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▼部分月食レポート(2005.10.17)

1. 快晴の空で見た今回の部分月食
2. 「部分月食」 最大食分時の満月
3. 月食の経過
4. 露出値を変えて比較する
5. 本影に迫る
6. 「月食」次回は?
7. 「月食」 バックナンバー

 私が撮影した2005年10月17日の部分月食の画像集です。

今回の部分月食はほんの少ししか月が欠けず小規模でしたが、快晴に恵まれ、一眼レフデジカメの直焦点撮影で高解像な画像を撮影できて満足でした。


共通撮影データ
撮影地 : 熊本県熊本市
カメラ : ニコン D70
望遠鏡 : ビクセン R200SS (口径200mm 焦点距離800mm F4)
撮影方法 : 直焦点撮影
ISO感度 : 320

※Photoshop-E.にて画像処理: 写野回転, トリミング, アンシャープマスク
画像の無断転載禁じます


快晴の空で見た今回の部分月食


月食撮影の様子
 2005年10月17日夜に見られた部分月食。月食最中の各地の天気は、気象衛星の画像を見ると、関東地方では台風から伸びる雨雲がかかっていたようですが、ここ九州では雲1つ無い快晴の空の下で部分月食を見ることができました。

 20時34分に地球の影が月にかかり始めて(欠け始め)、21時03分に最大食分(月が最も深く欠ける)になり、21時31分に影を抜けて、部分月食が終わりました。確かに、完全に影に入ってしまう「皆既月食」と比べると今回の部分月食は欠ける割合も小さく、見劣りするかもしれません。それでも地球の丸い影が月に掛かって通り過ぎていく様子が判って宇宙の奥行きを感じられたのではないでしょうか。しかし、正しくは地球の影が動いていくのではなく、月が動いて地球の影に入っていって月食が起こるのでお間違いの無いように。

 当地では快晴の空に恵まれ、月が欠けていき復円していく様子をD70の直焦撮影で収めることができました。やはり地球の影の中の部分と隠されていない明るい部分はコントラストが大きすぎて一枚の写真ではハイライト・シャドウのいずれかがトンでしまいますね。一枚では表現できません。

 眼視で見ると、明るさの差がよく判り、皆既日食のコロナの階調は生で見るのと写真で見るのとでは大違い、と言われるのもよく判りました。



「部分月食」 最大食分時の満月


最大食分時の満月です。
月の向きは南を上にしてありますので、右上(月面の南西部)の方が欠けています。

撮影時刻: 21時04分
10コマをスタック&ウェーブレット変換





月食の経過



この画像では東を上にしてあります。約10分おきに撮影したものを並べてみました。時間が経つにつれて地球の丸い影が月をかすめていく様子がよく判ります。

実際の月食では、影が1時間半かけて月をかすめていきましたので、「地球の影が動いている」様子はじっと見ていても判りません。しかし、こうして10分おきに撮影した画像を並べると、明らかに地球の影が動いているのが判ります。とはいえ、正確には地球の影が動いていくのではなく、月が動いて地球の影に突入していき月食が起こっているのです。

撮影時刻: 20時31分〜21時54分




露出値を変えて比較する

露出値による写り方の違い
最大食の頃の地球の本影部分にスポットを当て、露出値(シャッタースピード)を変えて撮影してみました。ここでは、その違いによる地球の「本影」の写り方を見比べてみましょう。


1/1250秒露出 (21:04)

こちらは最も「見た目に近い」部分月食のイメージです。食されていない月面が適正露出となり、地球の本影がかかっている部分は完全に黒つぶれして見えなくなっています。

しかし、本影がかかっている部分は、実際には完全に真っ暗ではなく微かに見えているのです。そこで、もう少し露出値を上げてみると以下のように写ります。


1/160秒露出 (21:07)

露出を長くすることで、本影がかかっている部分は黒つぶれせず、薄暗くうっすらと見えてきました。その代わり、本影がかかっていない部分は真っ白に白飛びしてしまい、月の海も見えなくなりました。ただ、本影に向かって「半影」のグラデーションでわずかに月面の輝きが鈍っており、本影にごく近い部分だけ月の海が局所的に写っています。

この画像では、地球の本影の輪郭がはっきりと浮かび上がり、地球が丸いこと、そして月よりずっと地球が大きい様子がよく判ります。


1/13秒露出 (20:56)

この画像では思い切って露出を長くして本影部分をはっきり浮かび上がらせました。そのため、影のかかっていない部分は真っ白に白飛びし、月の周囲には強烈な月の光によるグレアが広がっています。また、本影の境界もシャープに写りました。本影のエッジ(境界線)を図形的に描出する教育的なアプローチと考えて良いでしょう。



本影に迫る

本影部分のクローズアップ

「地球の影」にクローズアップ

 さて、こちらはコンパクトデジカメのコリメート撮影による、本影部分のクローズアップです。今回の部分月食は食分が小さかったので本影部分もごく僅かですが、暗さや色に注目すべく強拡大してみました。

 通常、地球の影がかかっている月面は皆既月食のような「赤銅色」になるはずなのですが、今回はご覧の通り赤っぽくありません。色味がなく純粋なグレーに写っています。また、以前見た月食と比べても今回は影が暗いような気がします。

 月食の本影の暗さは、地球で大規模な火山活動などがあると地球大気中に塵が舞い上がり月食の本影も暗くなる傾向にあるらしいですが、果たして今回は何か火山活動などが影響していたのでしょうか。正直なところ、この程度の小規模な部分月食では本影が通常より暗いかどうかは断言できません。ただ、本影の色が赤っぽくないのが気になりました。幻想的な「赤銅色の満月」になる皆既月食を楽しみに待つとしましょう。



撮影時刻: 2005年10月17日 21:19
カメラ : ニコン COOLPIX995
望遠鏡 : ビクセン R200SS (口径200mm 焦点距離800mm F4)
アイピース : ビクセン LV10mm
露出時間 : 1/15秒
ISO感度 : 100



「月食」次回は?
 今回の部分月食では食分(欠ける割合)が小さく、地球の丸い影の一部がかかっただけですが、これがもっと大きく月を「食」すると、地球の丸い影の輪郭がより判りやすかったことでしょう。

 次回は2007年3月4日に部分月食、2007年8月28日に皆既月食が見られます。


「月食」 関連ページ (過去に私が書いたものです)
 前回の月食(2004年5月5日)

プレ天文 - 2004.05.05 月食画像集

【写真・レポート】 九州地方で見られた月没帯皆既月食。
デジカメで撮影した画像と解説

- 皆既月食 (2001. 1.10)
【写真・レポート】 薄雲を通してなんとか撮影成功。
- 2000年7月16日深夜 皆既月食
【写真・レポート】 月食観望会を開いて山へ遠征して観測。

- 1997年9月17日未明 皆既月食
【写真・レポート】 台風一過で奇跡的に晴れた。
私にとって初めて見た、思い出の皆既月食。

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