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かんたん!デジカメ天体撮影

天体観測報告 PRO

ここでは、作者による天体観測の詳細な報告をしている。
なお、観測の対象となるジャンルは不問である。
食現象、流星群、惑星、彗星など、あらゆるジャンルを網羅している。

2004年3月版

#018 金星東方最大離角 Reported Date: 2004. 3.30
観測データ   │ 観測地: 熊本県熊本市 │ 機材: R200SS ニコン coolpix995 │


東方最大離角を迎えた金星 2004. 3.30 19:14-15
露出:1/30sec./f4.0
2pic コンポジット
R200SS/LV2.5/ニコン Coolpix995


10枚コンポジットによる金星

3月30日、金星が東方最大離角

 さて、2004年に入り、金星が日没後の宵空で煌々と輝いている。そう、「宵の明星」である。年明けの頃からぐんぐん高度を上げ、−4等級の光芒はかなり目立つようになってきた。ちなみに、この金星の明るさは、去年地球に大接近した火星よりもワンランクほど明るい。金星は太陽に近いため、太陽光を強烈に反射しているのだ。

 そんな眩い光を放つ金星が、2004年3月30日に東方最大離角となった。最大離角とは、地球からの見かけ上、内惑星(ここでは金星)が最も太陽から離れたときのことを言う。2004年3月30日の太陽系惑星軌道を上から見た場合、金星と太陽と地球がある点を結ぶと、太陽を直角とした直角三角形が描かれるのだ。

 実は、最大離角を迎える時期は、内惑星観望にとって最適な時期である。外惑星の場合は衝(つまり最接近)が最適であるが、内惑星の場合は最接近の頃は見かけ上太陽にも最も近づき、しかも惑星の後ろから太陽光が照らされるので、「光らない」し、「昼間の青空の中でしか見えない」ということになるからだ。しかし、今年の金星の「最接近」に関してはちょっと特別であり、金星による日食、すなわち金星日面通過が起こるため、6月8日の日中に「金星最接近」の瞬間を見ることができる。

 話が大きく逸れてしまい申し訳無い。ともあれ、3/30の夕方、東方最大離角を迎えた金星をデジカメにてコリメート撮影したのが左画像である。火星や木星、土星などと違い、金星は分厚い二酸化炭素の雲に覆われているせいで、どれだけ凄い望遠鏡やカメラを使って撮っても、表面模様は決して写ることはない。なので、金星を撮るということはすなわち、金星の形(エッジ)を撮ることと考えてよい。そんなわけで、金星の撮影に限ってはRegistaxなどによるスタック&ウェーブレット変換のプロセスはそれほど重要ではなく、S/N比の向上には拘る必要も無いだろう。よって、金星を撮る場合は1枚撮りでも満足いく画質が得られると思われる。

 というわけで、左上の画像のコンポジット枚数は2枚のみである。ご覧の通り、金星は星全体が雲に覆われておりのっぺらぼうで、金星表面の様子は窺い知れない。金星の欠け際に注目すると、やや青みを帯びているのが判る。金星の雲に水平方向から太陽光が差し込んで青く反射しているのだろうか。それか、光学系(ニュートン反射)の色収差による擬似色の可能性もある。

 今後、金星は地球にぐんぐん近づきながら益々大きくなっていく。しかし、地球に近づきながらどんどん欠けていくので、金星の明るさのほうは横ばいで推移する。視直径は大きくなるが、半月状の金星が三日月状になりどんどん見える面積も小さくなっていく。今後、4月〜5月にかけて、三日月状に欠けた金星が見られるようになるので、また撮影してこのページに画像を掲載しようかと思う。そして、6月8日の100数十年ぶりとなる金星日面通過も楽しみである。




水星と金星 2004. 3.30 19:19
露出:4sec./f2.6
ニコン Coolpix995

水星も同時に東方最大離角

 3月30日に東方最大離角となった金星だが、実は水星も3月29日に東方最大離角を迎えており、水星と金星がほぼ同時に東方最大離角となって見やすくなった。公転速度が速く、1年間に何度も最大離角を迎える水星だが、今回は今年一番の太陽離角である。つまり、水星の観望好期と金星の観望好期が偶然にも重なったわけである。これは、全内惑星が同時に太陽から一番離れた所に達するという、大変珍しい光景なのだ。そして、望遠鏡で見た水星と金星も、共に同じ半月状に見える。まさに、3月30日前後は絶好の内惑星観望チャンスなのである。水星は公転が速いので、早く見ないと太陽に近づいて見えなくなってしまう。

