Heliocentric

He's The Keeper
Frightened
Sweet Pea, My Sweet Pea
A Whale's Tale
Back In The Fire
Dust And Rocks
There's No Drinking, After You're Dead
With Time And Temperance
Picking Up Sticks
Love-Less
Paul Weller_Guitars, Keybords & Vocals
Steve White_Drums & Percussions
Damen Minchella_ Bass guitar
Steve Cladock_ Guitars

Brendan Lynch_ Glockenspiel on "He's The Keeper",Mini Moog on "I Back In The Fire"
Mark Boxall_Accoustick Guitar and Backing vocals
on "A Whale's Tale"
Cliff Stapleton_ Hurdy Gardy
on "Picking Up Sticks"

 40代になって最初のアルバムであり、発売当初は「内省的」だの「熱いロックナンバーが無い」だの言われていたのだが、果たしてそうなのか。実際のところ、俺の第一印象も「ちょっと地味か?」だった。が、アルバム後半に行くにしたがってロック的な曲も出てくるし、それどころか終始徹底して「熱い」姿勢は決して変わっていない。考えてもみれば、すぐに解るはずだ。だってこのオヤジ、これしか出来ないんだから。熱くしかなれないんだから。
 アルバムの製作に関わる人間は徐々に減って、前作でも少なかったが今回は極く一部を除いてポールとホワイティー、そしてOCSの二人、デーモン・ミンケラとスティーヴ・クラドックの4人で録音されている。また、今までは殆どブレンダン・リンチとポールの共同プロデュースだったが、今回は3曲でポールが単独でプロデュースに当たっているのも珍しい。次回作でプロデューサーが変っているので、もしかしたらレコーディング中に何かあったのか?とか考えてしまうが。
 いかにも60年代のソウルのレコードと言う雰囲気のジャケットも趣味丸出しで微笑ましい。

 "He's The Keeper"はロニー・レインに捧げられた曲。シンプルなミドルテンポの曲で、過去のシングル曲に比べても若干地味ではあるが、この曲に熱さを感じないという人も理解できない。シングルにも、オープニングにも地味に感じるかもしれないが、プロンクへの思いを込めたこの曲をオープニングに持って来た、と言うのも「40代でも生涯モッズ宣言」でもあるんだろう。
 ところでビデオに出てくるバンドメンバーは、だれ?

 "Frightened"はゴージャスなオーケストラをクールにフィーチャーしたナンバー。サビでのフレーズが最高に良い。絶妙なサウンド作りであり、この辺は流石のセンスだ。このサウンドはアルバムの特徴の一つにもなっている。
 ピアノがメインになっているスロー系の曲だが、跳ねるリズムや前述の弦など、ひねりの聴いたサウンドで聞き応えもある。エンディングもかっこいい。

 "Sweet Pea, My Sweet Pea"はまた妙に可愛らしいタイトルだが、そのタイトル通りのアコースティックでちょっとフォーキーなポップソング。それでも決して「可愛らしく」歌うことなんか出来ないのがウェラーなのだが、こういう曲でもどこか熱くなってしまう不器用さが逆に「可愛い」のかもしれない。娘のために作った曲という、"Moon On Your Pyjamas"に続く「親馬鹿ソング」

 "A Whale's Tale"もアコースティックな曲だが、リズムにひねりがある。特に間奏後、後半のドラムのフレーズやブレンダン・リンチ得意のダビーなエフェクトが個人的に好み。
 ちなみにCDケース裏の曲順は次の"Back In The Fire"との順番が逆になっているので注意。

 その"Back In The Fire"もやはりアコースティックなバラードナンバーだ。スティーヴがホット・ロッズと言う特殊なスティックを使ってソフトなプレイをして効果を上げている。かくし味的なムーグがバックで空間演出に一役かっている。あと間奏部分のベースソロもポイント。ライヴはエドガー・サマータイムが(当然)コピーして弾いていたが、ここでは勿論デーモンがプレイ。

 俺が見たライヴはまさかのオープニングだった"Dust And Rocks"もまた続けさまにスローなアコースティックナンバーである。この辺の流れがアルバムの印象を地味に感じさせているのかもしれない。しかし、この3曲をとってみても似通った曲は無いし、勿論弱い曲もない。純粋に作曲(メロディメイカー的意味での)面では前作より強力になっているんじゃないだろうか。当然この曲もメロディが凄く心地よい。ライヴのアタマには「?}だが。
 この曲もストリングスが非常に効果的。また、ピンポイントで登場する歪んだエレキギターもアクセントになっている。

 "There's No Drinking After You're Dead"でようやくアップテンポな曲が登場する。メインがエレクトリックギターなのも久しぶりな気がしてしまう。それでもせわしいリズムに対してヴォーカルは割とゆったり(倍テンポにとっているのかもしれない)歌っているので、あまりアッパーな印象はない。しかしこれがタイトル通りの酩酊感を上手く表現しているようだ。例によってストリングスもクールでカッコ良い。その辺も含めて、サイケ期のプリティ・シングスっぽい感じもする。

 間髪入れずに始まる"With Time And Temparance"もストリングスをフィーチャーした曲。これもアコースティックっぽい音作りがされていて、ヴォーカルも抑えめな印象。シャウトすることもなく最後までクールに歌い通す。しかしいつもの如くビートはがっちりしている。ダイナミックなアレンジと相まって骨太な曲だ。

 "Picking Up Sticks"は印象的なオルガンリフから始まるクールな曲。抑えた感じに始まるが、徐々に盛り上がっていって、ビートも激しくなり、ヴォーカルのエコーも深まり、そして後半怒濤のドラムソロに雪崩れ込む。このスティーヴのソロがもう最高!単なるミーハーの気もするが。これはライヴは当然更に長くプレイされていて、凄く感動したことを良く覚えている。
 前後するが、アコースティックギターの間奏から2回目のヴァースでバックがブレイクするところも緊張感が高くて最高。勿論個人的フェイヴァリットである。

 ラストは壮大なバラード系のナンバー、"Love Less"である。とは言っても当然甘く歌うわけもなく、いつものようにロック/ソウルの色が強いので、いわゆるバラードをイメージすると全く違う物に聞こえる。ピアノを中心に据え、当然ストリングスも大活躍、ハイポジションで弾くベースラインも強い印象を残す。強力な曲の続くアルバム後半を見事に締める名曲だと思う。