Paul Weller |
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いろいろとバランスを考えると、TSCの最高傑作ってどうしたってこのアルバムということになるだろう。好みの問題は別として。俺も最初に買ったのがこれだから、思い入れも強いし、今聞いてもやっぱりいいアルバムだと思う。 そんなセカンドアルバムは、ミックがヴォーカルの"Homebreaker"で始まる。このころからツアースタジオなどでほとんど5人目のメンバー的な存在感を放っていたカーメル・ハインズのベースが光る。ハインズは、後にアシッド・ジャズ系のヴォーカリストとしても活躍した黒人ベーシスト。左利きでベースを弾く姿がステージでもじつに決まっていた。ポールのファーストソロツアー(ムーブメント名義をのぞく)にも参加。このクールな曲調は、ちょっと低めのミックの声によくあっていて、後にそのソロツアーでポールも歌っているのだが、そちらは今一つ。 ラテンジャズ風の"All Gone Away"。フルートが印象的だ。(確か小山田圭吾はこのフルートソロもまんま使っていた)。ドラムは入っていなくて、スティーヴとゲイリー・ウォリスのパーカッションがリズムをリードする。ベースもアコースティック。この人、クラーク・ケントっていうんだけどスーパーマンか? イギリスでシングルカットされた"Come To Milton Keynes"は、ポップな曲調に反して政治的な内容。このアルバム、こういうの多いんだけど。始めて聞いたころはこれが一番好きだった。イントロのドラムのフィル・インはよく真似した。ストリングスが効果的に使用されている。ゴージャスでありながらくどくない感じが良いのだ。 アメリカ盤のこのアルバムは、ジャケットと曲順が変更され、タイトルも"Internationalists"になっていた。つまりこの曲はアメリカ盤でのタイトル曲、ってわけだ。ポールのワウを効かせたギターに導かれるファンク・ロックサウンド。ミックのオルガンもうなりまくる。情けないことに、これを書くために効いていて、初めてホーンがシンセだということに気がついた。ずっと生だと思っていたのは、もちろんあの最高にいかしたライヴヴァージョンばかり聞いていたからなのだ。そのライヴではほとんどの場合アンコールのラストで演奏され、最高に盛り上げるナンバー。最強。 打って変わって弦楽四重奏をフィーチャーした"A Stones Throw Away"は、メロウな中にも独特の緊張感が漂うメロディーが素晴らしい。ポールとストリングカルテットだけによる演奏だ。やはり政治的な歌詞がこのメロディーを強調してるのだろうか。 "Stand Up Comics Instructions"のヴォーカル(ラップ?)は、コメディアンのレニー・ヘンリーがとっている。まあ、あえてどうと言うことの無いファンクロック。インターミッション、と言った感じ。日本盤LPには未収録だった。 英国以外では"Milton Keynes"のかわりにこの曲"Boy Who Cried Wolf"がシングルになった。このマイナー調のメロディー、日本人好みだと思う。でもこのサウンドはさすがに今では古いか。俺は80年代サウンド好きだからいいけどね。この時期にしては珍しくバッキング・ヴォーカルはトレイシー・ヤング。 キンクスの"Dead End Street"を意識したと思われる鐘の音からB面トップ"A Man Of Great Promise"ははじまる。ポールの古い友人、デイヴ・ウォーラーを追悼した曲で、曲調はボンゴの音色に象徴されるように軽快だが、ヴォーカルには微妙な怒りや悲しみが感じ取れる。追悼って意識して聞くからかな。何にせよ、内容のせいでポールには重要な曲らしく、ソロになってからもたまに歌っている。TSCのライヴではミックがサビに当たる部分を歌う。 ポールはフランスが好きらしく、EP "a Paris" に続き、再びフランスをネタに"Down In The Seine"をつくっている。ミックが自分で弾く("a Paris"の時はフランス人プレイヤーが弾いていた)アコーディオンがムードを盛り上げる。"The Paris Match"より「おフランス」。(悪口に非ず) ディー・C・リーを大々的にフィーチャーした"The Lodgers"。アルバムヴァージョンは、彼女のソロヴォーカルからはじまる。シングル用にリメイクしたものよりテンポも遅く、メロウな印象。なお、現行CD(ボックス含む)のブックレットにはホーンセクションのクレジットがあるが、実際には不参加。シングルヴァージョンと間違えて記載されているので注意。 "Luck"はタイトル通り、ハッピーなメロディーと歌詞が共存している、このアルバムでは珍しい曲。その分印象が薄い気もするが。ディーがリードヴォーカルのライヴヴァージョンは彼女のソロ12"、"See The Day"(TSCのライヴでもおなじみの曲)に入っている。もちろん演奏はTSCがThe Council Brothers名義で参加。 "With Everything To Lose"はスティーヴが歌詞を書いた(現在まで?)唯一の曲。オリジナルはシングルになる、"Have You Ever Had It Blue"。こちらの方が、ボサノバのリズムながらロック寄りにアレンジ。マイク・モウワー(フルート)と、またもや登場のビリー・チャップマン(サックス)をフィーチャーしている。 前作には大量に収められていたインストナンバーだが、今回はこの"Our Favourite Shop"のみ。トランペットとオルガンがメインのラテン風の曲。タイトル変更で発売のアメリカ盤には未収録。勿体ない。 そしてラストは先行シングル"Walls Come Tumbling Down"。TSCのライヴでも本編ラストにおかれて、何とギターレスながら大いに盛り上げるナンバーだ。ライヴでは長らくレギュラーメンバー(ポールのソロでも94年ごろまで参加)のヘレン・ターナーがピアノ。驚くことにこの人、スタジオ盤ではこれにしか参加していない。この曲の珍しいライヴヴァージョンがNMEの付録のEPに収録されていた。"Red Hot EP"と題され、他にジーザス&メリー・チェイン(ボビー・ギレスピー在籍時)、シンプリー・レッド、レッド・スキンズが収録。TSCは、ホーンセクションなしのヴァージョンだった。 なお、日本盤およびCD(アメリカでは最後から2曲目)に、"Shout To The Top"が収録されているが、これはシングルレビューで扱う。ただし、現行CDには変わったヴァージョンが入っていて、"USA Remix"と題されたこのヴァージョン、ドラムとベースが差し替えられていて、さらにバッキングヴォーカルもかなり違う。俺の持っているアメリカ盤はこんなミックスじゃないので、何に使われたものか、知ってる人は教えて下さい。
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