 左画像が、金星と水星を1枚の画像に収めた星景写真である。といっても、さすが金星の最大離角日だけあり、金星が高すぎて地上風景は画面に入らなかった。画面下部に写っているものはアンテナである。透明度はあまり良くなかったので、この画像では水星の輝きが多少判りにくい。

 なお、金星の周辺は大変賑やかになっている。金星は現在、おうし座にいて、ぐんぐんM45(昴)との距離を縮めている。ヒアデス、M45、火星、金星が集合した画像も撮れたのだが、それに関してはまた来月ご紹介したい。





2003年12月版

#017 明け方の地球照 Reported Date: 2003.12.20, 12.21
観測データ   │ 観測地: 熊本県熊本市 │ 機材: デジタルカメラ ニコン coolpix995 │


地球照を伴う月 左: 2003.12.19 06:28
露出:2sec./f5.1

右: 2003.12.20 06:34-35
露出:4sec./f5.1 2枚コンポジット合成
ニコン Coolpix995

月が細いほど、地球照は明るく美しい

 さて、観測報告とは言い難いが、今回は月の地球照画像をご紹介しよう。左画像は、2003年12月19日・20日の夜明け前に撮影した、月である。地球照がくっきり見えている。

 地球照とは、月の夜の部分に地球から反射してきた太陽光が当たり、うっすらと光り輝いて見える現象だ。つまり、月の世界における、「地球の見える夜」に、「月光」ならぬ「地球光」によって、月の地表が薄明るく照らされているのを、地球上から私達が見ている、ということなのだ。月から見る地球は、地球から見る月と比べて6倍以上も明るい。つまり、我々の過ごす地球の夜での「月夜」の明るさと比べても6倍以上も明るい「月夜」ならぬ「地球夜」になるのだ。きっと、夜の月面上に人が立てば、地表には地球光によってくっきりと自分の影ができることだろう。そんな月世界での「地球光」を想像しながら、月の地球照を眺めると、神秘的な気分に浸れることだろう。

 さて、左画像の月は、地球照(月の夜の地域)を適正露出で撮るために、通常の月の撮影よりも長めに露光している。そのおかげで、普段なら写らない月の夜部分(地球照)が写ったというわけだ。しかし、それと引き換えに月の昼の部分からの光芒が溢れ出している。これ以上長く露出すると、月の昼部分の光芒に夜部分が呑み込まれてしまうので、地球照を撮る場合は適正露出値を見極めるのが肝心だ。

 12/19撮影の左の月は月齢25、翌日12/20撮影の右の月は月齢26なので、月が少しだけ欠けたのが判るのだろう。また、地球照は月齢26の右の月のほうが写りが良い。これは、月が細くなるほど、地球照が明るくなるのに加え、月の昼部分の光芒も小さくなるために長く露出をかけられるようになるためである。実際、左の月は2秒、右の月は4秒と、右のほうが露出時間を長くしている。さて、翌日になればもっと地球照がくっきり写るだろう。12/21の月が撮れたら掲載したい。




月齢27の地球照 2003.12.21 06:34-36
露出:4sec./f5.1
Registaxにて13コマをスタック&ウェーブレット変換

ニコン Coolpix995/ケンコー単眼鏡

月齢27の地球照をデジカメ+単眼鏡で

 はて、昨日の約束通り、12/21の月が撮れたので、画像を掲載したい。左画像が、2003年12月21日午前6時34分〜36分にかけて撮った、月齢27の月だ。上の画像と比べて写りが良くなっているのは、デジカメオプションの単眼鏡を取り付けて撮影したからである。上の画像は、デジカメの6倍ズームのみで撮影したために解像度が低かったのだ。

 今回の画像では、13コマをスタックしている。露出4秒で連続撮影した13枚のデジカメ画像を、Registaxを使用してアライン&スタッキングして合成した。単眼鏡を使うとどうしても暗くなるので、その分露出時間を伸ばさねばならないが、日周運動で月が動いてしまうために、露出時間は4秒が上限だった。このため、ISO感度を400まで上げて暗さを補ったものの、その分S/Nが悪くなった。とはいえ、13コマのスタックしたので、S/Nは改善された。結果、このような良質な月画像が得られたわけだ。

 ”逆2日月”とでもいうべき細い月なので、地球照が一段と冴えている。月の昼部分の光芒は、まるで皆既日食時のダイヤモンドリングのような輝きを思わせる。ただ、ピントは正確に合致していなかったので、地球照部分の月面模様はシャープには写らなかった。こんな美しい地球照のままで掩蔽や惑星食が見られれば最高なのであるが。


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