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2003年 火星大接近
10月です。めっきり火星が遠くなりましたね。
このページではこの夏〜秋接近中の火星について案内しています。さあ、晩秋の風に吹かれ、今夜も火星を見よう!


最新の火星
(2003年10月17日 18時36分 撮影)
望遠鏡:ビクセンR200SS カメラ:ニコンcoolpix995
コンポジット枚数:14枚 熊本県熊本市にて

今夏、強烈な明るさで輝く火星

2003年夏〜初秋、火星は地球に「大接近」した。

最接近時の火星は、−3等級になった。
この秋、夜空を見上げれば、赤く明るく輝く火星の輝きが、
まだまだ目立っている。

そんな、接近中の火星の姿を
ぜひ望遠鏡で見よう。



facts

火星大接近について
火星を見よう
火星とは
火星をデジカメで撮ろう
火星 写真集…10月
火星 写真集…9月
火星 写真集…8月
火星 写真集…7月
火星 観測用データ

10月、火星観望の絶好期! もう表面模様は見えにくいかも
 8月〜9月にかけて地球に大接近した火星ですが、まだまだ火星は地球からそんなに遠ざかっておらず、まだまだ「中接近」の規模を保っています。つまり、1999年の火星最接近時と同じ大きさで見ることができるのであり、まだまだ火星から目が離せません。とはいえ、今年の最接近時(8/27)は視直径25″角だったのに、現在ではもう17″角にまで小さくなりました。つまり、現在(10月中旬〜下旬)の火星は、最接近8/27の火星と比べて2周りほど小さくなったといえます。ですが、皆さんお気づきの通り、現在の火星は日没後すぐ(午後7時)南東の空で輝くようになりました。つまり、最接近時のように火星がよく見える深夜になるのを待たずとも、宵のうちに火星を見ることができるようになったのです。ですので、就寝の早い小さいお子様を含め、多くの人にとって火星が見やすくなってきたわけであり、現在(10月)は火星観望の絶好期といえましょう。さすがに火星が小さくなったために最接近時と比べて表面模様はなかなか見辛いかもしれませんが、多くの人に火星を見てもらいたい10月〜11月です。


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火星大接近について (接近のメカニズム) −


図1: 地球と火星の公転運動による動き (2003年6月〜8月)
■ 火星に近づいていく地球

 内側を廻るのが地球、外側は火星である。

 この図を見ても判るように、実は、公転速度の速い地球のほうが自ら、火星に近づいていくのだ。

 地球と火星は、それぞれ円を描くように公転運動を繰り返す中で、地球が外周の火星に追いつくような形で、2年2ヵ月周期で接近する。しかし、よく両方の円軌道を見比べてほしい。そう、両軌道は同心円状でなく、片寄っているのだ。

 この軌道の「片寄り」こそが、2年2ヵ月周期の「接近」の距離の違いを生み出す。上の図で、内側の地球軌道、外側の火星軌道の間隔が大きく開いている部分で「接近」となれば、最も接近している時でも火星はそれほど大きく見えない。一方、軌道の間隔が最も狭まっている部分で「接近」となれば、見て判るように、地球と火星との距離は「ありったけの近さ」での、文字通り「大接近」となる。

 そう、今年2003年の地球・火星同士の接近は、この「ありったけの大接近」という特別な大接近になるのだ!!実は、こううまくピンポイントで軌道の間隔の狭い部分で地球と火星が出くわすのは、非常に珍しい。先述の通り、火星接近は2年周期で起こるのだが、今年ほど火星に近づくのは珍しい。 つまり、今年の火星は、最接近距離が「最大規模」の特別な大接近なのであり、「ありったけに大きく見える」火星の姿を見るチャンス!
 変な例えをするならば、好きな恋人に目一杯近づいて、顔の小じわや毛髪の一本一本までも見えてしまうほどの距離で「素顔」をじっくり観察するチャンス到来、ということだ。

 もちろん、肉眼で火星を見上げても、普通の星と同じで光の点にしか見えないので、火星の姿を見るには望遠鏡が必要だ。望遠鏡で拡大すれば、火星表面のバラエティーに富んだ黒い模様を見て楽しむことが出来る。また、火星の南極地方が真っ白い氷(ドライアイス)で覆われているのも見える。

 ぜひ、皆さんも火星表面のスケッチを取ってみよう。火星は24時間半で自転するので、時間をおいて火星を見ると表面模様が動いていくのが判るのだ。火星観測は楽しい。デジカメをお持ちの方は、ぜひ火星の撮影にもチャレンジされたい。

図2: 火星の光度変化 (2003年5月21日〜9月30日の光度推移)

■ 最接近日は8月27日

 図を見ても判るように、2003年6月、そして7月は、ぐんぐん火星が明るくなっていく。6月下旬には、全天一明るい恒星であるシリウスよりも明るくなり、その輝きは徐々に派手さを増してゆく。

 7月下旬ともなると、ついに−2等台の大台に突入! 木星並みにまで明るくなり、真夏の空にひとり煌々と輝く火星の輝きが、多くの通勤帰りの人々の目を引く事だろう。

 そしていよいよ2003年8月下旬、火星は最大級の最接近となり、その輝きは凄まじいものだ。太陽系9惑星の中で唯一金星だけしか踏み入った事のない−3等台に届くのだから!。(正確には-2.9等止まりという計算結果もあるが。)

 また、表を見ても判るように、最大級の最接近となる8月27日を挟む前後約2週間の間は、火星の光度(視直径)は横ばい状態である。つまり、最も大きい火星が見えるのは8月27日だけでなく、8月中旬〜9月初旬もの長期にわたって楽しめる事になる。なので、火星が最も近づいている8月中旬〜9月初旬は、焦らずゆっくりと、火星を見て楽しもう。





火星を見よう!

