はビートルズに通じる。こういうバンドが、好きなのだ。俺は。 唐突にカントリー調な"Here's One That Got Away"。こういう曲はTSCには珍しい。といっても初期TSCは、「珍しい」タイプの曲の博覧会、といった趣ではあるけれど。まあ、カントリー風とは言ってもフィドルがそう言うフレージングなだけであまり米国っぽさは感じさせない。メロディなんかは普通のUKポップだ。 アルバムヴァージョンの"Headstart For Happiness"では、リードヴォーカルがミック→ポール→ディーの順に交代する。ミックのリードはこの曲が始めて。バッキングもフルバンドによるものに変更、更にブリッジ部分が書き加えられて、シングルよりポップな曲になった。 ラストはソウル風オルガンインスト"Council Meetin'"。実は、今でこそクールに感じるこの曲が、昔はメロディーが「なんてったってアイドル」に聞こえてしょうがなかった。おかげで暫くはいい印象が無かったのでした。今では、気に入ってるけど。 |
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