![]() Tommy
→Singles 1969 |
Deluxe Edition
|
|
Whoの快進撃。最高傑作4枚連続リリースの第1弾だ。何が凄いってこんな亊をやったのは他にビートルズ(ラバー・ソウル、リボルバー、ペパー、ホワイトの4枚)くらいしか存在しないのだ。前年をレコーディングに費やしただけあって、この年はこの「史上最も有名なロック・オペラ」(史上初ではない)と、先行シングルしか出していない。だがそのインパクトたるや凄いものだった。 "Overture"でアルバムの幕は開く。収録曲のダイジェスト版と言った趣のインスト。この構成力は凄い。後半部分はピートの緊張感あふれるアコースティックギターソロから通称"Captain Walker"の弾き語りパートに続き、曲はそのままジョンのホーンが入り、穏やかな展開の"It's A Boy"に続く。トミー誕生のシーンだ。 "1921"は帰ってきた父親による母の浮気相手殺害シーンだ。ピートのヴォーカルは強い調子で「お前は何も見なかった、聴かなかったんだよ」と暗示をかけようとするが、ここはロジャーに注目。ロジャー演ずるトミーはピートの「You didn't see it...」にたいしバックではっきりと「I saw it...」と違う歌詞で歌う。つまり「僕は見てしまった、聴いてしまった」とはっきり主張しているのだ。このヴォーカルパートの食い違いは意外に今まで誰も指摘していなかった。この事典でのトミーの意志を押さえつけた、と言うのは重要なポイントのような気もするんだけど。ここまでがプロローグ。 物語の主題歌(アルバムの仮タイトルでもあった)と言ってもいいのが"Amazing Journy"だ。これは続く"Sparks"とセットで1曲と言ってもいいだろう。曲のダイナミックさはアルバム中1,2を争う。おそらくテープの逆回転と思えるサウンドから始まるが、このパルス風の音は後に"Who's Next"でシンセを導入する先駆けと言えるだろう。中間部から繊細なイメージを引き裂くように入ってくるキースのドラムは圧巻の一言だ。この瞬間主役はキースに移り、そのまま前作の"Rael"を改作した"Sparks"へなだれ込む。3人全員が同時にソロを取っているかのようでいてしっかりした構成に乗っ取っている。並のプログレバンドではこれにかなうまい。 ここから様々なキャラクターが登場する。最初は"Tha Hawker"ソニー・ボーイ・ウィリアムスン、と言うよりモーズ・アリスンのヴァージョンのカヴァー。いきなりブルーズのカヴァーを入れるのも凄いが、しっかり曲(アレンジは相当にしているが)、歌詞ともに流れに沿っているのが凄い。映画ではエリック・クラプトンがよりブルース風のアレンジでプレイしている。なお、モービル・フィデリティ盤のCDではヴォーカルパートが低音で歌われる別ミックスが収録されていたが、Then And Nowの日本盤ボーナスディスクでより手軽に聴けるようになった(コレも限定盤だが)。 "Christmas"ではついに"See Me , Feel Me"の抜粋が登場する。それにしてもこんなタイトルで、クリスマスのハッピーなイメージが全くない曲だ。勿論「クリスマスソング」なんかではないんだが。DEにはオーバーダブ前のインストも収録された。 キャラ物担当ジョン作の"Causin Kevin"は、酷い正確のケヴィンのキャラクターを完全にサウンドで表現しきっている。歌詞の意地悪の数々は後に映画でこの仕打ちをすべて映像化される羽目になったトミー役のロジャーが「もうちょっとましな歌詞にしてくれりゃあ良かったのに」とまで言ったもの。実際あの映画のシーンはよくロジャーも耐えていると言った感じだ。 続くキャラクターは"Acid Queen"映画ではティナ・ターナーの怪演&名唱の印象が強いが、オリジナルはピートがリードを取る。正直ティナの方がインパクトが強い(まああの人にインパクトで勝とうって方が間違ってるんだけど)が、ピートの繊細なヴォーカルも別の良さがある。ただこのキャラクターは、彼女にぴったりすぎるのだ。間奏のフレーズは繰り返し他の曲にも登場する。 1枚目ラストの"Underture"は"Sparks"のロングヴァージョン。タイトル通りの間奏曲、ライヴで演奏されたことはない(ただしボックスセット収録の"Sparks"は何故か"Underture"とクレジットされている) "Do You Think It's Alright"は一種のインタールードで、あっという間に次の"Fiddle About"に移る。またしてもジョンが強烈なキャラクターを自作自演している。ただしこれも映画のキースの方が圧倒的にイメージにあっている。 "Pinball Wizard"はフーの代表曲の一つとしてオペラから切り離されたかたちでも演奏され続ける。勿論シングルとしてもヒットした。曲そのものもそれに相応しいもので、コンパクトかつシンプル、かつ迫力のあるナンバーだ。