■ 火星を見るには望遠鏡が必要

 この夏、いくら火星が大接近しているとはいえ、夜空にそのまま火星の丸い形が見えるわけではない。あくまでも、望遠鏡で見た場合の火星が、例年以上に大きく見えるだけのことである。肉眼で見上げた火星は、普通の星と同じで、あくまでも光の点にしか見えないのだ。とはいえ、その光の点としての火星は、不気味なまでに明るいので、望遠鏡を持っていなくとも、「明るくて赤い星」の輝きはそのまま肉眼で見て楽しむことができる。
 9月には中秋の名月が訪れる。多くの人が月見をするだろうが、その際、火星の強烈な輝きが多くの月見客の目を引くことだろう。

 さて、火星を見たくても、望遠鏡をお持ちでない方も大勢いるのではないだろうか。そんな場合は、ぜひ天文台へ足を運び、大口径望遠鏡で火星を見せてもらおう。天文台の望遠鏡は口径が大きいので、市販の望遠鏡と比べて段違いに鮮明な火星の姿を見ることができて、贅沢を味わうことができる。白い極冠や、黒い表面模様がくっきり見えて、きっと満足できるだろう。

 なお、最接近日は8月27日であるが、この日だけしか火星が見れない、なんてことはない。8月中旬〜9月上旬の間は、最接近日(=8月27日)とほぼ同じ状態なので、お盆休み〜新学期始めの頃までの間は火星はずっと最接近状態だと考えてよい。というわけで、各自の都合のよい日に火星を見に出かけるようにするとよいだろう。

 参考までに、火星を見るのに適した望遠鏡は、1.大口径、2.焦点距離が長く合成F値が大きい機種、3.反射式よりも屈折式。




■ 火星はどの方向に見える?

 地球に最も近づいている8月〜9月にかけての火星は、太陽のほぼ反対方向に位置している。つまり、日没と同時に東の空から昇り、真夜中(深夜0時)に真南で最も高度が高くなり(南中)、明け方近くになると西の空に下がっていく。要するに、太陽と同じように東から昇って西に沈むわけだ。このことから判るように、見る時間によって、火星の見える方向は東だったり南だったり西だったりする。

 しかし、何度も述べているように、火星は強烈に明るい。だから、肉眼ですぐに見つかる。「火星の見える方角」を知らなくとも、ただ空を見上げて、空でダントツで明るく輝くオレンジ色の星が見つかれば、それが間違いなく火星である。なので、見つけるのは楽だ。




■ 9月9日夜、月と火星が寄り添う!

 中秋の名月の4日前、9月9日には月と火星が見かけ上近づくという、肉眼で楽しめる天体ショーが繰り広げられる。皆さんもご存知の通り、月は強烈に明るい。そんな、眩しいほどの月のすぐ下で、-2.7等級という強烈な明るさで輝く光の点(=火星)が寄り添って見え、なんとも神秘的な光景となる。9月9日の夜は、月に注目だ!

 もちろんこの現象も、望遠鏡で拡大して見れば月面クレーターのすぐ傍に赤く真ん丸い火星の姿が見えて、より美しい。しかし、これは望遠鏡で見なくとも、肉眼でそのまま見る「月と星の寄り添い」の光景も、また美しく眺められる。晴れてさえいれば、全国どこでも、誰にでも見えるので、ぜひともご覧頂きたい。この日の夜、「月の近くに赤いUFOがいる!」などと、変な噂さえ出てくるかもしれない。
 詳しい案内は後日掲載予定だ。


速報!
2003.9.9夜、月・火星の接近は悪天候でまともな撮影はできず

 残念ながら、火星食寸前の月・火星同士の接近は、当地では悪天候でした。9月に入って毎日晴天が続き、曇った日すら1日もなかったというのに、今夜に限って曇ってしまいました。

 この画像は、月が雲の切れ目に差し掛かった瞬間、超小型デジカメにて、手持ちコリメートで撮ったものです。ほぼ完全な曇り空だっただけに、雲の切れ間から撮影できただけでも運が良かったといえるでしょう。おもちゃデジカメなので、ご覧の通り画質は悪いです。火星の姿も暗く小さく判りにくいですが、月と火星が接近していた証拠の写真は撮ることができました。火星は点状ではなく、小さなボールのようにわずかに面積をもって見えています。月と火星の見かけの大きさが比較できます。

2003. 9. 9 22:33 UP




火星とは

火星は、太陽系9惑星の中の内側から4番目の惑星で、
その大きさ(直径)は地球の半分ほどである。

地球から最も近い外惑星であり、公転運動により地球との距離が大きく変わる。
大気の主成分が二酸化炭素で、気圧も低く、さらに極寒の世界のため、とても人間は住めない。

火星表面は、酸化鉄を含む赤茶けた大地が広がり、火星そのものを赤い星に染めている。
火星の両極地方は、固体二酸化炭素(ドライアイス)で覆われて白くなっている。
「極冠」と呼ばれ、地球からも(2003年の場合は南極冠が)白く見えている。

近年、火星探査機が次々と探査を行っている。
2004年1月には日本初の火星探査機「のぞみ」が火星に到着予定。
火星での生命(微生物を含む)の存在については、
未だ確実な証拠・痕跡は確認されていない。

惑星名

直径

自転周期

公転周期 表面温度 衛星 大気成分
地球 (EARTH) 12,756km 24時間
(1日)
365日
(1年)
-30℃〜30℃ 窒素・酸素
火星 (MARS) 6,794km 24時間半 687日
(1年10ヶ月)
-130℃〜25℃ フォボス・ダイモス 二酸化炭素

判り易いように、地球のデータも載せた。
火星と地球の違いを見比べて欲しい。





火星をデジカメで撮ろう

何枚でも撮れるデジカメのメリットを活かし、たくさん撮り、写りの良いものだけを残す。


連写で撮った火星。コマが進むにつれてブレが収まるのがわかる。


デジカメのレンズと、望遠鏡の接眼レンズとをくっつけて撮る

ブレとピント合わせを克服すれば、火星の極冠や表面模様が写る!
 上は、2003年8月10日にデジカメで連続して撮った火星の写真である。左図のようにして、デジカメで望遠鏡の接眼部(アイピース)を覗かせるようにして連続で撮ったわけだ。

 各望遠鏡メーカーから、デジカメを望遠鏡につなげるアダプターが販売されているので、それを使うと撮りやすい。しかし、手持ちのままデジカメで望遠鏡を覗かせて撮ることも可能だ。ただ、何百倍にも拡大された被写体なので、ほんのわずかでも望遠鏡に触れてしまうと、大きく被写体が揺れてしまい、ブレの原因になる(被写体ブレ)。また、しっかりカメラを構えておかないと、手ブレも起こりやすい。よって、アダプターで接続して撮るのが一番である。

 アダプター接続の場合、カメラのシャッターボタンを押した時に、その振動が望遠鏡本体にも伝わり、被写体ブレが発生する。これを防ぐためには、レリーズを使用するといいだろう。また、レリーズを持っていなくても、デジカメのセルフタイマーを使って撮ることで、ブレが収まった頃にシャッターを切ることができる。


