Confessions of a Pop Group
Paul Weller |
|
|||||||||||||
|
||||||||||||||
結果としてこのアルバムがTSCのラストアルバムになってしまった。アルバム試作中にスティーヴが脱退するなど、必ずしもいい状態で作られたアルバムではないし、実際に内容もかなり散漫なものになってしまっている感は否めない。ただ、「散漫」と言ってもこの雰囲気はおそらく狙ったもので、よく言われる「ピアノ主体のサイド(Piano Paintings)」と「ポップサイド(Confessions Of A Pop Group)」と言う両面で別のスタイルにしたのは、デビューアルバム"Cafe Breu"の再現だ。かのアルバムでも両面にそれぞれタイトルがついていたこと(Cafe BreuとSide 2)でもわかるだろう。しかし残念ながら「バラエティーに富んだ」アルバムではなく、テーマが決まってるわりには「散漫な」アルバムになってしまっている。 Piano Paintingsのオープニングは"It's A Very Deep Sea"。正直これがアルバム中最高の曲だと思う。メロディーが圧倒的にいいし、ピアノとベースだけをバックにしたシンプルなアレンジも決まっている。スティーヴ在籍時からライヴでは演奏されていたようで、後のライヴコンピレーション"In Concert"にも収録されている。 "The Story Of Someone's Shoe"はほとんどアカペラ(変な日本語)に挑戦した曲。ただし以前の「セミアカペラ風」だった"It Just Came To Pieces In My Hands"と違い、本物のゴスペルクワイアが参加、サウンドは本格的だが、逆に通り一遍のものに感じる。しかしメロディーはよく、どうこう言いつつも結構愛聴してる、ってのがほんとなんだけど。 "Changing Of The Guard"はスティーヴも参加している、比較的従来のTSCのイメージを感じる曲だが、ディーの黒人らしさゼロの歌唱がいただけない。曲そのものはなかなか良くて、ここまでの感じではポールの才能もまだまだいけるとは思えるんだけど。 一応組曲形式になっているミックのピアノソロ"The Little Boy In A Castle"は、普段のミックをイメージすると裏切られることになる。単なるクラシック風のソロで、以前にはこのての雰囲気のものでは"Le Depart"があったが、あれはそれでもジャズピアノだった。ここではジャジーな雰囲気は全く無く、音楽性が狭いと言われようと俺には退屈だ。 "Gardener Of Eden"も同じ意味で飽きてしまう。3つのパートからなる組曲だが、最初のパート"In The Begining"はイエロー・サブマリンのB面に遠く及ばないような偽クラシック。次の"The Gardener Of Eden"はスティーヴやカーメルが参加していてわりとジャジーな雰囲気を漂わせる。特に後半の盛り上がりはかなり気持ちいい。ホーンのアレンジもいいのだが、ここでもディーのヴォーカルが今一つだ。85年頃のかっこ良かったディーはどこへ?"Changing Of The Guard"よりはだいぶいいがまるでシャーデーの失敗作のようだ。最後のパート"Mourning The Passing Time"は短いピアノソロ。終わったあとに"Diving Replise" という"It's A Very Deep Sea"の続編が入っている。あっという間に終わってしまうがちょっといい曲。 B面は先行シングル"Life At A Top Peoples Health Farm"から始まる。こちらはポップサイドで、打って変わって打ち込みドラム、シンセベースというサウンドだが、曲は平凡。"Speak Like A Chiled"を怒り狂って演奏したようなリズムだが、何か空回りしている。せめてスティーヴがドラムを叩いていれば少しは違ったのだろうか。それでも繰り返し聞いてるとちょっと楽しくなってくるのは俺が単純にファンだからか? "Why I Went Missing"はカーメルとスティーヴ参加のいつものTSCサウンド。ちょっとだけいい曲だが明らかに何か足りないというシングルのB面が似合ってるタイプの曲。カーメルのベースが一番光っている。 困ったことにそういうタイプの曲が続いてしまう。"How She Threw It All Away"はシングルカットまでされたが、どれがA面だか解らなくなりそうだ。それでも前曲よりは圧倒的にキャッチーで、ホーンやフルートの使い方もいい。ベースはカーメル。ドラムはニック・ブラウン。スティーヴのコピーに近いようなプレイをしているが、ちょっと平板だ。 "IWASADOLEDADSTOYBOY"はえらく読みにくいタイトルだが"I Was A Dole Dads Toy Boy"と読む。典型的打ち込みファンクの失敗作。とにかくドラムが打ち込みになってる曲はどれも弱い。スティーヴさえいれば...とどうしても思ってしまうのは俺がファンだからか?アルバム全体に初期のテイストの再現を狙ってるっぽい気配が漂うのだが、空回りしている。空回りといえば、中盤のポールのシャウトはどうにかならんのか。 ピアノがバッキングの主体になってA面の雰囲気にも近い"Confessions 1,2 & 3"がB面ではわりといい曲かもしれない。結局今回はこの手の曲の方が成功してるのだ。スティーヴが叩いてるから?それもあるかもしれない。トロンボーンでおなじみクリス・ローレンスも参加している。それにしても所々に入る安っぽい歓声はどうにかならんのか。 タイトル曲"Confessions Of A Pop-Group"も打ち込みファンク系だが生のパーカッションとベースにかなり救われている。特にカーメルのベースのドライヴ感が曲の雰囲気を決定づけていると言っても過言ではない。ポールのギターソロもなかなかいいし、このアルバムでは珍しくオルガンが聴けるのも嬉しい。効果音もこの曲では成功している。曲そのものは"Money-Go-Round"をテンポダウンしたような感じで、ミックのシンセの音も似ている。やたらに長いのはどうかと思うが、それでもアルバムは何とか有終の美を飾れたのではないだろうか。バンドの有終の美はもうちょっとあとの話になる。 |
||||||||||||||