![]() Tommy Performed by London Symphony Ochestra
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現在トミーを収録したアルバムはオリジナル盤、ライヴ3種、サントラ、ミュージカル版、そしてこのオーケストラ版が存在する。そして、これがその各種バリエーションの中でも最初に世に出た「アナザー・トミー」だ。 "Overture"はいかにもオーケストラにはまりそうだが、アレをロックバンドでやっていたのがミソであったわけで、ある意味ちょっとつまらないものになっている。まあ、それは他の曲にも共通する話で、これを言ってしまうと始まらないというのも事実だが。オリジナルは完全なインストだったが、ここではコーラスが"See
Me, Feel Me"を歌っている。 "1921"は父親役のスティーヴ・ウィンウッドと母親役のマギー・ベル、そしてトミーを演じるロジャーが歌う。"you didn't see it..."のパートは実際に3人で歌うことで脅迫的な印象や混乱した感じを出すことに成功している。しかし、強烈そうな母ちゃんだな、この声は(映画版も凄いが)。 "Amazing Journy"は後の映画版のプロトタイプ的な印象のスペイシーな演奏。オーケストラに丸ごとフェイザーをかけているのが凄い。ここではピートが歌う。続く"Sparks"共々、キースのドラムがキモだったのでそれが欠けることでダイナミックさが失われているのが大きな欠点だ。オーケストラにしてはそこそこフリーキーな演奏になってはいるのだが。 行商人"The Hawker"はリッチー・ヘイヴンスが演じる。 元々サニー・ボーイ・ウィリアムスンのブルーズナンバーだから妥当な線か。アレンジはオリジナルヴァージョンをオーケストラに置き換えた感じだが、「黒いフォークシンガー」ヘイヴンスにはよく似合ったアレンジに聞こえる。ヴォーカルは映画ののクラプトンより味がある。 "Christmas"は妙に分厚くなってしまって、重厚というより重苦しい感じだ。狙いなんだろうが聴いていてしんどい。ヴォーカルはウィンウッド。こういう曲ではウィンウッドも生かしきれないと思うのだが。 オリジナル通りジョンが演じる"Cousin Kevin"は、ケヴィンの豹変が上手く表現されないアレンジに不満が残る。ブリッジのホーンなど不穏な感じが出てはいるのだが、もっと強烈なほうがいいと思う。やはりキースがえらい、と言う話になるのか。 強烈な人が演じることに決まっている"Acid Queen"は、ここではストーンズの"Gimmie Shelter"でも知られるメリー・クレイトンが歌う。ジプシーだと思ったら黒人らしい。ティナ・ターナーやパティ・ラベルにも負けない存在感である。オーケストラは負けている。エンディングにはピートの演奏するシンセが入り、"Underture"に繋がる。"Sparks"のヴァリエーションなのでまた「キースが偉い」ということになるのは置いておくが、オリジナルとは違い、4分弱のコンパクトな演奏になっている。"Sparks"とどこが違うというのか。 マギー・ベルがコーラスとともに歌う"Do You Think Its Alright"に続いて登場するのは"Fiddle
About"アーニーおじさんを演ずるのはリンゴ・スター。バッキングには違和感は少ないが、リンゴはちょっと言い人っぽすぎる気がするが。 "There's A Doctor"はウィンウッドが歌う。インタールード系なので違和感は無し。この曲に導かれるのは"Go To The Mirror"で、リチャード・ハリスが語り調で歌う。"See Me, Feel Me"のパートは勿論ロジャー、最後のワンコーラスには今回今一つ覇気の無いウィンウッドも登場。彼の黒いノドが聴きたい人には不満だらけのアルバムである。演奏面では、こういう緩急付けるアレンジにはオーケストラも割とマッチするように思える。 ウィンウッドもこのくらいやれよ、と言いたくなるほどパワフルなマギー・ベルの歌が"Tommy Can You Hear Me"と"Smash The Mirror"で堪能できる。かなりソウルフルで、ここでのベルの演技が後の映画版での母親のエキセントリックなキャラクターを決定づけたのかもしれないと思わせる。 "I'm Free"でのロジャーの歌唱スタイルは映画ヴァージョンのプロトタイプ的なフレージングになっているところがミソ。ライヴはこういう歌い方はしていない。ただし、オーケストラのバッキングとマッチしているかというとかなり微妙な感じもある。ベルやクレイトン、ロッドに触発されたのかなあ。なお、このテイクはロジャーのソロ名義でシングルにもなった。"Miracle
Cure"はコーラス隊によるアカペラ。 "Sally Simpson"は挿話的なパートのため、ナレーターのピートが歌うことになったようだ。アレンジは大きく違い、本来の偽セカンドライン風なリズムは消え、バロック風の演奏、まるで吟遊詩人かなんかが宮廷で物語を語っているかのような印象だ。「ホーリー・グレイル」のニール・イネスみたいな感じで...。単調になりがちなこの曲を上手くアレンジしたと言える。 再びリンゴが登場する"Tommy's Holiday Camp"はマーチ風のアレンジになっている。なかなか曲に合った楽しい演奏ではないだろうか。終盤に来ていい演奏が増えてきた。 そしてラストの"We're Not Gonna Take It"だが、この曲はさすがにバンドじゃないと気分的に物足りない気もするんだけど、このコンセプトということで考えるといいアレンジの部類かもしれない。特に楽しげなトミーと不穏な群衆の対比はうまくいっている。 |
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