 ブレずに写せた左下の火星画像では、火星の形や表面模様の濃淡が判る。よく見ると火星の姿が真ん丸ではなく、月のようにわずかに欠けているのがわかるだろう。また、火星の上の縁のほうに白っぽく見えるものは、「極冠」である(つまり火星の極地方)。二酸化炭素の氷に覆われて白くなっている。火星界の春の訪れと共に、この極冠は溶けて小さくなるらしいので、極冠を見るなら最接近日を待たず、今のうちに見たほうがいいだろう。


 なお、作者が最近撮った火星のデジカメ画像を以下に紹介する。






火星の写真記録


共通撮影データ
望遠鏡:ビクセンR200SS カメラ:ニコンcoolpix995 アイピース:ビクセンLV2.5mm 撮影方法:コリメート法
撮影地:熊本県熊本市  画像処理:Registax, Photoshop-E.(スタッキング合成,トリミング,ウェーブレット変換etc)
(c) copyright 2003 taken by p2k3. 写真の無断転載を禁じます。

2003年10月 火星画像


2003.10.17
18時33分〜46分

2003.10.15
18時33分〜36分
中央経度: 19° 中央経度: 35°
 右の画像の2日後の火星である。さすがに10月の火星は小さく、今回も表面模様はよく写っていないが、よく見ると火星面の中央付近にぼんやりと黒い模様が確認できる。この画像では子午線湾付近が正面を向いている。よく見ると、なんとなく子午線湾の存在が判らなくもない。そんなわけで、表面模様の識別はかなり困難になってきている。

 さて、今回の画像は、1ヵ月ぶりに撮った10/15(右画像)と比べて、S/N比が良いのが明瞭だ。10/15の画像では6枚スタックだが、今回は14枚スタックしている。とはいえ、14枚撮るのに要した時間は13分。相変わらず、ノーガイド&高倍率320倍での火星導入に苦戦しているというわけだ。今日は鏡筒部が微妙にガタついており、セルフタイマー付きでシャッターボタンを押した時に大きく揺れが生じ、ブレやすかった。それでも露出は1/30秒まで短くしているので、なんとかブレずに済んだ。今回の火星面も、小さな南極冠だけが目立っている。
 約1ヵ月ぶりの火星画像である。もう10月に入り、火星が本当に小さくなってしまった。8月〜9月に撮影した画像と比べると、10月15日のこの画像では表面模様の存在も判らず、火星が遠ざかったことを実感させられる。中央経度は35度なので、この画像の火星では子午線湾あたりが見えていることになるが、模様は全く判らない。この日はシーイングがやや悪かったことも影響しているのかもしれないが、「のっぺらぼう」な火星となってしまい、つまらない。

 とはいえ、火星の上部には南極冠がうっすらと写っており、10月に入っても南極冠の氷はまだ残っていることが判る。火星の南半球はもうじき夏である。この極冠がどこまで小さくなるのか、そして完全に消滅してしまうのか、今後も見守りたいものである。また、火星の右側(西側)が大分欠けてきた。

 この画像ではスタック(コンポジット)枚数はわずか6枚である。今どきの火星撮影法は、専らToUcam Pro Webカメラを使って1,000枚近いスタック枚数を稼ぎ、Registaxでスタック、そしてウェーブレット変換!という手法だが、私はいまだに貧乏くさい「ノーガイドデジカメコリメート撮影」で火星を撮っているのだ。だから、6枚しかスタックできないし、ウェーブレット変換をしてもS/N比が悪いのでノイズを増やすばかりである。


2003年9月 火星画像


2003. 9.18
23時48分〜19日00時04分

2003. 9.16
23時28分〜47分

2003. 9.13
21時17分〜29分
中央経度: 中央経度: 16° 中央経度: 10°
 火星も徐々に視直径が小さくなってきて、現在ではもう23秒角にまで小さくなった。そろそろ、火星を撮る気力もなくなってきた。今月9月は毎晩晴れているが、晴れていても火星を撮るのを怠ってしまいがちである。なにせ、追尾できない赤道儀を手動で振り回して超高倍率視野内に火星を導入するのは本当に至難の業だからだ。多くの人は、追尾しながらビデオカメラやウェブカメラで楽々スタック枚数を稼いでいるというのに、私だけが、デジカメコリメートで1コマずつセルフタイマー撮影を繰り返し、ノーガイドゆえに再導入にも神経を使い苦戦している。火星撮影コンテストなるものがあるとするならば、こんな私に執念の努力賞を与えてくれないだろうか。

 そんなわけで、今夜の努力の作品はというと、ご覧のようにあまりよい出来栄えではない。シーイングはやや良かったものの、透明度がかなり悪く、アンダーにならずに1/30秒露出で撮るために、デジカメ側のズームをほぼ広角端にして撮影した。そのことによる光学的拡大率不足のせいだろうか、表面模様も前回と前々回と比べて判りにくい。だが、火星が遠ざかり始めたことを感じる右側の欠け際が自然に写った。

 最近では宵の早い時間に大シルチスやヘラスが見えるようになったので、次回は久々に大シルチスを狙ってみたい。
 今夜は久しぶりに好シーイングに恵まれた。だが、透明度はかなり悪く、空が霞んでいるために火星も露出アンダーになりがちである。しかし、何度も言っているように作者はノーガイドで撮っているため、露出を長くすると日周運動の影響を受けて火星が流れるので、露出値ではなくデジカメの光学ズームを広角側にしてF値を明るくすることで暗さ対策に対応した。今回のホワイトバランス設定は「電球」だが、いつものように青みが強くならず火星らしく赤い色になったのは、空が霞んでいたせいだろう。

 さて、今回のスタック枚数は35枚、撮影に要した時間はなんと約20分である。たった35枚、火星を撮るのに20分もかかってしまうのは、ノーガイドである上に、赤道儀の赤経微動ハンドルが付いていないせいである。2.5mmアイピースで320倍にまで強拡大しているので、一旦火星が写野から外れると、再導入するのに30秒はかかる。だから、約30秒おきにしか火星を撮れないのだ。20分もかけて撮った火星をスタックすると、表面模様がズレてしまうのは仕方のないことだ。そんなわけで、火星の自転によりこの画像では水平方向に解像度が低い。模様はズレたとしても、S/N比は向上している。

 今回の火星面は、前回画像(右)とほぼ同じである。子午線湾は、前回よりも鮮明に写っている。前回、雲と書いた左上部の明るい部分は、今回も写っているので、もしかしたらヘラス盆地かもしれない。
 久しぶりの火星画像である。9月も半ばに入り、火星も次第に遠ざかり始めた。すでに視直径は24秒角を割ってしまった。光度も-2.7等級で、肉眼で見上げても火星の輝きは最接近の頃より少し暗くなったのが感じられる。

