It's Hard
Side 1
Side 2
Athena
It's Your Turn
Cooks County
It's Hard
Dangerous
Eminence Front
I've Known No War
One Life's Enough
One At A Time
Why Did I Fall For That
Cry If You Want
Remix & Remaster CD

Athena
It's Your Turn
Cooks County
It's Hard
Dangerous
Eminence Front
I've Known No War
One Life's Enough
One At A Time
Why Did I Fall For That
Cry If You Want

It's Hard (Live)
Eminence Front (Live)
Dangerous (Live)
Cry If You Want (Live)

 

 新メンバーで復活したはずのフーもやっぱりアルバム2枚しか持たず、結局現在に至るまでこれが最後のフーのスタジオアルバムになってしまった。案の定と言うべきか、評価は非常に低く、このアルバムが好きというフーのファンに出会ったことはない。確かにアルバム全体で、と言うとかなり難があるというのは本当のことではある。しかし、最後の力を、とは言いたくないが個々の曲には結構魅力がある。腐ってもフー、ってヤツである。

 "Athena"はもの凄く微妙な感じだ。曲そのものは悪くないのだが、やはり演奏があまりにも軽いのがやたらに気になってしまう。ケニーのフレーズはキース的なものを消化しようとして失敗している感じだし、ピートのギターも「シャープなカッティング」と言えば聞こえはいいがむしろ軽いだけ、と言う感じだ。そんな中でロジャーはヴォーカルで実に頑張ってると思う。シングルカットには若干弱かったような気がする。ところでタイトル「アセーナ」と表記されるが俺には「アティーナ」としか聞こえないんだけど・・・

 ジョン作の"It's Your Turn"はアルバム"Who Are You"の頃からの彼の定番的な曲だ。なかなかパワフルなハードロックナンバーで、ここでほっとするのだが、ちょっとシンセが分厚すぎやしないか、とも思う。これは"Quadrophenia"以来のフーの悪癖となっていることで、お陰でせっかくいいフレーズ弾いてるギターが埋もれてしまっているのだ。ロジャーの歌はかなりかすれている、が、まあオッケーだろう。ギターに珍しくアンディ・フェアウェザー=ロウがクレジットされているが、もしかしたらピートは不参加かもしれない。

 "Cooks County"はシンセのシーケンスを組み込んで70年代以降のフーのイメージを狙った感じの曲だが、曲自体が弱くて"Baba O'riley"の様にはなっていない。それでもジョンの空間を生かしたベースや、ピートとジョンによるコーラスなど、聴くべきところは結構ある。惜しかった。

 "It's Hard"は泣き言を言うような詞が評判の悪い曲だが、やっと登場したストレートなサウンドのフーであるし、個人的には好きな方だ。ロジャーはしんどいしんどいと言いながらも特に後半で力を振り絞る部分などは逆に説得力があるし、珍しくブルージーなピートのギターも好きだ。CDにはビデオ"Rocks America"からのライヴヴァージョンも入っているが、そっちもかなり良い。珍しくロジャーがギターを弾きながら歌っている。

 これもジョン作でロジャーが歌うのだが、"Dangerous"は個人的にはアルバムのフェイヴァリットナンバーだ。やはり例によってシンセが目立ちすぎるのが残念だが、イントロなど完全にベースがリード楽器で「ジョン・エントウィッスルここにあり」な感じが堪能できる。ギターは一体どこ?って感じなやりすぎ感もこの曲に関してはオッケー。このバランスは"It's Hard"と同じソースからのライヴヴァージョンではほんの少しだけましになっている。イントロの終わりなどでピートの存在を確認できるのだ。

 "Eminence Front"も個人的には好きだが、これは最早フーではないだろう。一種のフュージョンのようなサウンドで、ヴォーカルもピートがとっている、明らかにピートのソロの方が似合う楽曲だ。いつものシーケンサーさえフー的には聞こえない。ドラムもキースには無理どころか、ケニーよりサイモン・フィリップスの方が似合うんじゃないかとさえ思う状態だ。が、やはりジョンが弾きまくことで、だいぶ「フーの音」に聞こえてくるのだ。ライヴヴァージョンではより顕著にそれが解る。ちなみにライヴではこの曲でもロジャーがギターを弾いている。

 アナログB面トップの"I've Known No War"はかなりはっきり弱い曲だ。ギターもヴォーカルも頑張ってるのに空回りに聞こえてしまう。この曲だけはちょっと聴いてて辛い。頑張ってる感がある分だけ辛い。これでB面を始められてしまうとそれ以降もキツく感じてしまうのだ。実際、B面は全体に弱いのも事実だが。

 更に追い討ちをかけるのが"One Life's Enough"で、個人的にはフーの全楽曲中でも一番嫌いな曲。ピアノとシンセばかりでギターはどこにもない、陰気くさいクラシカルなバラードだ。嫌い。

 逆に好きなのが"One At A Time"。ジョンがヤケクソのようにわめき散らすナンバーで、まあ、言ってしまえば"Quiet One"の焼き直しだ。だがこの乱暴な感じはこの流れにあると特に強烈なカタルシスをもたらす。シンセが厚いのも相変わらずだが、ここではだいぶギターが聞こえて、しかもこのギターがまたヤケクソ気味なのがいいのだ。

 "Why Did I Fall For That"はちょっと前作風の曲だ。B面でやっとピート作のまともな曲が出てきた感じだが、それでもこの曲はだいぶ弱い。もう、決定的に何かが足りない。何が足りないのかは思いつかないんだけど。

 しかしB面こんなんばっかだな、と思わせてしまうのがこのアルバムの大きな弱点で"A Man Is A Man"もなんだか煮え切らないバラードだ。なんか、いいじゃん、フーじゃなくても、って感じなのだ。かと言ってこれをピートがソロで歌ったらもっと酷いんだろうけど。歌そのものは悪くないからむしろロジャーのソロに向いてるかも。それでも"Giving It All Away"にボロ負けだけど・・・。

 ラストの"Cry If You Want"でほんの少しだけ救われる。ケニーのマーチングドラムをフィーチャーしたナンバーで、バンド全体でがぁーっと行く感じは結構来る。だが、せっかくこっちが「おぉおお!」ってなってるところでスカされる展開は苛立つし、曲の長さを考えるとさすがに単調な感は否めない。ボーナストラックには"Rocks America"でカットされたライヴテイクが入っているが、印象は同じ。曲が2分近く長い分疲れる。やっぱりイマイチ有終の美は飾れなかった感じだ。

Singles And Rare 1982
LIVE TRACKS 1982
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