山行記、焼山 山日記Little Trekker

 2010年8月28日 焼山(高谷池まで)

笹ヶ峰登山口(11:35)⇒黒沢(12:25/40)⇒十二曲(13:15/25)⇒富士見平(14:05/25)⇒高谷池ヒュッテ(15:00)

 夏山の終わりに、数年前に入山制限が解除された焼山に登る事にした。焼山は規制が解除されてから何度か登ろうとしたが、天候に恵まれず頂きを踏む事が出来ていない。今回はカタクリ会の山行で良く一緒に登っているk氏、O氏と三人パーティーでの山行となった。武蔵野線の北朝霞の駅に集合し、関越道・上信越道経由で一路妙高高原を目指す。夏休み最後の土日だった為か高速道路は意外と順調で、11時過ぎには登山口となっている笹ヶ峰に到着。広い駐車場に車を停め、装備を整え昼前には歩き始める事が出来た。
 立派なゲートになっている登山口で入山届を提出、笹ヶ峰から黒沢までは、快適な木道歩きが続く。しかしそれにしても暑い。昼前後で温度が上がる時間ではあるのだが、ここは標高1300mの高原だというのに、今ひとつ爽やかさが無い。沢までは50分程度であったが良い汗をかいた。黒沢は妙高山と火打山の間に広がる黒沢湿原に端を発する沢であったが、思いのほか水温が低い。存分に沢の水で喉を潤し、今日一番の難所「十二曲」の急坂にとりついた。
 今回は小屋泊まりという事で、テントと寝袋は持参していないし、食料も比較的少ない。何時もの幕営山行より随分荷物が軽い筈であったが、急坂に息が切れる。「十二曲」の標識で一服してから、坂の後半戦にとりかかった。登山者が多い人気コースである為だろう。段差の大きな所には、小石を詰めた土のうが置かれていて、登山道を保護するとともに、歩き易くしてある。沢から約1時間20分で、黒沢池ヒュッテへの道との分岐点、富士見平に到着した。
 富士見平では沢山の登山者が休んでいたが、ここは丁度風の抜ける場所で、頬をなでる風が実に気持ち良かった。標高はすでに2000mを越えているが、さすがに此処までのぼると下界の湿気も無くなっている。登り始めた時間が遅い事もあって夕立を心配していると、地元直江津から来た登山者が、「ここ数日の天気では、雷雲は飯綱方面から十日町方面へ流れていて、妙高付近は天気が崩れていない」と教えてくれた。天気に一安心し、再び今日の宿泊地である高谷池ヒュッテを目指して歩き始める。富士見平からヒュッテまでは平坦な道が続き、目標としていた15時に高谷池ヒュッテに到着した。(この日は夕方18時頃、飯綱山の方向で雷が走っているのが見えたが、妙高付近の天気は安定していて、3日間で雨に降られる事は無かった。)

bj101084.JPG笹ヶ峰登山口bj101085.JPG黒沢近くまでは木道が多いbj101086.JPG十二曲の急登bj101087.JPG富士見平付近bj101088.JPG高谷池ヒュッテ

 2010年8月29日 焼山、火打山

高谷池ヒュッテ(5:55)⇒火打山(7:10/25)⇒胴抜キレット(8:45/9:00)⇒焼山(10:00/10:40)⇒袖胴抜キレット(11:25/40)⇒火打山(13:25/45)⇒高谷池ヒュッテ(14:45)

 二日目の朝は小屋の朝食を断り、朝早く起きて5時に出発しようと思っていたのだが、目覚めたときは4時45分。寝坊してしまった。小屋泊まりで安心したせいかもしれない。オンシーズンの山小屋のベットと言うと詰込を想像するが、ここ高谷池ヒュッテは完全予約制で、一人1畳程度のスペースを確保してくれる。この日は約80人の宿泊者がいて満員だと小屋番が言っていたが、山小屋としては混雑した感じがしなかった。朝食のラーメンを食べ終え、出発の用意が済んだのは6時少し前、これだったらば小屋の朝食を食べても良かったなあ...。
 ヒュッテの外には高谷池の湿原が広がり、沢の反対側にはテントサイトが設けられている。その向こうに、今日登りに行く焼山が朝日を浴びてクッキリ見えた。さあ、今日はいよいよ念願の焼山への登山だ。

bj101089.JPG高谷池の朝bj101090.JPG正面に火打山bj101091.JPG天狗の庭と火打山bj101092.JPG北アルプスの峰々bj101093.JPG火打山の山頂

 ヒュッテから少し歩くと「天狗の庭」と呼ばれる湿原地帯に出る。湿原越しの火打山を楽しみながら、快調に木道を歩く。今朝は早朝から天気が良く、何人もの登山者が日の出前から火打山に登っていて、既に山頂から下山してくる登山者ともすれ違い始めた。きっと今朝の御来光は、素晴らしい光景だったに違いない。昨晩ロッヂの前で会話した登山者ともエールを交わす。高度があかるにつれて、遠く北アルプスの山並みも望めるようになった。ヒュッテを出発して1時間15分、火打山の山頂に到着。30年前以上も前に登った火打山の山頂に再び立っていると思うと、感慨もひとしおのものがある。山頂からの眺めは抜群で、今日の目的地である焼山も、影火打のむこうに聳え立っていた。
 焼山は標高2400mで、火打山に比べると標高が60m程低い。ただ焼山へは火打山から450m下って、400m登り返さなければならない。火打山から見る焼山は温泉饅頭の様な形に見え、鞍部からの取りつきは厳しそうだ。気を引き締めて、火打山の山頂を後にした。
 火打山から随分下って影火打山へ着いたと思ったら、ここらもう一段、一気の下りだ。登山道は地図で破線表示ではあるものの、一般の登山道並みに、しっかりと踏まれていた。予想していたより歩き易い道にホットする。焼山への最低鞍部を少し過ぎた胴抜キレットで一休みし、焼山への登りに備える。焼山は、つい数年前まで火山活動が活発で入山が禁止されていた山だ。入山規制が緩和されたとはいえ、活火山の活動は続いていて、山頂近くで噴煙を上げる「シューシュー」という音がキレットでも良く聞こえてくる。少し不気味感じはするものの、辺りの植物の育成状況から見て、此処10数年は大きな噴火は無かったに違いない。水を補給し、甘いものでカロリーを補給してから焼山本体への登りにとりついた。