 さて、前回の9/3〜9/4の火星と比べると、今回は火星の写りが一段と悪い。実は、今夜はかなりシーイングが悪い。台風14号による気流の乱れが残っているのか、シーイングは2/10と最悪で、1枚1枚の火星は大きく歪んでしまっていた。とはいえ、シンチレーションでどれだけ火星が歪んでも、スタック合成することにより、真ん丸い火星に仕上げることが可能なのだ。

 というわけで、今夜の酷すぎるシンチレーションを補正するために、12分かけてスタック合成枚数を27枚稼いだ。これにより、火星の歪みは補正されて、ご覧のようにしっかりした火星の姿となった。合成前の1枚のみの火星画像では、表面模様はまったく見えなかったが、Registaxのウェーブレット変換等の画像処理により、子午線湾の模様が見えてきた。子午線湾の見える火星面は、実に8/11以来、1ヵ月ぶりである。下のほうの8/11の火星画像と同じ模様が写っているので、見比べてみよう。

 さて、今回の火星面では、火星の左上部に雲が発生しているのがはっきり判る。




2003. 9. 4
23時34分〜49分

2003. 9. 3
23時50分〜4日00時00分

2003. 9. 3
22時17分〜24分
中央経度: 124° 中央経度: 135° 中央経度: 112°
 右の火星を撮ってから24時間後に撮った画像だ。地球では24時間で1日だが、火星では24時間と37分で1日なのだ。よって、丸24時間では火星は1回転しきらず、1回転まであと37分残ってしまう。

 つまり、右の火星が1回転弱したのがこの画像だ。太陽湖が左上部に見えている。今回は、ウェーブレット変換においてノイズを増大させずに模様を抽出するために、S/N比を重視した。1枚1枚セルフタイマーで撮影を繰り返す、非常に手間のかかる古典的な撮影スタイルだが、15分かけてスタック枚数を31枚稼いだ。31枚のスタックにより、太陽湖もここまでくっきりと捉えられた。しかし、画質の面で撮影に15分もかけるべきではない。そう、15分も経てば火星の自転により表面模様が動いて、表面模様がブレたようになるからだ。でも、現状では表面模様の分解能も低いし、多少の模様がズレることを承知で、S/N比の向上のために15分かけて31枚を稼いだのだ。

 目玉のような太陽湖、シレーンの海の輪郭がはっきり捉えられている。
 一晩中、ほぼ快晴に恵まれた9/3〜4の夜。火星が南中する頃には、シンチレーションも大分収まってきた。右の画像を撮ってから1時間半経ったので、表面模様が動いて火星が少し廻ったのが判る。

 今回の画像では、表面模様の細部まで写すためにカメラのズームを広角側にしてF値を明るくし、1/30秒露出のフル解像度で撮影した。ノーガイドのため、1枚撮るごとに火星を再導入し直さねばならず、約20秒に1枚の撮影ペースながらも、セルフタイマー撮影で27枚のスタック枚数を稼いだ。

 さて、中央経度100度前後では、太陽湖が目立つが、今回はこれまでの中で太陽湖が一番シャープに写っている。太陽湖の右側に見える「シレーンの海」の輪郭もくっきりとしており、波形のような境界線がよく判る。黒い表面模様の濃淡も判り、表情豊かである。

 ところで、火星の北半球に注目してほしい。火星の最高峰、オリンポス山が写っている。火星面の中央下部に微かに白っぽい部分があるが、これがオリンポス山だ。
 この火星面では、太陽湖が写っている。左よりに見える目玉のような形をした表面模様が、太陽湖だ。

 最近晴天が続いているので、今夜は好シーイングが期待できそうだと思っていたのだが、実際には4/10、やや気流が悪く、連写で撮る火星像も若干歪んでいる。今回は、VGA16連写により、31枚をスタック合成した。ピント合わせは慎重に行ったが、それほどシャープに写らなかったのはシンチレーションの影響だろう。ともあれ、太陽湖の形はこれまでで一番はっきり捉えられている。やはり合成画像数を増やすことで、表面模様が断然鮮明になってくる。




2003. 9. 3
02時18分〜28分

2003. 9. 1
22時41分〜47分

2003. 9. 1
01時58分〜02時04分
中央経度: 180° 中央経度: 135° 中央経度: 192°
 あれっ?! 極冠小さいぞ…? 最近、本当に南極冠が小さくなった。特に、9月1日〜2日にかけて、急に解けたようだ。ご覧のように、右の火星からわずか1日ちょっとしか経っていないのに、もう9/3未明の火星では、間もなくで極冠自体が消えてしまいそうなほどだ。とうとう、火星のドライアイスともお別れの時が来たようだ。

 それにしても、赤い火星だったり青い火星だったり、毎回色が色々変わってして申し訳ない。今回の火星が赤いのは、デジカメのホワイトバランスをいつもの「電球」から「太陽光」に設定変更したからである。この設定によって、Rレベル量が増し、火星の赤みが増したわけだ。

 さて、今回の火星面では、火星の左の部分に雲が発生しているのが判る(若しくは靄か?)。火星も、日によって、雲や靄が発生していたりして、絶えず表情を変えるのだ。砂嵐が発生したら火星全体が霞んでしまうことさえある。

 今回の画像では、VGA16連写により枚数をとにかく稼ぎ、コンポジット(スタッキング合成)画像数は54枚である。今夜のシーイングは4/10、やや悪く、火星は微弱に揺らめいていた。それでも、スタッキングにより高画質に仕上げることができた。また、S/N比が良好なため、ウェーブレット変換の効果もいつも以上に発揮できて、表面模様(キンメリアの海付近)を高コントラストに描出できた。
 火星最接近日を過ぎてからというもの、天気がいい。9/1〜9/2の今夜も晴れており、3夜連続で火星を撮ることができた。

 さて、今回の画像は17枚コンポジットである。これまでに公開した火星画像は、若干ピントが正確に合っていないような気がしたので、今回は慎重にピントを合わせてみた。すると、ご覧の通り、火星の丸い輪郭はくっきり、小さな極冠の輪郭もしっかりと写った。さらに黒い表面模様のディテールまで判るほど、シャープである。今夜は若干シーイングがいいかもしれない。

 中央経度135度ということで、太陽湖が火星の左端に見えている。目玉のような形をしているのが判るだろうか。ちょうど火星の南半球だけにしか黒い模様がないので、北半分と南半分の明暗の差が美しい。この画像はこれまでで一番シャープな画像だと言えよう。
 さて、火星の最接近日が過ぎて5日が過ぎ、人々の火星ブームは一気に過ぎ去った。もはやマスコミでも急に火星が取り上げられなくなり、火星はとっくに去ってしまったかのように思われがちだ。しかし、実際にはご覧の通り、火星はまだ最接近日の8・27と全然変わっていない。9月に入っても、まだまだ火星大接近状態なので、今は火星から目が離せない時期なのだ。

