clmフットパス1 フットパス1、セブンシスターズ Little Trekker

Footpath Walking

フットパス
bj300011.JPGイギリスの国土は全般的に平坦な土地が多く、高山と言える様な山は少ない。登山と言える様な山歩きが出来るのは、スコットランドやウエールズ、湖水地方等の限られた地域になってしまう様だが、歩く事を楽しめる場所という視点で見ると、それこそ全国にウオーキングを楽しむルートが整備されている。パブリックフットパスと呼ばれている歩行者専用の遊歩道(中には乗場OKの遊歩道もある)が、畑や森の中、丘陵が続く牧草地、住宅街の脇から公園や運河沿いの小路まで、イギリス全土に張り巡らされているのだ。誰もが自然を共有し、そこを通行する権利があるという考え方が根づいていて、私有地を横切る事も多い。
フットパスを歩いていると、木の柵や石段を登って通過するゲートに所々で手出会う。このゲートはキッシングケートと呼ばれているが、私有地の境界線上に設けられている事が多い。昔、農場で働く使用人同士が別れのキスをする場所から、そう呼ばれる事になったらしい。
bj301016.JPG世界史で、毛産業の発展とともに「囲い込み運動」が進展し、土地を追われた農民が都市に流入して、産業革命後の工場労働者になっていった。という事を習った記憶がある。その時には何故「囲い込み」が必要だったのか理解できなかったが、なるほど羊を放牧する場所が増えてくると、放牧地同士の間に柵が必要になる。これが無いと土地が平坦なイギリスでは、羊は草を食みながら何処かへ行ってしまうに違いない。こうして出来た1m程の石積みの壁が「囲い込み」の壁で、もともと自由に通行で来た場所が柵で囲われてしまった為に人の行き来が出来なくなり、それでは困ると、誰もが通行できるフットパスが設けられていったのではないだろうか。キッシングケートは、木の柵だったり、石の段だったりするが、普段は閉っていても簡単な操作で通り抜けできる場所が多かった。中には犬と歩く人の為に、犬の専用ゲートがある所もあった。
イギリス人は、週末や仕事が休みの日には、カントリーサイドでこのフットパスを歩く事を楽しんでいる人が実に多く、こうした人達とすれ違いながら美しいカントリーサイドを歩くことは、イギリスを旅行する大きな楽しみではないかと思う。ここでは2010年の6月に歩いたルートを紹介してゆきたい。

セブンシスターズ周辺(サウス・ナショナルトレイル)

bj301000.JPG ロンドンから電車で南へ1時間30分の街イーストボーンから、バスで約20分程の場所に、セブンシスターズという景勝地がある。英仏海峡に面した海岸線で丘陵地帯が切れ落ちている場所では、ホワイトクリフと呼ばれる石灰岩の一種「チョーク」の白い壁が見られる場所が多いが、特にその姿が美しい場所としてセブンシスターズは観光地にもなっている。
 イーストボーン駅前のバス停留所Jから、12番系統のバスでエクスチュートへ行き、ここからカックミア川に沿って海岸線を目指す事になる。バス停のあるエクスチュートには観光案内所があり、周辺の地図を入手できる。コラムでも紹介しているOrdnanceSurveyの1/25000ExploerMapを購入すれば万全だが、セブンシスターズ周辺を歩くだけならば、バス会社が配布している無料のウオーキングマップSouthDowns BusWalksのwalks10・11・12が便利だ。観光案内所の裏口近くに、沢山積んであった。御手洗いは観光案内所の裏手にある。(ウオーキングルートの途中に御手洗いは無い)

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 イーストボーン駅    イーストボーンのバス停   エクスチュート

カックミア川東岸 (セブンシスターズ・クリフ下)

 セブンシスターズの崖へ行くには、バス停脇から海岸線に伸びるウオーキングルートを歩く事になる。途中までは舗装された遊歩道か、一旦丘の登るSouthDownsWayのフットパスを歩くことになるが、海岸線までの中間点で二つの道は合流する。キッシングゲートを抜けるとフットパスは再び丘の上へ登って行くが、セブンシスターズの海岸線を目指すのであれば、牧草地脇の遊歩道を進むと良い。遊歩道の脇は牧草地になっていて、皆ここを歩いていた。バス停から約30分でセブンシスターズの直下へ到着する。

 セブンシスターズの上へ登るSouthDownsWayのフットパスは、海岸線沿いにイーストボーンの街まで続いていて、セブンシスターズと並ぶクリフの景勝地「ビーチヘッド」までは約2時間半、そこからイーストボーンの街までは約1時間の行程だ。今回は時間の制約で歩く事が出来なかったが、機会があれば海岸線を楽しみながらのルートを是非歩いてみたいものだ。

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   観光案内所      川の東側の牧草地    セブンシスターズ

カックミア川西岸 (セブンシスターズが見渡せる場所)

 セブンシスターズとは七つのクリフの事であるが、クリフ全体を見渡すには、カックミア川西岸の丘の上が良い。バス停からニューヘブン方向へ車道に沿ってた遊歩道を歩き、カックミア川を小さな橋で渡ったところからフットパスが始まる。キッシングゲートを越えると、左手にはカックミア川河口の湿地帯が広がり、対岸の丘陵地帯まで良く見える。右手は緩やかな丘状の牧草地が続き、羊が草を食んでいた。開放的で気持ちの良いフットパスが続いていて、歩く事が楽しくなってくる道だ。川の対岸は観光客が多いが、こちら側の道はウオーキングを楽しむ地元の人が殆どで、すれ違ったり追い越したりする人と挨拶を交わすのは、日本の登山道での挨拶と同じ。何か風景は外国なのだが、感覚的には国内の登山道を歩いている感じだ。