bj101094.JPG火打山より焼山 bj101095.JPG影火打付近bj101096.JPG影火打より焼山bj101097.JPG胴抜キレットへの下降bj101098.JPG焼山への登り返し

 焼山への登りは予想通り急登の連続だったが、御陰で一気に高度を稼ぐ事が出来る。登山道脇の植物を掴みながら、手と足を総動員して登ってゆき、植物の高さが低くなり視界が開けるようになってくると供に、傾斜も緩くなり始めた。足元の土にガレが多くなってきた辺りからは、山頂部も見え始める。歩いて来た道を振返ると、影火打山が同じぐらいの高さに見えた。キレットから登り返して約1時間、ついに焼山の山頂に立つ事が出来た。山頂からは西には雨飾山へと続く稜線、南は高妻・乙妻の山塊、北は日本海、東を振返ると火打山の大きな山体が、雲間から見る事が出来る。何より登り返しを繰り返しながら辿り着いた頂は、充実感で一杯だ。早速持参した紅白のワインで登頂を祝った。持って上がったフレッシュパイナップルが実に美味しい。記念撮影をしたり、火口を覗いたりしながら約40分間、山頂での憩いを楽しんだ。
 何時までも留まっていたい山頂ではあったが、今日は長丁場。此処より高い火打山へ登り返してから、ヒュッテまで歩かなければならない事もあって、11時前に山頂を後にした。果たしてキレットから火打山への炎天下の登り返しは結構きつく、スポーツドリンクで小まめに水分を補給しながら、喘ぎながらの歩行となった。それでも予定した15時より少し早く、高谷池ヒュッテに戻りつく。早速ヒュッテで冷たいビールを購入して3人で祝杯をあげた。小屋番が雪渓から取って来た雪氷で冷やしてくれていたビールは冷たく美味しい。持参した玉葱とベーコンをその場で炒めたものや、ピーマン・コンビーフをつまみに、何本ものビールを、あっという間に飲み干してしまった。

bj101099.JPG焼山への登りbj101100.JPG山頂まであと僅かbj101101.JPG焼山の山頂部bj101102.JPG焼山の山頂bj101103.JPG山頂付近の噴出口

 2010年8月30日 妙高山

高谷池ヒュッテ(6:05)⇒黒沢池ヒュッテ(6:55/7:10)⇒長助池分岐(8:00/10)⇒妙高山(9:20/45)⇒長助池分岐(10:30/40)⇒黒沢池ヒュッテ(11:30/12:05)⇒富士見平(12:40/45)⇒黒沢(13:35/45)⇒笹ヶ峰登山口(14:20)

 三日目の朝食は、ロッヂで供された中華丼を頂く。月曜日の朝という事もあって、ロッヂで朝食を取っていたのは我々3人を含めても6人しかいなかった。宿泊者も20名程度で、ロッヂの中は何かしら「ゆったりとした空気」が流れている。休みさえ上手く取れれば、平日のロッヂは実に快適だ。荷物を固めて6時過ぎに二晩御世話になった高谷池ヒュッテを後にする。
 今日は黒沢池ヒュッテを経由して妙高山に登り、笹ヶ峰に下山の予定だ。昨日の焼山山行での消耗も心配だったが、結構快調に歩き始める事が出来た。黒沢池ヒュッテで重い荷物をデポして妙高山を目指す事にする。朝の調子が良かったせいか液体を余り下さず、ザックで妙高山へと向かったが、後から考えるとこれが良くなかった。黒沢池ヒュッテから妙高山へは、外輪山の大倉乗越を越えて燕温泉からの登山道と合流したところから一気に山頂へ登り返す結構タフな行程だ。合流からは昨日同様で標高差400mを一気に登る。日差しの向きの関係で、日陰を歩く事が出来たのが、せめてもの救いだ。今回の3人パーティーは皆結構足が速い。何時もだと途中で立ち止まって写真を撮る間に距離があいても直ぐ追い付くのだが、今日は一旦距離が空くと、その差がなかなか縮まらない。最終日で下山後の帰路も考えると「無理は禁物」と、自分に言い聞かせながらスピードを調整、最後のアプローチを登る。高谷池ヒュッテを出発して3時間15分、9時20分に妙高山の山頂へ到着した。

bj101104.JPG茶臼山付近bj101105.JPG大倉乗越より妙高山bj101106.JPG大倉乗越よりの下りbj101107.JPG妙高山への登りbj101108.JPG妙高山の山頂

周囲の山々では夏の雲が湧き始めていて、360度の視界という訳にはいかなかったが、雲間から見える頂を山座同定するのも、また趣がある。妙高山へは15年程前の秋に登ったが、その時には紅葉が見事だった。今回は夏山景色、緑の山々が目に眩い。3日間で焼山、火打山、妙高山と3山に登る事が出来た今回の山行を思い返しながら、満足感に浸ることが出来た妙高山の山頂であった。