 そんなわけで、8月31日深夜〜9月1日未明の夜も、昨夜に引き続き晴れてくれた。しかし、ちょうど火星面の寂れた面しか見えない時期なので、撮影してもいまいち手応えがない感じだ。

 さて、今回の火星撮影も、ノーガイドのため導入に時間がかかり、コンポジット用の画像撮影も30秒おきに1枚というローペースでしか撮影できず、わずか12枚のコンポジット画像だというのに6分もの撮影時間を要している。あまり時間をかけすぎると火星の自転の影響で模様の写りが不鮮明になるので、次回からはシャッターボタン押し込みレリーズを自作して、連写で挑みたい。昨日の8/31宵の画像に比べれば、今回は多少解像度はよくなったが、8/30の画像ほど鮮明ではない。今夜も、シーイングは良くなかったようである。シーイングさえよければ、もっと鮮明な火星を撮ることができるだろう。


2003年8月 火星画像


2003. 8.31
21時50分〜57分

2003. 8.30
23時25分〜37分

2003. 8.28
02時02分〜15分
中央経度: 132° 中央経度: 165° 中央経度: 230°
 今夜は、珍しく雲のほとんどない快晴に恵まれた。一晩中火星を撮影できそうである。手始めに21時台の火星を撮ったのだが、相変わらずのガイドなし撮影のため、なかなか火星が導入できず、非常に時間がかかっている。手動で赤経軸を回しての火星導入は、相当難しい。火星の画像を1つ作るための撮影に、およそ1時間近くかかってしまっているのだ。もちろん、それは望遠鏡との格闘の時間である。

 この画像では、「太陽湖」が写っている。火星の左上部に目玉のようにして黒い模様を取り囲む明るい部分が写っているが、シンチレーションの影響で画質が落ち、この画像ではちょっと判りにくい。昨日の火星画像と比べると、今夜はかなりシーイングが悪そうである。

 
 火星は最接近日を過ぎ、これからは少しずつ遠ざかり始めることとなる。とはいえ、9月上旬頃まではまだまだ火星最接近状態なので、晴れた晩には必ず火星を撮るようにしている。

 そんなわけで、8月27日の夜以来、3日ぶりに晴れてくれた本日の火星は、若干シンチレーションで揺らいでいたものの、8月27日の夜と比べれば今夜のシーイングは良いほうだ。このため、シャープな火星を撮ることができた。

 コンポジット枚数は17枚。1枚1枚の火星において比較的シャープだったので、ガウスぼかしの半径も小さくて済む。火星の色調が毎回違い、特に今回の色調は不自然かもしれないが、これは画像処理の度にRGB各色ごとのレベル調整が異なっているからである。火星を撮る天文屋は、もはや火星の色の忠実性にはあまりこだわらない。

 さて、今回の火星面で注目すべき点は、火星左端に見える微かに明るい部分だ。これは、火星地形図と照らし合わせてみると、かの太陽系最大の山として有名なオリンポス山付近にあたる。もしかしたら、この明るい部分はオリンポス山、若しくはタルシス山地の3連山なのかもしれない。しかし、当たり前だが、地球の大気の底から撮影した私の火星写真では、山の形が判るほど鮮明には写らない。
 火星「最接近日」である8月27日の夜に撮影した最後の火星画像である。別に「8・27 最接近日の火星!」にこだわってたくさん撮ったわけではないが、たまたま8/27の夜は曇天続きの今夏としては珍しく晴天に恵まれたため、一晩で火星コンポジット画像を5枚も得ることができたのだ。

 さて、「さすが最接近日の火星!」と言わんばかりに、今回は表面模様がこれまでで一番鮮明に写っている。これは、24枚をコンポジット(スタッキング)した画像に、Registaxのウェーブレット変換、トーンカーブ調整、そしてPhotoshopのアンシャープマスク、レベル補正などを駆使して、とにかく表面模様がはっきり見えるように画像処理をきつめにかけて強調したからである。望遠鏡や撮影機材さえよければ、この画像よりももっと表面模様が繊細にたくさん写し込むことができるだろう。例えば、長焦点屈折にウェブカメラの組み合わせだとか。とはいえ、私の機材環境ではこれが限界である。今や、デジカメコリメート撮影なんてもう古いのかもしれない。やはりウェブカメラで撮像素子むき出しで撮るのが一番だ。
 言い訳はそのくらいにするが、火星面中央にキンメリアの海が見えている。大シルチスは右端にあるはずだが、この画像では判らない。特筆すべきことは、北半球(火星下部)のユートピア平原付近にある細長い模様(名称は不詳)が写ったことだ。こんな淡い模様が写ったのは初めてである。




2003. 8.28
01時52分〜02時02分

2003. 8.28
00時15分〜23分

2003. 8.27
22時50分〜55分
中央経度: 227° 中央経度: 203° 中央経度: 181°
 2時間前に撮った右の画像と比べて、さらに火星が廻ったのが判る。「キンメリアの海」が火星面の中央まで到達した。

 コンポジット枚数は17枚であり、S/N比はいいが、シーイングが悪かった。なお、コメントは後ほどアップしよう。
 最接近日である今夜の午前0時台の撮影では、VGA16連写により枚数を稼いだ。コンポジット枚数は65枚である。ノーガイドなので、ひたすら火星導入には苦労するが、なんとか1/15秒の連写を繰り返して、コンポジット枚数を稼ぐことができた。

 キンメリアの海が見えている。S/N比がいいので、シャープに表現できた。右の画像と比べて、ほんの少し、火星が廻ったのが判るだろう。よく見ると、表面模様が左に動いている。
 火星最接近日の8・27。全国で、今日に合わせて観望会などが開かれているようだが、悪天候のところが多い模様である。しかし、熊本県である当地は、幸運にも晴れており、数日ぶりの晴れ間を活かして火星撮影に没頭している。

 さて、ノーガイドではあるが、23時ちょっと前の火星画像が完成した。出来立てホヤホヤである。コンポジット枚数は10枚。今回は、デジカメの光学ズームは使わず、300万画素のフル解像度で撮影してCCD画素数で火星の解像度を上げた。