 バス停から約30分で河口に到着、ここからは緩やかな坂道でクリフの上へと登っていく。河口から10分弱で、HopeGapと呼ばれる眺めの良い場所に到着した。クリフへの上り坂には、一定の間隔で木のベンチが置かれているので、気に入った場所まで登りセブンシスターズの全景を楽しむと良いのではないかと思う。

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  フットパスに入る     左側の河口湿地帯    右手の牧草地   

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  海岸線のゲート     クリフの上に登る   クリフから見たセブンシスターズ

鉄道・バスでの移動

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イギリスのフットパスを巡るには、近くの街まで電車で移動し、バスでフットパスの起点へ向かうのが一般的だと思うが、ここでは気がついた事を幾つか記載しておきたい。

bj300000.JPG時刻表(右は1981年の時刻表)

運行ダイア

イギリスの鉄道・バスは平日と土曜日、日曜日では全く違っている事が多い。一般路線では土曜日の運転本数が大幅に減るが、観光地は土曜日は平日とあまり変わらない。日曜日は一般路線・観光地供に大幅に運転本数が減少し、遠距離の移動には手間取る事になるだろう。また朝早い電車も日曜日には運休になる事が多いので注意が必要だ。鉄道の時間はイギリス・ナショナルレールのホームページで検索できるので、日本で旅行計画を立てる時に調べておくと良い。現地での細かな調整に役立つのが、ハンディータイプの鉄道時刻表で、ターミナル駅の売店で入手出来る。

英国鉄道ダイヤ検索LinkIcon

bj300005.JPGヴィクトリア駅の切符売場

切符の購入

鉄道の切符は、駅の自動販売機か窓口で購入する事になるが、イギリスでは色々な割引切符があるので、窓口で教えてもらうのが良いと思う。代表的な割引に「往復割引」があり、日帰りのDayReturnであれば、片道切符の2割増し程度の運賃設定になっている。バスの切符は乗車時に行き先を告げて運転手から購入するが、やはり往復切符が安い。通常運賃は日本の鉄道やバスより若干高目の設定が多い様に感じるが、割引切符を上手く利用したい。

ウオーキングマップの入手

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ウオーキングを楽しみたいと思ったら、先ず地図を入手したい。イギリスの街には、街ごとに「ⅰ」の印が目印になっている観光案内所があって、地元の地図やガイドを入手する事が出来る。

bj300001.JPG1/25000のウオーキングマップ

ウオーキング用1/25000地図

イギリス全土を網羅している地図にOrdenance Survey があるが、その中でウオーキングに適しているのが1/25000のExplorer Mapだ。オレンジ色のカバーが目印の地図で、観光案内所では地元エリアの地図を販売していて、これを入手するのが良いと思う。フットパスは緑色の点線で記されていて判り易い。その中で、ダイヤマークが付いている道はナショナルトレイルとして整備されている道で、標識等もしっかり整備されている。ロンドンのピカデリー近くの書店Waterstonesでは、イギリス各地のExplorer Mapが入手出来る。またネットでも検索できるので、ウオーキングの計画を事前に建てる時に利用すると良いだろう。

イギリス地図検索LinkIcon

bj300002.JPGバス・ウオークのパンフ

バスウオーク

ウオーキングの起点へは、鉄道駅からバスを利用する事が多いのだが、バス会社が無料で配布しているウオーキングマップも大変便利だ。特にBrighton&HoveのSouth Downs Bus Walk は、イギリス南部を縦断しているサウス・ナショナルトレイルの各地を紹介していて、Explorer Mapの抜粋図と、コース各所の簡単な解説が付いていている優れ物だった。セブンシスターズやビーチヘッドへのウオーキングルートも紹介されている。観光案内所に積んであるので、是非利用するとよいだろう。

ランチタイム

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一日のウオーキングでは、何処かでお昼を取る事になるが、ランチタイム事情も日本とは少し異なっている様に思う。

bj300007.JPGブロードウエイの街にて

パブ・レストランの利用

イギリスのフットパスは、田園地帯の中に設けられたルートが多く、1~2時間も歩くと必ず次の街に到着する。そして小さな街であっても、パブやレストランが営業していて、訪れる人を迎えてくれる。フットパスを3日歩いたが、ウオーキングの途中でティータイムにしている人は良く見かけたが、湖水地方のグラスミア湖周辺以外では昼食を広げている人とは出会わなかった。多くのイギリス人は、ウオーキングで訪ねた街にあるレストランで、のんびりと昼食を摂っている様であった。

bj300008.JPG駅のサンドイッチショップ

コース途中での食事

とは言うものの、コース設定や時間の制約からレストランで昼食を摂れない時もある。そんな時には、サンドイッチがお勧めだ。テスコ等のスーバーで購入する事も出来るが、主な鉄道駅にはバケットやクロワッサンにトマト、レタス、ハム、サラミ、チーズ等を挟んだフレッシュ・サンドイッチの店が営業している。値段も2~4£と手頃だ。ホテルで作ったミルクティーをポットに入れ、駅で買ったサンドイッチ、オレンジに、ワインのミニボトルを添えれば、結構優雅な昼食になる。

bj300010.JPGミルクテイーでティータイム

ティータイム

イギリスのアテタヌーンティーは有名だが、ティー時に頂くケーキやスコーン等を作っている店も街に一軒はあるだろう。そんな御店で気に入ったケーキを買って、ウオーキングの途中でティータイムにするのも悪くない。イングリッシュティーは、フレッシュミルクが入ったミルクティーが多いが、ホテルのポットで御湯を沸かし、予めミルクティーを作って水筒に入れ持って歩けば、何処でも気に入った場所でテイータイムを楽しめる。イギリスでは持参した水筒が久しぶりに活躍した。