イントロなどでのピートのギターのストロークの歯切れの良さが気持ちいい。なお、映画ではエルトン・ジョンが「Pinball Wizard」としてクレジットされるが、実際はこの称号はトミーのもの。この歌を歌うキャラクターは「Local Lad」である。ケン・ラッセルが間違えたのか? "There's A Doctor"も次の曲のイントロのようなもの。こういった曲はあくまでストーリーのために作られたもので、1曲取り出してどうこう言える様なものではないだろう。次の"Go To The Mirror !"はかなり重要な曲。ストーリー上もトミーの治療という転換点になっているが、このメロディーは"Overture"で既に登場していたもの、更に分割されているが"See Me, Feel Me/Listening To You"の全パートが登場、ライヴでは"See Me, Feel Me"のラストにこの曲のリフが付けられているところから見てもアルバムの中核をなす曲の一つと言っていいだろう。 "Tommy Can You Hear Me?"は短いが他の「インタールード系」の曲に比べてかなり出来がいい。ビート・クラブ(映画"Kids Are Alright"に収録)での映像も印象的だ。DEに収録のエレクトリックなヴァージョン(但し歌無し)も興味深い。続く"Smash The Mirror"と共に母親からのトミーへの語りかけというかたちをとっている。こちらはわりとストレートなR&R風の作りで、シャウト気味のヴォーカルが印象に残る。 "Sensation"は元々このアルバムとは別に作られた曲らしい。確かに作風が他と微妙に違う気もする。ホルンが耳に残るくらいで、あまり強力な曲とは思えない。"Miracle Cure"に関しては特に言うこともないので(一番短い)、次の"Sally Simpson"も趣の違う曲だ。この曲の元になった出来事がピートがトミーを書くきっかけになったらしい。ボ・ディドリー風のリズムだが、わりと単調。歌詞が多い分、長いので飽きる。DEには数多くのセッションテイクが収録。スタジオでのメンバー間のやり取りが楽しい。"Miss Simpson"とタイトルされたものも。 イントロからリズムのとりにくさには定評がある"I'm Free"はさすがに名曲。とりあえずキースが冴えていれば文句はないのだ。映画ではわかりやすいハード・ロック風のリフになってしまった。悪くはないが、ちょっとつまらない。エンディングでは"Pinball Wizard"のギターカッティングが登場する。 唐突なワルツ。"Welcome"はアルバム中"It's A Boy"と並ぶ静かな曲。置かれている場所を考えると対比する意味があったのかもしれない。ピアノ主体であることやその曲調ゆえにライヴでは省略されることが多かった。DEにはこれまたインストヴァージョンが。 "Tommy's Holiday Camp"はキースが作った曲らしい。いかにも適当っぽい感じはそれっぽいが、ピートのデモにこの曲が収録されているところを見ると、もしかしたらクレジットだけキースにあげたのかもしれない。なんにせよアルバム中一番楽しい曲。ヴォーカルは何故かピート。映画以降75〜6年頃のツアーではキースが歌っている。DEに収録のものはギターバンド形態でプレイされたインスト。 ラストの"We're Not Gonna Take It"のポップで明るいサウンドは歌詞を知らなければ物語の大団円と思えてしまう。勿論これが「信者」達のトミーに対する拒絶の歌なのは言うまでもないのだが、曲そのものの明るさは彼らの不満をトミーが気づいていないということを表しているのだろうか、それともあくまで音楽的高揚感が優先されているのか。サビは信者達の怒りを多少は感じさせる程度に激しめに作られているのだが。そして拒絶されたトミーは再び内面的世界へ入っていく。オリジナル盤にはタイトルのクレジットの無い、しかし真のテーマ曲とも言える"See
Me, Feel Me"が激しいバッキングと美しいコーラスで奏でられ、本当の意味での(トミーにとっての?)大団円を迎える。ただ、あえて言えばこの曲はライヴが圧倒的にいい。コーラスの美しさはスポイルされるがその分激しいロックの側面が強く打ち出されている。ロジャーのフェイクを交えたヴォーカル、ジョンのうなるベース、キースの暴走気味の爆音ドラム、ピートの荒々しいフィードバックしっぱなしのギター。フーの全てがあると言っても過言ではない。 |
| LIVE
TRACKS 1969 Singles And Rare 1969 Tommy performed by London Symphony Ochestra Original Soundtrack Recording Tommy the Movie The Who's Tommy original cast recording back |