 火星も南の空に達しようとしており、高度が上がってきたおかげで、シンチレーションも和らいできた。前回の21時台の火星よりも解像度は良い。




2003. 8.27 21時

2003. 8.25 00時

2003. 8.24 02時
中央経度: 154° 中央経度: 226° 中央経度: 271°
 今日はついに火星の最接近日だ。今夜は天気に恵まれ、一晩中撮影できそうである。

 さて、3日ぶりの撮影となったが、今回はまだ火星が東の空に出たばかりの頃に撮影したため、シンチレーションがひどく、あまりよく写っていない。相変わらず赤道儀も動かないため、追尾なしで苦戦しながらの撮影である。

 表面模様の寂しい火星面(中央経度150度)なので、かすかな黒い模様がなんとか判る程度でしかなく、ほとんどのっぺらぼうに見えているのでつまらない。なお、白い南極冠はますます小さくなった。今では、ご覧の通り、もう点のように小さい。
 今夜(24/25日)も晴天に恵まれ、二夜連続で火星を撮ることができた。しかし、昨日から赤道儀が動かなくなってしまったせいで、今夜からの撮影はノーガイドである。露出時間は1/15秒。実はもう一段階長くし、1/8秒で撮りたいのだが、何せノーガイドなので、これ以上長くすると恐らく火星が流れてしまい、ブレた画像になり兼ねない。露出アンダーを承知の上で、1/15秒まで切り詰めての撮影を余儀なくされたわけだ。

 ノーガイド撮影なだけに、火星の導入には苦労させられる。日周運動で火星が視野に入ってきた頃にちょうど写るよう、わざと火星をずらした状態からデジカメの連射をスタートさせ、VGA16連写で火星を撮った。

 このような厳しい撮影条件なので正常に撮れた画像数が少なく、コンポジット枚数はわずか10枚である。それでも、キンメリアの海がはっきり写った。今夜はこのまま晴れそうなので、午前2時台にも中央経度300度付近の撮影に挑みたい。
 赤道儀が動かない! 火星もついに最接近状態だというのに、火星観望&撮影には欠かせない赤道儀が突然、追尾しなくなってしまった。恐らく老朽化による故障であろう。このままでは、もう火星を撮影できなくなってしまうので、焦っている。

 そんなわけで、この画像は、仕方なくガイド(追尾)なしの状態で1/15秒露出で撮った画像だ。ガイドなしでも火星がブレなかったのがせめてもの救いだったが、解像度には若干影響しているかもしれないので、不安だ。

 この画像は、言うまでもなく憧れの大シルチス狙いで撮った。火星面の中央やや右よりに大シルチスがドーンと見えているが、この画像のコンポジット枚数はなんとたったの3枚。ガイドなしなので、すぐに火星が視野から外れて、全然枚数を稼げなかったのだ。たった3枚では、S/N比が小さすぎて、鑑賞するに耐えないノイジーな画像になるのは致し方ない。そんな赤道儀トラブルによる悪条件での撮影だったが、まあ大シルチスをはっきり写せたのでよしとしよう。ヘラス盆地がほんのり明るい。小さくなった南極冠もくっきり写っている。






2003. 8.23 23時

2003. 8.23 21時

2003. 8.19
中央経度: 230° 中央経度: 197° 中央経度: 297°
 火星は24時間半で自転するので、一晩で見える火星面も次々移り変わるので、8/23〜24の夜は21時台、23時台、2時台と、時間を隔てて3回の火星撮影を行った。そのうちの23時台に撮った画像である。2時間前に撮った右の火星と見比べると、火星がほんの少し左向きに回転したのがわかるはずだ。そう、火星もくるくる廻っているのだ。

 この画像は23時台、中央経度230度の火星面である。あと少し待てば、華の大シルチスが廻ってくるのだが、この画像では「キンメリアの海」が中央に見えている。横長に帯状に伸びており、中央付近に切れ目もあるのだが、ちょっと判り辛い。下のほうの7/17撮影の火星は、今回と同じ火星面(約220度)なので、見比べてみよう。7/17の火星は、火星がまだ遠かったりしてキンメリアの海の写りもよくないので、今回のほうが断然鮮明である。また、見比べても判るように、火星の極冠が本当に小さくなった。現在の極冠は、火星の端に糸のように細く見えるだけである。火星南半球にも夏がやってこようとしているわけだ。

 今回の撮影・画像処理は、解像度XGAでデジタルズームで強拡大した26枚、SXGAの連写6枚をそれぞれRegistaxにてスタッキング処理&ウェーブレット変換処理をし、Photoshopにてガウスぼかし、レベル調整をして仕上げた画像同士を2枚コンポジット合成で仕上げた。よって、トータルコンポジット枚数は32枚である。
 やっと、晴れた! またしても、ずっと曇り空が続いて、今日まで火星を撮ることができなかった。8/11から今日までの12日間で、晴れた晩は1日しかなかったのである。

 さて、現在、火星が地球に最接近している。視直径もとうとう25秒角、火星の見かけの大きさはMAXである。そんな最接近中の火星が、今夜久々に雲間から顔を覗かせてくれた。まさに奇跡としか言いようがない、貴重な晴れ間である。

 この画像は、まだ火星が南東の空低い時に撮影したため、シンチレーション(地球大気の揺らぎ)がひどかった。さらに、露出も1/4秒にまで長くした。このため、良好な画像は得られないだろうと心得ておきつつも、解像度VGAの連写で撮った46枚の画像をコンポジット合成した。スタッキングソフトRegistaxにてアライメント&スタッキング処理後、トーンカーブ補正で表面模様を強調し、色調補正などを施したら、意外にもこんなにシャープな火星像が仕上がった。

 キンメリアの海が右側から廻ってこようとしている。
 やっと、九州に晴れ間がやってきた! 8/18夜、実に8日ぶりに天気に恵まれ、ようやく火星を撮ることができた。しかも、待望の大シルチスが見えている! 火星面で一番濃い模様「大シルチス」とも、約1ヵ月ぶりのご対面である。

 今回は、薄雲もかかっていない上に、シーイングも良好だった。そのため、大シルチスを鮮明に撮影することができた。火星の中央やや下に縦長に伸びる、最も黒い部分が大シルチスである。「ヘラス」は、白い極冠のすぐ下にあり、わずかに明るく写っている。大シルチスの右隣には明るい模様「アラビア」が目立っている。

 ところで、火星の南極冠が小さくなってきているのに気付く。前回8/11撮影の火星と見比べても、今回は明らかに小さいが、これは見る角度の違いによるものなのかもしれない。

 今回のコンポジット枚数は計81枚。前回と同じく、VGA16連写の「マルチ連写」で撮影枚数を稼いだ。コンポジットには、Registaxというスタッキングソフトを初めて使用した。結果は、驚くべきものだった。これまで手作業で行っていた火星像の位置合わせが、フルオートで処理されたからだ。Registaxは今後も重宝していくことだろう。

 火星の色が今までと異なっているのは、ホワイトバランス設定を変えているからである。赤い色が弱いために火星らしさに欠けるが、表面模様のコントラスト強調を重視するためには多少色彩の忠実さがなくともそれほど悪くないだろう。






2003. 8.11

2003. 8.10

2003. 8. 7
中央経度: 355° 中央経度: 中央経度: 45°
 今回も、昨日(右画像)と同時刻に撮影したため、写っている火星面はほぼ同じである。中央経度は355度だが、これは昨日の0度とわずか−5度しか変わらないのだ。

 今回は、ホワイトバランス設定を変え、青みが強い色調で撮影した。こうすることにより、火星の赤みを軽減し、Rレベルの飽和を防ぐことで、黒い表面模様を高コントラストに抽出できるだろうからだ。

 コンポジット枚数は74枚。手作業での位置合わせなので、とにかく手間がかかる。なお、16枚のVGAを記録できるマルチ連写では、なぜかデジタルズームが使えない。このため、火星の拡大率を上げることができなかった。もっと大きく撮りたいが、連写とデジタルズームを併用できないので、不可能のようである。

 子午線湾の形がはっきり写ったが、南極冠は白飛びしてしまった。
 九州に接近した台風10号も過ぎ去り、今夜は久しぶりに晴れ間が広がってくれた。火星も、とうとう24秒角になり、もう最接近状態である!

 今回の8/10の火星は、史上最高の出来栄えとなった。これまでの火星と比べて、段違いに解像度が上がっているのは、見ての通りである。実は、作者は先日、待望のカメラを望遠鏡に接続するデジカメアダプターを入手した。これまでは手持ちで望遠鏡を覗かせてシャッターを切っていたためにどうしてもブレてしまっていたが、アダプター接続による撮影のおかげで、今回は全くブレていない。ピント合わせもうまくいき、今回の火星は表面模様がたくさん写っている。中央経度は0度なので、中央やや左よりに、細長い「子午線の湾」が写っている。火星の下の方(北極方向)には、「アキダリアの海」も写っている。白い南極冠の輪郭もよく判る。

 コンポジット枚数は計117枚である。撮影には、1枚の画像にVGA16枚を記録できるcoolpix独自の「マルチ連写」機能を使って撮影した。これにより、1画像につき火星16個の割合で、大量撮影できた。そのおかげで、百枚を超えるコンポジット合成をして、高解像度に仕上げることができたのだ。今後、好シーイングの日に、もっと拡大率を上げて火星に迫ってみたいと思う。
 8月に入ってから毎晩ずっと曇天続きで、なかなか火星を撮影できずに歯痒い思いをしていた。だが、本日ようやく5日ぶりに撮ることができた。
 しかし、薄雲を通しての撮影となってしまった。暗さを補うため露出時間を1/4秒にまで長くしたために、シンチレーションの影響を受けてちょっと解像度が悪い。だが、白い南極冠はくっきりと捉えられている。



2003年6〜7月 火星画像


2003. 8. 2

2003. 7.31

2003. 7.17
中央経度: 110° 中央経度: 99° 中央経度: 220°
 8月に入り、視直径も22秒角に達した。いよいよ火星は「大接近」状態に突入である。火星の視直径が大きくなったおかげで、作者のコリメート撮影による火星画像も日々解像度が高くなってきている。

 今までずっと夜は曇天が続いていたのだが、今夜は珍しく晴れてくれた。薄雲もかかっていないので、今回は露出を1/30秒まで短くして撮影できた。露出値が短いため、いつものようにブレたりせず、撮りやすかった。

 今回も、右の7/31の画像と同様に中央経度100°前後の模様の乏しい火星面だったのでちょっと物寂しい感じがするが、南極冠を取り巻くヴェールように広がる黒い模様を滑らかな階調で表現できた。コンポジット枚数は過去最多の18枚。全ての素材(合成前画像)においてシャープだったので、コンポジット処理後の画像も火星の輪郭や極冠の縁取りもシャープに描出できた。液晶ディスプレイごしのピント合わせもうまくいっており、作者の撮影の腕前は日々上達してきている。

 色調のほうは、火星の基本的な色であるRレベルの階調幅を狭くすることで、G(緑)とB(青)の色成分がメインである黒い表面模様のコントラストを上げる事ができた。なので、この処理画像では生画像よりも若干黄色味が強くなっていることになる。
 最近の火星はメキメキ明るくなってきていて、驚かされる。もはやその強烈な輝きは、木星どころか金星をも彷彿とさせる。−3等級の火星が迫っているのだ!

 さて、7月最後の本日は、薄雲を通しての撮影だった。とはいえ、口径20cm F4反射鏡にとっては火星の輝きは眩しいほどだったので、問題なかった。

 1/15秒露出、デジタルズーム併用VGAで連写した火星のうち、ブレていない6枚を残し、各4枚と2枚のコンポジット済みの画像にそれぞれアンシャープマスクをかなりきつめにかけておき、さらにそれらの処理済画像同士をコンポジットし、アンシャープマスクによるざらつきを平均化してみた。さらに、表面模様が最も際立つようレベル補正をした。南極冠はこれまでの中で一番白くはっきりと表現できた。今回の火星面は、中央経度的に模様が寂しい領域ではあったが、火星の視直径が大きくなったおかげで、解像度はよくなっている。
 本日は空の透明度がかなり悪かった。火星以外の星はほとんど見えないほど霞んでいたのだが、惑星撮影では透明度の良し悪しは関係なく、シーイングの度合いが重要となる。そのシーイングはというと良好で、これまでの中でベストな画像を得る事ができた。

 今回の7月17日撮影の火星画像は、計11枚(プラスさり気なく5枚)をコンポジットし、レベル補正・アンシャープマスク処理で仕上げた。強力な画像処理は、10数枚コンポジットの賜物である。火星の欠けている部分が次第になくなりつつあり、まもなくで火星は完全な円形になろうとしている。南極冠は、先月6月と比べて小さくなった感じがした。火星表面に黒く帯状に見えるものは表面模様「キンメリアの海」であり、「大シルチス」は火星右端部分にあるはずだ。






2003. 7.16

2003. 7.11

2003. 6.26
中央経度: 260° 中央経度: 307° 中央経度: 95°
 今回は、デジカメの動画撮影機能を使い、MOV形式ムービーで火星を撮ってみた。動画で撮った理由は、静止画切出しをしてコンポジット処理をするためである。とはいえ、解像度はQVGA(320×240pix)と小さく、さらに望遠鏡の倍率も低いため、火星の像が占めるピクセル数はわずか直径10ピクセルほどでしかなかった。
 とはいえ、11枚のコンポジット合成により、表面模様(大シルチス)がくっきりと浮かび上がった。この画像では、補間法により解像度を強制的に上げている。
 7月に入り、火星大接近までカウントダウン状態だ。見かけの大きさも、あと少しで20″だ!
この画像では3枚コンポジット合成し、アンシャープマスクやレベル補正にて表面模様や極冠を高コントラストに描出できたおかげで、かなり見栄えのある火星写真となった。火星が大きくなってきた事もあり、6月の写真と比べて解像度は上がっている。
 左下に大シルチスが見えている。
 この頃の火星は、左側が欠けており、楕円形に近い形に見えていた。火星の白い極冠が大きく、こんなにはっきりと写った事には驚いた。






火星 各データ for Observating

火星を最高条件で見るなら、午前0時に見よう。
 火星の最接近(8/27)の頃は、つまり衝でもあります。よって、南中するのは午前0時頃です。
南中時を狙えば、地球大気の揺らぎの影響が最も小さくなり、見やすくなります。


2003年08月01日〜09月30日までの火星の各データを表にまとめた。
火星観測の参考にして頂きたい。

(※時刻・南中高度は熊本県でのデータ。)

日付 光度 視直径
(秒角)
見え始める時刻
(高度20°突破)
南中時刻
(観望最適)
南中高度 0時における
火星中央経度
見頃な表面模様
08/01 -2.4 22.2 22:54 2:37 43 78
08/02 -2.4 22.4 22:50 2:33 43 69
08/03 -2.5 22.6 22:46 2:29 43 60
08/04 -2.5 22.8 22:42 2:25 43 51
08/05 -2.5 22.9 22:38 2:21 43 42
08/06 -2.5 23.1 22:35 2:17 43 33
08/07 -2.6 23.2 22:31 2:13 43 24 子午線湾
08/08 -2.6 23.4 22:26 2:08 43 15
08/09 -2.6 23.5 22:22 2:04 43 6
08/10 -2.7 23.7 22:18 1:59 43 357
08/11 -2.7 23.8 22:14 1:55 43 348
08/12 -2.7 24.0 22:10 1:51 42 339
08/13 -2.7 24.1 22:06 1:46 42 330
08/14 -2.8 24.2 22:02 1:42 42 321 大シルチス,
ヘラス盆地
08/15 -2.8 24.3 21:57 1:37 42 312
08/16 -2.8 24.4 21:53 1:32 42 303
08/17 -2.8 24.5 21:49 1:27 42 294
08/18 -2.9 24.6 21:43 1:23 42 285
08/19 -2.9 24.7 21:39 1:18 42 276
08/20 -2.9 24.8 21:35 1:13 42 268
08/21 -3.0 24.8 21:30 1:08 42 259
08/22 -3.0 24.9 21:26 1:03 42 250
08/23 -3.0 25.0 21:22 0:59 41 241
08/24 -3.0 25.0 21:17 0:54 41 232 キンメリアの海
08/25 -3.0 25.0 21:13 0:49 41 223
08/26 -3.0 25.0 21:08 0:44 41 224
08/27 -3.0 25.1 21:03 0:39 41 206
08/28 -3.0 25.1 20:59 0:34 41 197
08/29 -3.0 25.1 20:54 0:29 41 188
08/30 -3.0 25.0 20:49 0:24 41 179
08/31 -3.0 25.0 20:45 0:19 41 170
09/01 -3.0 25.0 20:39 0:14 41 162
09/02 -3.0 24.9 20:35 0:09 41 153
09/03 -3.0 24.9 20:30 23:59 41 144
09/04 -3.0 24.8 20:26 23:54 41 135
09/05 -2.9 24.7 20:21 23:49 40 126
09/06 -2.9 24.7 20:16 23:44 40 117
09/07 -2.9 24.6 20:11 23:39 40 108
09/08 -2.8 24.5 20:07 23:34 40 100
09/09 -2.8 24.4 20:02 23:29 40 91
09/10 -2.8 24.3 19:57 23:25 40 82
09/11 -2.8 24.1 19:53 23:20 40 73
09/12 -2.7 24.0 19:48 23:15 40 64
09/13 -2.7 23.9 19:43 23:10 40 55
09/14 -2.7 23.7 19:39 23:05 40 46
09/15 -2.7 23.6 19:34 23:01 40 37 子午線湾
09/16 -2.6 23.4 19:29 22:56 40 28
09/17 -2.6 23.3 19:25 22:51 40 19
09/18 -2.6 23.1 19:20 22:48 40 10
09/19 -2.5 22.9 19:15 22:44 40 1
09/20 -2.5 22.8 19:10 22:39 40 352
09/21 -2.5 22.6 19:06 22:34 40 343
09/22 -2.5 22.4 19:02 22:30 40 334
09/23 -2.4 22.2 18:57 22:26 41 325 大シルチス,
ヘラス盆地
09/24 -2.4 22.1 18:53 22:22 41 316
09/25 -2.4 21.9 18:48 22:18 41 307
09/26 -2.3 21.7 薄明中 22:14 41 298
09/27 -2.3 21.5 薄明中 22:10 41 289
09/28 -2.3 21.3 薄明中 22:06 41 280
09/29 -2.2 21.1 薄明中 22:01 41 271
09/30 -2.2 20.9 薄明中 21:57 41 262

※表中の赤は、最接近(視直径25秒角台)の頃






更新履歴
03/10/17, 03/09/18, 03/09/16,03/09/13
03/09/09, 03/09/04, 03/09/03, 03/09/01, 03/08/31, 03/08/30
03/08/29, 03/08/28, 03/08/27, 03/08/25, 03/08/24, 03/08/23
03/08/19, 03/08/18, 03/08/11, 03/08/10, 03/08/07, 03/08/03,
03/08/02, 03/08/01, 03/07/31,03/07/29, 03/07/17, 03/07/16,
03/07/11, 03/06/26, 03/06/13, 03/06/09, 03/06/08, 03/05/26

「火星」関連ページ (いずれも私が書いたものです)


・2005年 火星画像集


□ MORE INFORMATION □
天体観測報告ダイジェスト版 (2001〜)
天体観測報告 PRO
作者の先月の観測活動
しし座流星雨 2002
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2003年 火星大接近
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